龍のほこら ハロウィンの惨事 忍者ブログ

龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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Happy Halloween!!

と、言う訳で、ハロウィンにちなんだ何かを書こうと思ったのに書きだしたら全く関係ない代物が出来上がりました(・w・)
展開が早すぎて、なんだこれ?! な作品ですが、更新停滞してるし、せっかく書いたし、という勿体ない精神(貧乏性ともいう)でアップです。

よろしければご覧くださいませ。

上官部下期のつもりで書いたけど、恋人期みたいになっているのはご愛嬌です←
どちらと取って頂いても構いません、お好きな時期に設定してやってくださいませー!

では、「本編スタート」よりどうぞ。




郁は今、人気のない倉庫らしき場所で複数の男たちに囲まれてピンチに陥っていた。
本日の郁は業務部への貸し出しとされ、イベントの手伝いをしていたはずである……が、気付けば意識が遠のき気付いた時には見慣れないが幾度かは利用したことがある倉庫らしき部屋の中。

「な……に……?」

郁は追い付かない思考を必死に巡らしながら、目の前に居る男たちを見る。
男たちは一様に顔を隠すような仮装をしているため、元々が顔覚えの悪い郁には誰が誰だかわからない。
しかし、自分がここに来るまでにかかわったのは業務部がほとんどである。つまり、そういうことなのだろう。
自分の状況を確認するために視線を巡らし、手足を動かそうとするが椅子に縛り付けられているのか身動きが取れない。
声を出そうにも、掠れた喉では思うような声も出ない。
口元だけが見える男の、その唇が下品な笑みを浮かべて郁を上から下へと品定めしている。
今日の郁の格好はイベントの為に魔女の格好を柴崎により着せられている。短めのスカートは膝上十五センチほど、網タイツを履いてロングブーツを履いた足は絶対領域もまぶしい垂涎の逸品。
ジリジリと近づいてくる男たちの視線がねっとりとした痴漢に向けられるそれと同一で、ぞぞっと郁の背を悪寒が走る。

「ぃっ……やっ、やだっ……」

パニックになりそうな頭を必死に叱咤して逃げる方法を考えるが、手足の自由がないというのは非常に痛い。
だが、必死に考えた郁は今朝柴崎に持たされたモノの存在を思い出しそれがある位置と手の位置、それに可動域を確認する。
不審に思われないように怖がり、怯える演技――とはいえ、半分は本気の恐怖が混じるが――をしながら手を動かす。
我慢出来なくなったのか、一人の男が近づいて手を伸ばしてくる。短いスカートの裾から見える網の中の素肌。
これに手が触れそうな位置まで男が来た時、郁は丁度手に目的のモノを捕まえて勢いよく身体を動かした。

がったーーん!

派手な椅子が倒れる音と共に、甲高い痴漢避けの防犯ブザーがけたたましい音を立てて鳴り始めた。

「お、おい! どういうことだっ!?」
「聞いてないぞっ?! 何も持ってないって言ったじゃねぇか!」
「ボディチェックした時はどこにも何もおかしい物もなかった! 間違いないッ!」

大きな音に驚き、慌てふためく男たちを横目に倒れた勢いと角度で緩んだ紐を解こうと倒れ込んだ痛みを無視して郁はもがく。
この部屋は遠く隔離されているようで実は重要書類などが閉まってある倉庫が近くにある為巡回経路に入っていたりする。
この業務部員たちと思如き男たちがそれを知っているかはともかくとして、タイミング良く巡回の人間が来ることを願いながら片手を解くと反対の手も解き始める。

「あっ!」

両手を解き、片足も解きかけた所で漸く慌てていた男の一人が郁の様子に気が付いた。
最後の紐を解きながら、伸びてきた手をバチッと勢いよく払うと男が立ちすくむ。

「あんたたちッ、何の為にこんなことっ!」

最後の一つを何とか解き切り、しかし倒れた時にひねったのか立とうとすると痛む足を庇うように後ずさった郁は目の前を塞ぐ男たちに怒鳴る。
しかし、体制を立て直した男たちは数があれば大丈夫だという考えなのか竦みもせずニヤニヤと悪い笑みを浮かべている。
身体検査をしないとな、などと言う男たちはやはりこの場所が巡回経路に入っているとは思っていないのだろう。
室内を見ても時計はなく、腕に嵌めていたはずのそれも取られているのか見当たらない。時間が判らないためにいつ警備が来るか判らないが出来る限りこの音を長引かせなければと、郁は乱闘の覚悟を決める。
ジリジリとにじり寄ってくる男たちに、ブーツで何とか固定されている足の具合を確認しながらも間合いを取る。
一触即発、といった雰囲気が高まりつつあったそこに、突然襲い掛かったのはどんどんどんどん! という激しい扉を叩く音だった。

「笠原ッ!」
「きょーかんっ!」

ガチャガチャと扉を開けようとする音と共に、郁が絶対の信頼を置く男――堂上の声が響き、郁がそれに声を返した。
男たちは更に慌てふためくが、出入口は今堂上が開けようと乱暴に扱っているそこだけである。
窓はあれど、階が3階と飛び降りるには無理があり過ぎる場所で、どう見ても多勢無勢、弁解のしようもない状況である。

「お、おい! ここには誰も近づかないって言ったの誰だよッ!」
「い、いやッ、だってここ誰も使ってないし普段来ねぇ場所なんだぜッ?」
「図書館からも一番離れた棟なのになんで……ッ!」

男たちがどうしようとうろたえている中、ガンッ! とひときわごつい音が響いたかと思うとギィッという鈍い音を立てて扉が開いた。
鍵がかかっていただろうノブは壊され、開いた扉の向こうには鬼の形相で仁王立ちしている堂上と小牧が、その背後には柴崎が立ち、それを庇うように手塚が立っている。
郁を囲っていた男たちは、ギシリと固まり、堂上の声を聞いた安堵から瞳を揺らした郁がびっこを引きながらその間を駆け抜け堂上に飛び付いた。
未だに甲高い音を鳴らし続ける郁の背に、そっと回ってその音の元を外し止めたのは柴崎だった。

「遅くなって悪かった、大丈夫か?」
「っ……だぃじょぶ……」
「小牧、後は任せていいか?」
「もちろん。早く笠原さん医務室に連れてってあげて。足、ひねってるみたいだから」
「ああ」

抱き着いて離れない郁の背に手を回し、触れた素肌に眉を寄せた堂上が自分の背中に広がっていたマントをばさりとなびかせて郁の背に掛けて抱き上げると歩き出す。
いわゆるお姫様抱っこであるそれを非常事態だからと平然とやる堂上に、呆気にとられるはずの人間はそこには誰も居ない。
ついでに怖い思いをした郁の前でそれをからかう子供も居なかった。
駆け付けたのは堂上班と柴崎だけではなく、館内警備をしていない特殊部隊の一班も来ており事情聴取には事欠かない。

「さて……どういうことか説明してくれるよね?」

室温を二度も三度も下げるような冷たい笑みを浮かべ、小牧が中に居た男たちに対峙するのが遠くで聞こえる。
郁は今更ながらに襲ってきた恐怖に身体を震わせ、安堵をくれる堂上の体温に擦り寄る様に腕を首に絡めその首筋に顔を伏せてスンスンと鼻を鳴らしている。
そうして運ばれた医務室で靴を脱がされアイスノンを当てられながら、郁もまた事情聴取を受けることとなった。

「すみません……気を付けていたつもりなんですけど」
「いや、今回はどうやらあいつらだけじゃなかったらしい。計画自体はあいつらが立てたようだが、それに女性業務部員も加担してた」
「……そう、ですか」

同じ図書隊の人間に嵌められたという事実に、内心で苦い物をかみ砕きながら俯く郁にぽんっと堂上の手が乗る。
くしゃりと撫でて、ぽんぽんと跳ねる手がその動作を繰り返すと少しずつ郁が顔を上げてチラリと上目遣いに堂上を見ればその視線が絡む。
零れ落ちそうな雫は、辛うじて眦に留まり視線が絡んだままゆっくりと髪を梳く様に手が滑っていく。
擽ったそうに首を竦め浮かんだ笑みに、ぽんっと仕上げの様に手が跳ねて離れていく。
離れた手は屈んだ身体と共に下に降りて冷やしていた足からアイスノンを取って様子を見てくる。
本日の堂上は警備だが仮装を義務付けられて班丸ごとで吸血鬼になっている。先ほど郁の背を隠したのも仮装の為に着けていたマントだった。
今は外されて郁の膝辺りまでを隠すように置かれているが、郁はその女の子扱いがくすぐったく照れを抑えるようにマントを手に握り込みもじもじとさせている。

「笠原、この網タイツは脱げるのか?」
「あ、はい。太ももで止めるタイプなので」
「なら、カーテン閉めるからこっちの足だけ脱げ。湿布貼って固定してやる」

そう言って一旦離れる堂上の後ろ姿を見ながら、郁は今回の件について話された時のことを思い出す。
今回、実は柴崎に男性の業務部員が何か目論んでいるのではないか、という密告があったのだ。そうして密かに調査した結果、今回のハロウィンのイベントに乗じて郁が何かされるのではないかと予想された。
結論から言えばその通りに実行され、郁は囚われの身になった。警戒していたにもかかわらずそうなった理由は、どうやら業務部の一部の女性が関わっているらしい。
郁は座ったままマントを取り、スカートからするりと網タイツを負傷した方だけ抜き取る。

「きょーかん」
「ん、開けるぞ?」

ベッドにタイツを置いてマントを掛け直すとカーテンの向こうに声を掛ける。
振り返る気配に掛けられる声、そうして足元に跪く堂上が具合を見ながら郁の様子を確認するために視線を上げるのをドキドキしながら見つめる。
郁はどうして自分が標的になったのかを説明された内容を思い出し、フルリと身体を震わせる。
半分は錬成教育時代に座学は落ちこぼれ状態だった郁のエリートコースを走る様子を気に食わない男性、半分はおとり捜査で見かけた郁に邪な想いを抱きそれを味わいたいと思った男性。
それに引っ張られた堂上班の誰かに恋をしているらしい一部の女性たち。今回の用件はこれが上手く絡まりあった結果だという。
言われた時には判らなかった邪な想いに思い至り、あの気持ち悪い視線をも思い出し震えが大きくなる。
処置をし終えた堂上がそれに気付かないはずはなく、膝上に置いていたマントを取り上げて広げると郁の肩に掛けると引き寄せられる。
腕の中に囲われて、郁はほっと無意識に詰めていた息を吐き出すと遠慮がちに堂上の背に手を回し、服をきゅっと握った。

「大丈夫か?」
「はい……教官、来てくれたから」
「そうか。足は折れてはなさそうだが、明日の午前中半休取って医者に行って来い」
「そんなっ! 大丈夫ですよ!」
「ダメだ。ただひねっただけよりも大分腫れてる。どうせ明日の午前中は訓練だ。この状態じゃ参加させることは出来ない」
「でも……」
「付き添うか?」
「一人で行ってきます!」

ぐいっと強く引き寄せられて、堂上の胸の下あたりに頬を当てる形で抱き込まれ、トクトクと鳴る心音に目を閉じ聞き入りながら静かに掛けられる言葉に返事を返す。
訓練に参加出来ないのが悔しくて、服を握った手の力が入るが宥めるように頭を撫でられて直ぐにゆるゆると力が抜けていく。
からかうような声で付き添いを匂わされて、大慌てで否定するとククッと低い笑いが堂上の胸を通して郁の鼓膜を揺すった。
良い子だ、というように撫でる手に目を閉じると、ふわふわとした心地がやってくる。

「笠原」
「んっ……きょーかん」
「おい、寝るなよ?」
「おきてます」
「寝そうだな。ほら、もう部屋に戻れ。飯は弁当でも買ってきて柴崎に持たせるから」
「や、です……もうちょっとだけ……」
「はぁ、仕方ないな……」

先ほどまで張りつめていた物が、完全に消えるのと同時に、郁は一番安心できる腕の中ですとんと眠りに落ちた。
寝るな、と言ったのに寝落ちた郁を苦笑しながら抱き上げ寮の部屋に運び、更に駅前の弁当屋まで出て弁当を買って目が覚めたら食べさせてくれと柴崎に渡した堂上が小牧を上戸にするのはその夜のこと。

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