龍のほこら After a marriage meeting A-1話 忍者ブログ

龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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こんばんは!
本日は久しぶりに貴族設定のお話を更新です。
今回は現在公開している郁サイドの1話と対になる篤サイドの1話になります。

楽しみにして下さっている方には大変お待たせしました。
次の話はまだ出来上がっていないのでまたしばらくお待たせするかもしれないのですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

それでは、「本編スタート」よりご覧くださいませ。






「なんであんたはそんな重要なこと言わないんだ!!!」

それが多少八つ当たりであることは解ってはいたが言わずにはいられなかった。
まさか見合いであるとは思いもよらなかったのだから・・・。



俺は先日まで直属の上官に当たるこの国でも最高権力者である王の指示で他国への出向を余儀なくされていた。
その期間、おおよそ2か月。
戻ったら戻ったで別件の仕事もあり、自宅である屋敷は人手が足りず特に俺の今後の仕事についてはそちらの知識がある者が必要となっていた。
しかし、雇うにも平民では少々心もとない内容でありそれなりの地位を持ちうる者でなければならなかった。
と、言うのも王からの直接の指示であったからで身元がはっきりとしており後見人も確かな者でなければ雇えない内容であった。
そうでなければ、とうの昔にその方面に強い平民なりなんなりを探してきて仕事を頼んでいたのに・・・。

「くそっ、帰ったら今度は雇用出来る人物を探さんとダメなのか・・・。あのおっさんは、余計な仕事ばっかり押し付けてきやがって!!!」

長期出向の帰路、馬の上で一人なのを良いことに上司の悪態をついていた俺は漸く見えてきた屋敷にホッとしながら馬の速度を速めた。
屋敷に着くと手紙で今日辺り帰ると伝えていたこともあり執事長が出迎えてくれた。

「おかえりなさいませ、ご無事で何より。」
「ああ、ただいま。屋敷は変わりないか?」
「はい。ただ、今朝早くに王より旦那様へ戻り次第城へ上がるようにと伝令がございました。」
「・・・・・わかった。」

馬を下り、厩番の者に後を頼んで屋敷の中へ入りながら留守中の話を聞けば何事もなく平穏に過ごしたらしい返事が返ってきて心配が一つ減ったなと脳内で考える。
しかし、付け加えられた一言に思わず疲れたため息と共に肩を落とせば執事長の苦笑交じりの声が聞こえてきてみなまで言うなと片手を振ると了承を伝えた。
戻り次第、ということは今すぐにでも駆けつけろということだろうがいかんせん戻ってくる時間を短縮するために休まずに帰ってきたのだが行くしかないか・・・。
小さくため息を吐いて自室で簡単に着替えると長旅を共にした愛馬ではなく別に置いている馬で城へと向かう。

「騎士堂上、帰還しました。王にお目通りしたく参上しました。」

城の門で警衛に声を掛けられ用件を告げれば、戻り次第来るとでも伝えられていたのかすぐに王の間まで通された。
中に入って一応人の目がある手前騎士の礼を取って控えていれば王の人払いの声が聞こえて人の気配が遠ざかっていく。
顔を上げろ、礼を解けと言われて遠慮なく立ち上がって顔を見れば何か企んだ顔の王が俺を見て笑っていた。

「おう、堂上、早かったな!あと2週間はかかると思っとったんだが。」
「貴方が資料を渡し損ねなかったらもっと早く終わったんですよ!!まったく、行ったら資料が足りないと言われて向こうで作らされて大変だったんですよ!!」
「そりゃ悪かったな。まぁ、いいじゃねぇか。お前が作れたから問題なかったんだろ?」
「そういう問題じゃありません!!」

まったく、このオッサンは何を考えてるんだ!!
そもそもあの書類は一介の騎士が作成するような書類ではないはずなのに、このオッサンは抜かりなく献上した書状に不足あれば騎士に作成させるよう許可まで出しやがって・・・。
恨みを込めて睨みつけるものの、飄々とした様子を崩さない王に俺の方が疲れてため息を吐いた。
そもそも、睨んだだけで反省するのであれば今ここまで振り回される俺は居ない。
仕方なく諦めて深く息を吐くと用件を尋ねるために改めて頭を上げると王を見上げる。

「で、今回呼び出した用件は。」
「お前、奉公人探してただろう?植物の育成にそれなりの知識があって身分も後見人も保障された奴を。」
「それは貴方が出した命令のせいでしょうが。」
「ああ、だから探しといてやったぞ!今度顔合わせの席を設けるからな、ちゃんとした格好で来いよ!」

王の言葉に思わずまじまじと見れば、ニヤニヤと楽しげな笑みで見返されてその不快感に顔を背けた。
顔合わせの席を設けるというのならそれなりの身分を持ち合わせているのだろう。
俺の身分は王の持つ直属部隊に所属していることもありあえて家督は継がず低い身分のまま屋敷も別邸に住んでいるが、果たしてそんな所に奉公に来る人間が居るのだろうか?
首を傾げるが王からの依頼を断れる人間は居ないはずで、設けると言うからにはやるのだろうと拒否権がないことを嘆きながら肯定の返事を返す。
ただ、気になるのは王のあの企んだような表情だが、どうせ問いただしたところで返事は返ってくるまい。

「用件がそれだけでしたら、戻ったばかりですので下がらせて頂きますが。」
「ああ、詳しい日時が決まったら連絡するからな!明日、明後日はゆっくり休め。」
「ありがとうございます。では、失礼します。」

王の言葉に2日の休暇を得て礼をすると俺は王城を後にした。
屋敷に戻って身軽な服装に着替えて寛ぎ始めると、しばらくしてふと奉公人の詳細を聞いてくるのを忘れたなと思い至る。
だが、顔合わせの事を伝えた王のあの顔ではのらりくらりと躱されて結局のところまともな情報は手に入りそうにないなと思い至れば確認するのも面倒くさく、俺はすっかりとそのことを忘れ去っていた。
時間は流れ、2日あったはずの休暇も王の急用とやらで呼び出されたおかげで1日になり多忙な日々が舞い戻っていた俺は顔合わせの事も忘れ去っていた。
その日も王に振り回されながら自分の仕事をこなしていた俺を唯一まともな上司だと思っている緒形大公が呼び止た。

「堂上、今良いか?」
「はい、何でしょうか?」

書類を手に俺を呼び止めた大公に、何か不備でもあったか追加の書類だろうかと問いかければそれに気付いた大公が温和に笑ってどちらでもないと返してきた。
そして1枚の書状を渡されて覗き込むと、奉公人との顔合わせ日時という記載と共に王の署名入りで正式な辞令としての書類が渡された。

「・・・・ここまでしなくても。」
「まぁ、そう言うな。あの人は半分以上面白がってるみたいだしな。」
「なぜでしょうか?ただの顔合わせでしょう。」
「お前・・・。」

呆れかえっていた俺に大公は何かを言いかけたが、何かに気付いて視線を俺の後ろに向けるとそれ以上は言葉を紡がなかった。
何かあるのかと振り返れば多忙の原因たる王が人の悪い笑みで大公と俺を見ていて大公に視線を向けると来い、と無言で呼んだため結局俺は言いかけた続きを聞くことはなかった。
そして迎えたのは奉公人との顔合わせの日、記載されていた時間に王の間を訪れると何故か両脇を同僚である小牧と部下である手塚に抑えられて別室へと連れて行かれた。

「おい!放せっ!!」
「まぁまぁ」
「申し訳ありません、王の命令で逆らえず・・・。」

何を言っても聞かない小牧と申し訳なさそうにしながらも腕の力を緩めない手塚に引っ張られて入った別室には、何故か俺の式典などで着る騎士衣装が用意されており身ぐるみを剥がされそうになり慌てて振りきると扉を抑えられ逃げ場を失った。
睨みつけても今にも上戸に入りそうな小牧には全く効かないことは解っているが睨まずに居られず、聞けば今日の奉公人の後見人である父親は公爵だと言う。

「そんな相手にさすがに騎士服だからって普段着じゃダメでしょ?」
「・・・・・そんなこと聞いてなかったんだから仕方ないだろう。」
「あれ?そうなの・・・?じゃあ、相手が誰かとか・・・。」
「知らん!!もう良いから出てけっ!!着替えれば良いんだろっ?!」

まだまだからかおうという雰囲気がにじみ出ている小牧をこれ以上相手にするのは嫌で、そう言うと手塚に頼んで外へと連れ出してもらう。
手塚も心得ているのか次の仕事があるのでと俺に礼を取ると俺の反応で上戸に入り始めた小牧を引きずって部屋を出て行ってくれた。
疲れた・・・そう思ってがっくりとその場に蹲るが時計を見れば時間が差し迫っている。
仕方なく、服を用意された物に着替えて部屋を出ればそこには王の服ではなく騎士の服に身を包んだ玄田王が居た。

「なんで貴方が居るんですか。」
「何と言う、お前の後見人、強いては俺が紹介人なんだ。立ち会わなくてどうする!」
「・・・・・いい迷惑だと思うんですが。」

ぼそりと呟いた嫌味は聞き流され、意気揚々と謁見の間へと移動する王にこれ以上何を言う気力もなく後をついて部屋へと入った。
部屋にはまだ相手の方は姿がなく促されて席に座ると少しして侍女が客人を連れてきたという声と共に今日の相手だろう人物が入ってきた。
1人は業務でも関わることがあり顔を知っている、高い地位に居るにも関わらず城下の民にも心を砕きその外交の手腕は国でも1、2と言われている笠原公爵だ。
そして、隣に居るのが・・・・そう思って公爵の隣に視線を向け、その腕にエスコートされて歩いてきた人物が女性だったことに思わず息を飲む。
凛とした立ち姿に、すらりとした肢体を強調するようなシンプルでいて着こなすのが難しいだろうドレスを着こなしてその人物はまっすぐに澄んだ目を俺と隣の王に向けていた。
数瞬見惚れているとこちらの視線に気づいたらしい女性と視線が絡みそうになり、慌てて顔を逸らす。
顔が赤らみ、表情が崩れそうになるのをぐっと眉間に皺を寄せることで堪えて王の言葉で顔合わせと聞かされていた会食が開始された。
配られたお茶は目の前に座っている女性が手ずから育て、作ったお茶らしいと聞いて純粋に驚く。
この年頃の貴族の娘というのは、庭仕事などは一切せず己を聞かざることに忙しいイメージしかなかったのだから目を瞠るしかない。
マジマジと見れば、女性は恥ずかしげに頬を染めて俯いてしまい、その姿は先ほどの凛とした強さやしなやかさをかき消す様に可憐だと我ながら自分らしくないことを考えてしまい咳払いをした。

「これは、花に名前があるのですか?」

自分の気持ちも何もかもを誤魔化すために、俺は質問を口にした。
一番重要なのはその容姿や趣味ではなく今後、俺の仕事となることに役立つ知識を持っているかということだ。
王から指名されて密かに行われることになった仕事はいくつかのハーブを国の農業に汲み込み、そのハーブから生産可能な物を産業化出来ないかという物だった。
その上で必要な知識を彼女が持っていなければどれほど身元が確かであっても雇うには弱い。
そう思って訪ねれば先に口を開いたのは公爵の方だったが、すぐに令嬢である女性へと話題を振ってくれた。
女性の方は質問をされるとは思っていなかったのだろう俯いたままカップをまんじりと見つめていたが、公爵に呼ばれて驚いたように顔を上げると俺と王、そして公爵を順に見ながらも答えを口にした。
突然の指名に驚きや戸惑いがあったのだろう、つっかえながらの返答ではあったが望む返答を返されてそのカミツレと言われたハーブに興味を覚える。
次々に質問をすれば、1つ目の回答で緊張が取れたのか即答に近い速さではっきりと返ってくる返事が小気味よい。
これは、ここまで出来るなら男性ならばきっとある程度の出世が望めたかもしれない・・・勿体ないな。
素直にそう思い、感心したゆえにそれをそのまま賛辞として彼女へ告げた。
いや、告げるために口にしたというよりは心底感心したからこそ口を突いて零れ落ちた、そんな感じだった。

「失礼ですが、お嬢さんは女にしておくのが惜しい気性のようだ。」

もっと勉強し、知識をつけることが出来れば女性でももっと上を目指すことが出来るかもしれない。
勝手なことを言うことはためらい、それは口にしないまま説明されたお茶を眺め、口に含んで味を確認し、控えていた侍女に頼んでお代わりを頼む。
そこでふと空気が凍りついていることに気付いて顔を上げると目の前の女性はその綺麗な琥珀色の瞳から雫を零し静かに泣いていた。
何故?そう問うよりも先に公爵が俺の視線に気づいたのか女性の方を見て驚くとそっと声を掛けた。
公爵がそっと頬を撫でるとぼんやりとしていた女性が我に返ったのか扇子で顔を隠し暇を告げたいと申し出て席を立った。
その表情が酷く傷つき痛そうなのを見て、俺は自分の落とした言葉を反芻するが正直なところ意味が解らなかった。
公爵という地位に居る父親を持つ令嬢が奉公に上がるならば、その向上心を持って上を目指しているのだろうから俺は褒めたつもりだったのだ。
しかし、女性が去った室内では鎮痛な面持ちで王が額を抑えて深いため息を吐いてくる。

「一体・・・彼女は女性がてらに上を目指してるのでしょう?男に劣らないとう意味でも褒めたつもりですが?」
「・・・・・・お前、会食の相手が女性なのに何とも思わんのか!」
「珍しいとは思いましたが、公爵令嬢なのに奉公に出るのを許容するくらいですから向上心のある方なのでしょう?」
「お前・・・・そうだったな、お前は堅物の朴念仁だったな。俺の手落ちだ・・・・これは、見合いだ。お前と、あの令嬢の。」
「は・・・・?」

未だに肩を落として頭を押さえている王の言葉に、一体なんだと思い返事を返していれば最後に思わぬ言葉を告げられて間の抜けた声が上がった。
見合い?見合いだと?俺と、彼女の?

「それは、あの令嬢には・・・・。」
「もちろん伝えてあるからそのつもりで来ただろうな。」
「来ただろうなって、それじゃあさっきの俺の言葉は・・・。」
「当然、侮辱にも値するだろうな。」
「あんたは・・・・なんでそんな重要なこと先に言わないんだっ!!!」

思わず、そう、思わず・・・だ。
言わずには居られなかったのは仕方がないと言いたい。誰にだ、誰かにだ。
王の方も言わなかった俺も悪いなと苦虫を潰した表情で深い息を吐き、詳細を説明してくれたが今更だ。
女性らしく着飾った彼女を美しいと思わなかったわけではなく、むしろ好ましいと思える容姿だったからこそ仕事だと意識を切り替えていたのに。
王曰く、奉公と見合いは別物で俺が彼女に手伝いを頼むつもりなら奉公には来てくれるという話ではあったが・・・。

「どうすんだ・・・。」

王と散々口論した後、自分の屋敷に戻った俺はベッドに座り込んで頭を抱えた。
口は上手くないし要らんこと言いの自覚はあるが今回は最大で最悪のケースに違いないと深いため息が落ちる。
不敬にあたるのはもちろんの事、間違いなく傷ついただろう彼女に謝罪を伝えたとしてどれほどを信用して貰えるのか。
しかし、これ以上身元がはっきりとした必要な知識を持つ人間も他に見つからないため一から己で全てやるよりは助けて貰える方がありがたく。
俺はキリキリと痛みそうになる胃を抑えながら書状をしたためるために書斎へと移動した。
彼女から奉公に上がることを了承する返事を貰えたのは書状を出したその数日後、さらに彼女の出で立ちに驚き、それがきっかけで賑やかな日々が始まるのは数週間後の事だった。

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