龍のほこら 等身大のポートレート ~2017年WD~ 忍者ブログ

龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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こんばんは、ホワイトデーですね!
新年早々に更新し、バレンタインをポートレートで書きたい! と思ったのに仕事で邪魔されました龍春です。
と、言う訳でホワイトデーに書いてみましたがあんまりポートレート要素はない……=w=

ま、まぁ、こんなポートレートのワンシーンも良いよね! ってことで流してさらっと読んで頂けると幸い!!
まだお話が進んでいる様で進んでいないため、パラレルワールド的に読んでくださいませ。

ではでは、ご興味がある方は「本編スタート」よりご覧くださいませ。

拍手[36回]


お菓子が溢れるデパートの一角で、そこに似つかわしくない見るからに硬派な印象の男が一人眉間にしわを寄せて悩んでいた。
目の前には様々なお菓子が並び、中には小さな小物やポーチなどとセットになった物もある。
男はそれらを目の前に、悩みながらも途方にくれながら既に一時間近くが経過しようとしていた。

「……あり過ぎると、判らん」
「何やってんの?」
「っ?!」

出来るだけ近所ではないデパートに居た男は、後ろからかかった声にビクリと面白いほど跳ね上がると慌てて振り返る。
そんな男に声を掛けた人物の方はその様子に驚きながらも、次の瞬間その場に崩れ落ちそうなほどの笑いに襲われてお腹を抱え涙目で肩を震わせ声を殺している。
驚き振り返った男は堂上篤、声を掛けた方も男で小牧幹久である。

「くくっ……ふっ、はっ!」
「笑いたければ屋上にでも行って来いッ!」
「はははっ! ご、ごめんっ! も、ちょっとっ……!!」

よほどツボにはまったのか、元々笑い上戸と言えるほど笑い出したら止まらない小牧は不機嫌そうな堂上を物ともせず、その肩に手を掛けると必死に笑いを治めようと努力している。
堂上もそこで騒ぐことは出来ないと思っているため、顔を赤くしそっぽを向きながらも大声を出したりはしない。
ただ、低い声で脅すように小牧に声を掛けては見たが当然ながら小牧がそれくらいで竦むはずもなく、笑い続けている現状を甘んじて受け入れている状態である。
暫くしてようやく笑いを治めた小牧が、ああ、笑ったと楽しげにつぶやきながらも改めて声を掛けると、堂上は面倒なやつに見つかったという顔をしながらも少しだけホッとした表情を見せた。
年下の女性の幼馴染が居り、その性格から女性に対しての気遣いなど細やかな小牧は当然ながら女性の流行や好みなどと言ったものにも敏い。
見つかってしまったのなら開き直って聞いた方が良いと思ったのだ。

「で、笠原さんへのお返し?」
「っ……そ、うだ」

にんまりと人の悪い笑みをした小牧の一言に、違う、と叫びそうになったが咄嗟に飲み込むとぎこちないながらも頷く。
折角貰った物へのお返しを否定するのは、貰った事実も否定することだと思った故の行動だったが小牧が僅かに目を見開くのに居心地が悪くなり堂上は視線を逸らす。
今までならお返しをするという行動自体もさほど深い意味で考えたことがなかった堂上であり、それを学生時代から付き合いのある小牧は知っているのだ。
今まで彼女が居たこともあり、その内の何人かはもちろん小牧も知っておりその女性たちにはせがまれるから買うようなそんな状態だったことも知っているから余計、なのだろう。
小さく、諦めた様に息を吐いた堂上が視線を小牧に戻すと、何故か小牧は嬉しそうな笑みを浮かべて堂上を見ていた。

「なんだ……」
「いや? 良い傾向だなって」
「……ほっとけ」
「それで、何悩んでるの?」
「色々あり過ぎて何にしたらいいのか判らん」
「ああ。わざわざ持ってきてくれたから……」

ニヤニヤと楽しげな笑みで突っつかれ、憮然とした表情になるが堂上は逃げるでもなく商品の棚を見る。
横では小牧がお菓子じゃなくてアクセサリーとかにしたら? と助言らしきものをしてくるが、堂上はそれをまだ早いと却下する。
まだという言葉にニヤリとまた笑みを深めた小牧だったが、そう、と言うだけでじゃあ頑張ってと言って肩を叩くと離れていく。
振り返れば小牧の手には可愛らしい紙袋があり、既に買った後だったと今更気付いて堂上は自分の余裕のなさに小さなため息を落とした。
一か月前のバレンタイン、会う約束も何もしていなかった堂上は当然ながらそんなイベントは脳内にはなく珍しく事前の連絡もなく訪ねてきた郁に真っ赤な顔で紙袋を差し出され漸く思い出した。
堂上が驚きながらも勢いに負けるような恰好で紙袋を受け取ると、郁は引きとめる間もなく走り去ってしまった。あれぞ脱兎か……などと現実逃避に近い別事を考えてしまったのは余談だ。
そうして、紙袋に入っていたのは可愛らしいカードにいつもありがとうございますの文字と手作りに見える少しだけ不格好なトリュフがいくつか。
元々、甘すぎる物は苦手だという話を会った時の会話のどこかでしていたのか、郁がくれたトリュフはリキュールが効いたビターチョコで作品が詰まりかけていた堂上にはとても良い気分転換になった。

「助かったから、その礼だ……」

貰った日のことと、その後に食べたチョコの事を思い出し緩みそうになる頬を引き締めながら、ぽつりと言い訳のように呟いたのはただの照れ隠し。
自主的に女性にこういうプレゼントを贈る等、幼い頃に母親への贈り物を考えた頃以来のことだ。
何を渡したら喜んでくれるだろうかと悩み、結局堂上は可愛らしいテディベアのキーホルダーとクッキーがセットになったモノを手に会計を済ませると自宅に帰った。
そして、迎えたのは三月の十四日、ホワイトデー。堂上は予め郁に誘いをかけて食事に行くことにしていた。
行ってみたい店があるが、オシャレで女性も多そうだからなかなか行けないという言葉に私で良ければと頷いてくれた郁は少しだけ表情が暗かった気がする。
迎えに行く車の中で、堂上はそんなことを考えながらチラリと助手席を見る。小さめの可愛らしい紙袋が無造作に助手席に置いてある。中身はもちろん郁へのお返しだ。
駅に車を寄せると郁は既に到着していて、窓を開けて声を掛けるとふわりと嬉しそうな笑みを見せた。
相変わらずパンツスタイルだが、今日はトップスの裾が長めのワンピーススタイルで柔らかい雰囲気が可愛らしい。
堂上は頬が緩むのを許し、柔らかな笑みを浮かべて郁が近づいてくるまでの間に運転席から身を乗り出して助手席のドアを開けると中へ招いた。

「ありがとうございます」
「いや、こちらこそ予定空けて貰って悪いな」
「そんな! どんなお店なのか楽しみですから!」
「そうか……小牧に聞いたら良さそうだったんだが、妹に偵察して来いって言われてな」
「妹さんに?」
「ああ。兄を兄とも思わない妹だ」

座席にある荷物に気付き、ギシリと固まった郁を見て紙袋を退けて座る様に促せばぎこちない動作で座ってシートベルトをする。
その間にも言葉を掛ければ少しだけぎこちなさが取れたがやはりどこか気まずそうな様子で、堂上は肩を竦めた後一度どかした紙袋を無造作に郁の膝へぽんっと置いた。

「これお返し、な」
「え?」
「……先月のチョコ、あれ、バレンタインだろ?」
「あ……き、気付いて」
「ああ。今日、ホワイトデーだって気付いてるよな?」

だから、お返し。と照れくさくて無愛想な声と表情になりながらも郁の方を見ずになんとか伝えれば横から視線が投げられる。
じっと見ているのを感じながらもそちらを見ずに出すぞ、と声を掛けて車を動かし始める。食事に誘った時の様子で、念のためと妹の話をすれば少しだけ安堵の表情。
紙袋に気付けば再び僅かに暗い顔で堂上は郁の素直な様子に、都度とくり、とくりと心臓が跳ねる。
手ごたえはあるが、どう攻めるべきか考えあぐねて当たり障りなく、そんな日々がそろそろ続いている。
いい加減覚悟を決めたいが断られるのも怖い、そんな情けない自分に内心で舌打ちしながら今日も楽しい食事の時間を過ごし、軽くドライブして郁の自宅へと送り届ける。

「堂上さん、コレありがとうございました! その、私にはこんな可愛いの似合わな……」
「似合う」
「え……?」
「笠原さんは、可愛いよ」
「……っ」

似合わないけど嬉しい、そう続けようとしたのだろう郁の言葉を堂上は咄嗟に遮った。
視線を落として悲しそうな曖昧な笑みで言われたくなくて、咄嗟に出た言葉に郁が真っ赤になる。目を見開いて、頬を紅色に染めてまじまじと見てくるのを受け止め、堂上はもう一度可愛いと繰り返した。
今のタイミングかと車の外へ逃がさないように手を捉えようとして、正気に戻った郁が脱兎のごとく車の外に出て不発に終わる。
その勢いに今度は堂上の方が固まると、ありがとうございました! と元気な声と共に車のドアを閉めて郁はマンションの中へと駆けていってしまった。

「……はぁ」

しまった、と思ったがどうしようもない。次会うときはまたぎこちないかもしれないが、致し方ない。男慣れを全くしていない、否、ある意味では非常に男に慣れている郁をどうやって捕まえたらいいのか。
がっくりとハンドルに両手を掛けて暫く項垂れた堂上は、やがて気を持ち直すと自宅へと戻っていった。
その日の帰宅後、堂上はあのスケッチブックを取り出して白い画用紙に今日の郁の様子をいくつかスケッチした。
本人にも許可は取ってあり、ラフは会うたびに増えている。そろそろ目的のモノを書こうかどうしようか、そんなことを考えながらスケッチを描き終えるとアトリエを後にした。
その夜中、日付の変わる直前に堂上の携帯にピリリと小さな着信音と共に郁からメールが入り、嬉しかったと本当にうれしそうな表情で鞄にテディベアを付けて一緒に写る自撮り写真が添付されていた。
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職業:サボり癖のある事務員
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