龍のほこら
図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。
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こんにちは!久々に作品を更新する気がする……!!
しかし、書く余裕がないので大変申し訳ありませんが支部より転載です><
しかも、苦手な人は苦手なジャンルを……|||orz
別の物をアップしようと手直ししてたんですが、なかなか進まないのでノへT`
と、言う訳で本日の更新は当初泣きながら書いていた作品です。
いつかはこれを本来の道筋で書きたい!と、思いつつまだまだ頓挫中です。
書くのってエネルギー使いますよね……´w`;
※ 注意 ※
夢オチですが、死ネタです。苦手な方は読まないでくださいね!!
手直し無しで転載していますので、支部で既読の方もいらっしゃるかもです!
しかし、書く余裕がないので大変申し訳ありませんが支部より転載です><
しかも、苦手な人は苦手なジャンルを……|||orz
別の物をアップしようと手直ししてたんですが、なかなか進まないのでノへT`
と、言う訳で本日の更新は当初泣きながら書いていた作品です。
いつかはこれを本来の道筋で書きたい!と、思いつつまだまだ頓挫中です。
書くのってエネルギー使いますよね……´w`;
※ 注意 ※
夢オチですが、死ネタです。苦手な方は読まないでくださいね!!
手直し無しで転載していますので、支部で既読の方もいらっしゃるかもです!
――ピッ、ピッ、ピッ、ピーッ
正化3X年、某日。
病院の一室で無情にもその命が終わったことを示す音が鳴り響いた。
白い壁に囲まれたベッドの上、関東図書隊特殊部隊の隊長の懐刀として名を知らしめていた堂上篤一等図書正が穏やかな表情で横たわっている。
その傍らには最期の時まで同じ光景を見るのだと誓い合った彼の妻、堂上郁三等図書正が生気を無くした表情で夫の顔を見つめている。
室内には、堂上班の班員を始め特殊部隊の隊長、副隊長に狙撃班班長である進藤らなど主要人物が集まり堂上の死に顔を眺めていた。
「堂上、お前なんでそんな穏やかな顔してんだっ! 大事な奥さん置いてったっつーのによぅ……」
誰もが無言で佇む中、その静寂に耐えきれなくなったのか進藤が絞り出したような声で堂上に悪態をついた。
それを皮切りに次々と文句を言い出した隊員たちは知らず涙をこぼしている。
しかし、その中で唯一人郁だけは静かに堂上を見つめ続け何かを考えていた。
ぽっかりと、穴が空いたような空虚さにけれど最後に残された暗号のような何かが郁を最悪な状態まで堕ちるのを食い止めていた。
郁は冷たくなった堂上の手を握り、息を引き取る間際の唇の動きを思い出す。
『い……く……』
確かに呼ばれた自分の名前、それは音になっていなかったかもしれないが郁には確かに聞き取れた。呼ばれるままに近寄って手を握る。手を握ってと言われた気がしたのだ。堂上の手はもう体温の殆どを残してはいなかった。硬かった皮膚は大分柔らかくなり、大きくがっしりとしていた手はすっかりとやせ細っていたがその時の握力は元気な時と変わらず、五回握り締められた。
『かぎ……』
何の合図かと首を傾げた郁に届いた最期の言葉は『鍵』だった。何の鍵かなんて詳しく説明する気力などなかったのだろう。堂上にはここ数日の記憶しかもう残っていなかったはずなのだ。けれど、その時は何故か倒れる前の堂上に戻っていたような気がすると郁は思った。
葬儀が終わり、官舎に戻るとガランとした空間に郁はようやく一人になってしまったことを実感した。灯りのついていない室内は薄暗く物悲しい。堂上が入院してからは休日の大半を病院で過ごし、出勤の日も朝から出向きいってきますを、職場から直接見舞いに訪れただいまもおやすみも言っていたから寂しいとは思わなかった郁だが現実に立ち返ればこんなにも寒々しい景色だったのかと愕然とする。
これからの日々をどう過ごそうかと思い始めて、郁はやっと涙をこぼすことを己に許した。ここは泣いても良い場所なのだと根気良く堂上が教えてくれた、自分の一番安心できる場所。その場を作ってくれた人はもう居ないけれど、誰よりも、何よりも、その全てを掛けて自分を愛してくれていたのだと今更気付く。
どれほど泣いたのか、次々と溢れてくる雫を拭いもせず涙も声も枯れるほどに泣き叫び、咽び泣いた。嗚咽が止まる頃には真っ暗だった夜空には朝日が差し込み始めていた。喉が乾き、立ち上がった郁は冷蔵庫を開けてすぐ見慣れないものを見つけた。いつ入れたのかも覚えていないそれは小さな半透明の箱で、中には小さな鍵が一本入っていた。
「……な……これ」
無理やり絞り出した声は掠れて音にはならなかったが、箱を手に取ると開けてみる。蓋にメモが貼り付き、見慣れていた少し右上がりの愛しい癖字が文字を綴っていた。『机』その一文字だけだが、それが示すものはすぐに分かった。堂上が自宅で仕事をするためにと購入した机の一つだけ鍵のかかる引き出しがあるのだ。
郁は思い至ると脊椎反射に等しいスピードで立ち上がり机に向かった。ドキドキと早鐘のなる胸を片手で抑え、辿り着いた机の引き出しについている鍵穴に見つけた鍵を差し込む。予想に違わずピッタリと嵌った鍵をゆっくりと回すとカチリと音がして引き出しが開けれるようになった。
「レコーダー?」
引き出しから顔を出したのはICレコーダーで、動かしてみると何かが録音されていることがわかった。もう一度引き出しを見るとそこには、また別のメモが置いてあった。『聞け』と書かれたそれは、記憶の中のどこか照れて無愛想になった堂上を彷彿とさせて郁はクスリと笑みが零れた。
指示のままにイヤホンを探してウォークマンに差し込むと再生する。少しの間、ザーッというホワイトノイズが響き壊れているのだろうか?と郁が首を傾げる頃それは唐突に郁の鼓膜を刺激した。
『郁……』
低く、落ち着いた中に潜む慈愛の声音。自分にだけ向けられていたそれは紛れもない堂上のもの。
『郁、これを聞いているってことは俺はもうお前の傍に生きて存在はしていないだろう。生きてても、きっと郁がわからない状態にまでなってるんだろうと思う。正直なところ、そんなことにはなって欲しくないがいつどうなるかわからんからな』
苦笑交じりに紡がれていく言葉はいつ録ったものなのだろうか。密やかに囁くような話し方は夜中、郁が寝てしまった後ででも録ったのだろうか? 取り止めもない思考が浮かんでは消えるが、郁の意識は完全に堂上の声と言葉へ向けられていた。
『こんな風にしか、俺はお前に言葉を残せないのかと思うと自分でも情けないが……。それでも、最後までにはお前に伝えたい言葉があったから、こうしてるんだ。何事もなく残りの人生を郁と笑って過ごしたいと思ってる。そして、自分の声で面と向かって言いたいとも思ってる。でも、最悪の事態はいつでも転がってる。いつだって、俺はお前に貰ってばかりで、お前は逆に俺に貰ってばかりだと困ったように言ってるがな。こんなにも愛しいと、全てが欲しいと、願い乞うたのは郁だけだ』
初めて聞かされる堂上の深い想いに、収まりかけていた涙が再びこぼれ始める。郁はそれを拭うことも忘れイヤホンの向こうに耳を傾ける。『郁、郁』と繰り返される名前、少し怒ったように、拗ねた声で、甘やかすように、甘えるように、様々な言い方で名前を繰り返し呼ばれるそれは、堂上の愛情をひしひしと伝えてくる。
こんなにも、感情豊かに自分を呼んでいたのかあの人は…と郁は堪らない愛しさに体を震わせる。当たり前のように傍にあった温もり。何を忘れても最期まで郁だけは、郁への愛情だけは忘れなかった堂上のその想いの深さに自分は返せていただろうかと後悔ばかりが押し寄せる。
『……郁、郁、遺してごめん。でも、お前はそのまま真っ直ぐに生きて、歳とって、それから俺のとこに来いよ。ちゃんと浮気せずに待ってるから。土産話、楽しみにしてるから』
もう、録音されていた音声が最後に差し掛かっていた。堂上が苦しそうな声で郁に生きろと告げた。そして……
『郁、郁……愛してる。お前だけ、ずっと……』
ひっそりと、大切に囁かれた言葉を聞いて郁は唐突に理解した。最後の瞬間、呼ばれて握られた手の意味を。五回、握られたそれは『あいしてる』の言葉だと。
「……ぅっ……うぅ〜っ……っしさっ……あつしさんっ……っ!!!」
気付いてしまえば、もう止められなかった。慟哭は朝焼けを迎えた室内に延々と落とされる。
「……い……! お……くっ!! おい、郁っ!!!!」
突然、激しく肩を揺すられて郁は驚きに目を見開いた。泣いて腫れた目をどうにか開くと先ほど亡くしたと思っていた夫である堂上が切羽詰まった表情で郁の顔を覗き込んでいた。
「あつ……さ……」
泣き叫んだのは違いないようで、声の出ない喉で懸命に音を紡ぎ堂上を呼んだ郁に心配そうな表情で頭を撫でる。
「怖い夢でも見たのか? うなされてたと思ったら急に俺の名前呼びながら本泣きし始めて、驚いたぞ」
郁が起きたことで少し安堵した堂上が、汗で張り付く髪をかきあげてやりながら問いかけると郁は腕を伸ばして抱きついた。そして、ぽつり、ぽつりと話し始める。堂上より早く帰ってきた郁は、家事を済ませてからテレビを見ていたらしい。そして、そこで流れた曲とドラマに影響されてか堂上が死んでしまう夢を見た……と。そして、ICレコーダーに録音された堂上からのメッセージを見つけて恋しくなったのだと。
堂上は温もりを確かめるように隙間なく体を寄せてくる郁を抱き寄せ、きつく抱きしめながらここにいるからもう少し寝ろと促す。促された郁も堂上の温もりに安心できたのかゆるゆると落ちてくる瞼を受け入れた。
「明日は、目が覚めるまでここにいて……」
よほど不安になっていたのか、可愛らしいお願いを残して郁が寝入ると堂上はほっと息を吐いた。実は、ちょうど堂上はICレコーダーに郁へのメッセージを残していたところだったのだ。いつか自分に何かあった時のために、郁がしっかりと深い睡眠に落ちているのを確認しての作業だったのだが…。
「これじゃあ、絶対に遺していけないな」
しがみついたまま寝入った郁の髪を優しく撫で梳きながら苦笑を浮かべた堂上は先ほど録り終えたばかりのデータを呼び出し削除する。こんなものを残しているのがバレたら確実に怒らせる。怒る郁も可愛いが、悲しませたくて残すものではないし、何より出来るなら自らの言葉で、声で、郁が起きている時にしっかりと伝えたいのだから。
「おやすみ、愛しい奥さん。今度はいい夢を」
もう一度髪を梳いてから額に口付けるとそう囁いて郁を懐深くかき抱きながら堂上も眠りへと落ちていった。
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職業:サボり癖のある事務員
趣味:読書・昼寝・ネットサーフィン
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実写映画から図書戦に完全に嵌りました。暢気で妄想大好きな構ってちゃんですのでお暇な方はコメント等頂けると幸い。
★ 別ジャンルのHP&ブログあり
HP:the vernal sunshine
BLOG:the vernal sunshine
取扱1:最/遊/記(夢・BLCP小説)
取扱2:テニス(夢・BLCP小説)
取扱3:オリジナル(NLCP小説)
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