龍のほこら きみのとなり ~元旦~ 忍者ブログ

龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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新年明けましておめでとうございます!
今年は新年のご挨拶とともに更新をすることが出来ました!

なかなか更新がはかどりませんが、本年も皆様と一緒に楽しめたら嬉しいなと思っております。
のんびりとお付き合い頂けますようお願いいたします。


更新は『きみのとなり』で新年のワンシーンでございます。
あちらこちらに飛んでしまって支離滅裂ですが……orz
皆様の脳内で補完して頂けますと幸いです。

ではでは、「本編スタート」よりご覧くださいませ。
「篤兄ちゃん、本当に私が行ってもいいの?」
「当たり前だろう?」
「でも……」
「ちょっと挨拶したらすぐ分かれる。……やっぱり嫌か?」
「……ずるい」

郁は着慣れない振袖に袖を通し、やって来た堂上に思ってもみなかったことを言われて戸惑い一歩を踏み出せずにいた。
新年を迎えたその日、堂上と初詣に行こうという話になり張り切った母が郁に振袖を着せていた。郁としても、堂上に少しでも可愛く見てもらいたい気持ちがあり逆らいきれなかったため、割合素直に着付けられていた。
迎えに来た堂上は郁の姿に目を瞠り、柔らかな笑みを浮かべると可愛いと褒めると手を取り挨拶もそこそこに郁を連れ出した。
そんな堂上の姿も濃紺の上質な着物と羽織りを着こなして、郁は頬を染めながらかっこいいと小さな声で褒めて繋いだ手に力を込める。
しかし、家を出て少し歩いたところで堂上から初詣の前にサークルのメンバーに会うことになったと言われ、郁は怖気づいてしまい冒頭の会話となった。
堂上は歩みが遅くなる郁に合わせて歩調を緩めながら郁の不安を取り除こうとするが、延々言い続けて下手すれば帰ると言い出しそうな雰囲気に下から覗き込んで問う。
視線を合わせれば、羞恥と不安に僅かに潤んだ琥珀色が拗ねた様な表情で堂上を睨んでくる。嫌か? と聞かれれば嫌じゃないと言ってくれるという確信が堂上にあり、郁もその聞き方に弱い自覚があった。
だからこそずるい、と拗ねてみせたのだがデートをキャンセルするよりさっさと済ませて郁と一緒に居たいという堂上の気持ちも見えて、郁は戸惑いつつも覚悟を決めるとコクリと頷く。

「あいつら、お前が見たいっていうのもあるんだろうな」
「え……?」
「大分前から噂になってるらしいんだが、俺がベタ惚れの彼女が見たいんだと……ベタ惚れなのも可愛いのも否定しないが、人のデート邪魔するのはありがた迷惑だ」
「えぇ? あ、篤兄ちゃん?」

ぶつぶつと郁の手を引いて歩きながら言う堂上に、郁はついていけない。惚気そのものの愚痴に顔が真っ赤になるのを止められず、わたわたと慌てていると不意に不機嫌顔で堂上が睨んで来て動きを止める。

「な、何? 篤兄ちゃん?」
「それ、今日からやめるように練習しろよ」
「え?」
「俺はお前の兄貴か?」
「あ……えと、その……」
「いーく?」
「あ、つしさん……」
「ん、良い子だ」

睨んだまま何も言わない堂上に、恐る恐る問いかけた郁は呼び方を指摘されて言葉に詰まる。幼いころからずっと呼んできた呼び方だが、自分の中でも少しだけ引っかかっていた。
彼氏への呼び方じゃないと思っても長年呼び慣れた呼び方を変えれず、堂上が何も言わないのに甘えていた。名前で呼ぶのが恥ずかしいというのもある。
そこを今指摘されて、郁は頬に一気に朱を昇らせながらも催促するように甘い声で名前を呼ばれて恐る恐る名前を口にする。
初めての呼び方に、呼んだ後俯いてしまったが堂上よりも郁の方が背が高いため覗き込まれれば丸見えである。
セットされた髪型を崩さないように、ぽんぽんと頭の上を跳ねる手と絡む指に余計に頬が朱に染まっていく。
堂上がそれに頬を緩ませていると、あと数メートルのところに目的の神社が見えてきた。鳥居の前にはわざわざ会いたくもないサークル仲間の男どもが群がっている。

「お、堂上来たぞ!」
「あ、ほんとだ! すげぇ可愛い子連れてやがる!」
「うわぁあぁっ! 本当だったのかよ!」
「あの仏頂面がなんであんな可愛い子をぉおおぉぉっ!」

一人が堂上を見つけると次々と他の仲間たちが騒ぎ出す。堂上の方はその騒ぎ方と郁への視線に小さく舌打ちをし、郁はその勢いにびくびくしながらも堂上の後をついていく。
堂上が仲間たちのいる場所に辿り着くと、一気に群がられて郁は堂上と繋いでいた手を放すしかなくオロオロと仲間にもみくちゃにされる堂上を見ていることしか出来ない。
騒いでいる中に入っていくことも出来ず、少し離れたところで待っていると不意に誰かに肩を掴まれた。

「ねぇ、君。一人? 俺らと一緒に初詣行った後遊ばない?」
「え?」
「お、可愛いじゃん! 遊ぼう、遊ぼう」
「えぇ? い、いえ、私連れが居て!」
「えー? 全然いないじゃーん? 嘘ついたらダメだって」

離れたところに連れていかれている堂上と、郁の傍に居る知り合いが誰もいないため一人と思われて少々性質が悪いナンパに引っかかってしまったのだ。
しかし、郁はこの手の人間には慣れておらず、肩を掴んでいた腕を腰に回されて男たちに囲まれてしまえば服装も相まって逃げられない。
触れてくる手に嫌悪を感じ、その気持ち悪さに僅かに身体が震えてしまう。何とか堂上を呼ぼうとするが、堂上は未だに仲間たちに絡まれているようで郁には気付いていない。
震える声は力が入らず、大きな声も出せない。

「い、いやです。やっ、離してッ!」
「ちっ、暴れんなって。別にひどいことしようなんて思ってねぇからさぁ」

嫌だ、と必死に首を振り逃げようとする郁に、男たちは舌打ちしながらも押さえつけ始める。

「やっ、だっ、篤さんっ!」
「郁ッ!」
「うわっ?! な、なんだよお前ッ!」

連れていかれるかどうか、というところで仲間を蹴散らして駆け付けた堂上が郁を男たちの中から引っ張り出した。
自分が良く知る腕が自分を抱きしめてくれていると思った郁は、半泣きで堂上の身体にしがみつくとその肩口に顔をうずめる。
郁を取り上げられた男たちは振り返って堂上を睨みつけるが、それ以上に怖い形相で睨み返されて腰が引けるとなんだよと言いながらその場を去っていく。
その背中が見えなくなるまで睨んでいた堂上は、消えたのを見届けてホッと息を吐くとしがみついている郁の背を撫でる。

「悪い、あいつらあしらうのに時間かかった……」
「こ、怖かった……」
「悪かった」

カタカタと小刻みに震える郁に少し避けようと促し、隅の方に移動する。ちょっとした騒ぎになりかけたのは、堂上のサークル仲間が誘導して散らしていく。
堂上は隅の方にあったベンチに郁を座らせるとその横に座り抱き寄せながら何度も頭を撫でる。
その表情は苦味走ったものだが郁には決して見られないようにして、郁を覗き込むとポロリと涙が零れた。

「郁、ごめん」

堂上がその涙に心を痛め、心底謝罪の言葉を口にするとフルフルと首を横に振った郁に抱き付かれる。肩に顔をうずめ、嗚咽をこぼすのを受け止めていると堂上を抑え込んでいたサークル仲間が集まってきた。
堂上と郁の前に並ぶと顔を見合わせて頷き合い、がばりと頭を下げた。

「ごめん! 堂上の彼女が可愛いのが羨ましくて、堂上気付いてたのに俺ら抑え込んじゃって!」
「怖い思いさせて本当にごめん!」

代表でだろう一人が言うと、郁がビクリと肩を揺らした後顔を上げる。問うように堂上を見れば、苦い顔をして助けに行けなかったんだから一緒だというように首を振られる。
郁はそれだけで堂上が自分を気にかけていなかったわけではないと知れてホッとすると、僅かにだが微笑むと堂上の手が郁の頬を撫で涙を拭っていく。
それからちらりと横を向き、今だ頭を下げたままの仲間たちを見ると郁を見る。

「あの……大丈夫でしたから、気にしないでください」
「次同じことしたらただじゃ済ませないからな」
「あ、篤に……あ、えと、篤さん」
「解ってる、もうしない」

顔を上げた仲間たちが真面目な顔で頷くのを確認して、堂上は一つ息を吐くと頷くことで話を収めると改めて郁を紹介する。
郁の方も落ち着いたのか震えも止まり、郁らしい笑みでぺこりと頭を下げる。
しばらく会話をすると、全員で初詣の列に並び参拝を終わらせた後は堂上は郁と、仲間たちは別れてそれぞれの目的地へと移動していく。

「郁、服そのままで大丈夫か?」
「あ、うん。まだ大丈夫。脱ごうにも時間かかるし」
「そうか。じゃあ、少し歩いてから家戻ってゆっくりするか」
「篤さんの部屋行って良いの?」
「今日はな」
「やった!」

神社の近くにある商店街で正月セールをやっていると別れ際の友人たちが言い置いていたので、そこを冷やかしてから家でゆっくりと部屋デートをすることにして堂上は手を繋ぐ。
郁の方も先ほどの件があり絡んだ繋がって手の指を自分から絡めぎゅっと力を入れ、その肩に懐く。
ゆっくりと商店街に向かって歩き出すと、二人で会話を楽しみながら商店街に向かった。

「すごい楽しかった!」
「商店街も最近は色々やるんだな」
「ね、くじ引きはちょっと外れだったけど……」
「なんでだ? それ、可愛いし似合ってるぞ?」
「だって……子供っぽくない?」
「大人だって好きな人は好きだろ?」

商店街では正月セールのほかにくじ引きなどもやっており、郁は大きな熊のぬいぐるみを抱きかかえていた。
両手で抱きかかえているため、堂上は郁の腰辺りに手を回し二人寄り添って帰路についている。
可愛い物を持つことにいまだに抵抗感がある郁は人形を見下ろしながらも自信なさげに呟くが、堂上はそんな郁に大丈夫だと言い聞かせる。
付き合い始めて一年を越えて、堂上の可愛いや似合うという言葉を否定することはなくなってきた。それでも、年上の彼氏を持つ郁としては、子供っぽいところは出来るだけ直したいと思っているのだ。
恐る恐る伺う郁に堂上の方がきょとんとした表情を見せてしまう。当たり前の様に問題ないことを伝える堂上に郁は安堵したのか、可愛らしい笑みを見せてコクリと頷くとぎゅっと熊を抱きしめて堂上を見る。

「ありがとう」
「どういたしまして、だ」
「着替えたら行けばいい?」
「いや、一緒に家まで行って待たせてもらう」
「いいの?」
「ああ、親父さんにも寄ってけって言われたしな」
「うん……」

満面の笑みでお礼を言う郁に微笑み、頭をぽんぽんと撫でなる頃には門の前に辿り着く。
一度分かれるのかと僅かに寂しそうな表情を覗かせた郁に言うと、照れた様な表情で頷き郁は先に門をくぐった。
堂上も後に続くと笠原家へと入っていく。最終的には郁の兄三人と父親に捕まり、部屋デートは出来なくなるのだがそれはそれで楽しかったと翌日に郁は楽しそうに笑って言うことになった。

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