龍のほこら 陽だまりの休息 忍者ブログ

龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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こんにちは!
本日はpixivより加筆修正をして1本公開したいと思います。

訪問下さっているほとんどの方がpixivのアカウントをお持ちだと思って今まで転載していなかったのですが、持っていない方もいらっしゃるよなぁ・・・と思い。
以前見たい方いますか?とお伺いした所、見たいですと仰って下さった方が何人かいらっしゃったので試しに公開してみます。

よろしければご覧くださいませ。
反応が良い様でしたら今後もちょっとずつそのままだったり加筆修正したりだったりその時によりますがこちらでも公開していこうかなと思います。

時期:上官部下期(査問後)
CP:堂郁
傾向:ほのぼの甘い

では、「本編スタート」よりご覧くださいませ。

拍手[92回]





寒い冬の間にぽっかりと訪れたぽかぽかとした陽気の公休日、堂上は基地内のどこかで日向ぼっこをして昼寝しているらしい大型犬を探して庁舎の外を訓練速度で歩いていた。

「ったく、なんなんだこのメールは・・・!」

むすっとした表情で片手に持った携帯の画面をにらみつける。そこには探している大型犬、もとい可愛い部下である女性の同期で寮の同室である魔女からの指令とも言えそうな報告メールが表示されていた。

『堂上教官へ 大きなわんこがこの陽気につられてウキウキと昼寝に行きました。基地内からは出ていないと思いますので見つけて捕獲をお願いします。夜返して下されば散歩に連れてっても構いませんよ♪』

そんなものは放っておけば良いはずなのに、一度見てしまえばどうしても気になって堂上は図書館に本を借りるついでだとか自分に言い訳をしながら大型犬、もというっかり者の部下を探して基地内の日当たりがよさそうで人気のなさそうな場所を目指して歩いている。

「・・・居た。」

何カ所目かの場所で、漸く見つけた部下の姿に安堵と共に眉間に皺がよる。
なんて無防備な姿で寝てやがる!と怒鳴りたくなるのを抑えて気配も消さずに近づいてみたが、戦闘職種についていながらさっぱりと気配に気づかない部下に眉間の皺は深くなる。

「おい・・・なんでここまで近づいてんのに気付かないんだ・・・。」

呆れかえれば良いのか、危機感が足りないと叱れば良いのか、公休だから仕方ないのか?などと考えながら呟けば横を向いていた部下がコロンと寝返りを打ってその寝顔を晒した。
気持ちよさそうな表情で寝ているのかと思えば、僅かにつらそうに眉を寄せている表情で少し前に終わった査問の影響がまだ残っているのか?と心配になった堂上は無意識に手を伸ばした。

ぽん、ぽんぽん、さらり

いつも褒める時のように、けれどそれよりもずっと優しく堂上の手が郁の頭を撫で髪を梳いていく。
すると辛そうだった郁の表情が和らいでふわりと微笑み、堂上は目の前の部下の表情の変化と自分の行動に目を見開きコクリと唾を飲み込んだ。
心の奥底に仕舞い込んだ宝石箱は鍵を厳重にかけて埋めたはずで開くはずはないのにと思うが、目に見えて柔らかくなった表情を見れば撫でる手を止めることは出来ず何度も撫で梳く。
部下の方はと言えば、撫でる手がよほど気持ちが良いのかくふくふと鼻を鳴らしながら撫でる手に頭を摺り寄せてくるのだから堂上からすればたちが悪いことこの上ない。
安心しきった笑みはこのまま襲っても気づかないんじゃないかと思うほどに幼く可愛らしい。

「この・・・ドアホウが・・・。」

そんな預けきった顔で擦り寄るんじゃない!と内心で盛大に罵倒するも、与えられる信頼は心地よく深いため息と共に愚痴をこぼしてから寒くなり始めるまでは良いかと一度撫でる手を離して郁の傍に座り込む。
片手に持ってきた本を広げもう一度撫でようと手を伸ばしたところで部下がうっすらと目を開けた。

「きょーかん・・・?」

まだ目覚め切っていない、完全に寝ぼけた様子の部下に思わず仏頂面になってなんだと低く不機嫌に返せば意に介した風もなく嬉しそうな満面の笑みを浮かべて見上げてくる。
いったい何がそんなに嬉しいのかと問いたくなるのを我慢して部下の言葉を待ってみれば気の抜けた声で教官と繰り返される。

「えへへ、きょーかんがいる・・・。かさはら、なでてほしかったんです。うれしい。」

いつもの寝言かと撫でるのもやめて顔を逸らし本を読もうかと思ったところで落とされた爆弾は心臓に悪いモノだった。
お前、撫でてたのに気付いてたのか?!思わず勢いよく顔を戻せば、それはもう溶け切ったと言っても良いほど甘い笑みで自分を見上げてくる部下をまともに見下ろしてしまいドクンと心臓が跳ねる。
同時に宝石箱も跳ねた気がして首を思い切りよく左右に振った。
自分の感情を認められず焦っている堂上をよそに、部下であるところの彼女は自分から逸れてしまった堂上の意識を自分に戻そうと傍にあった手をクイッと力任せに引っ張った。
油断していたところを引っ張られて、重力に負けた堂上の上半身は部下の上に真っ逆さま。
とっさに両手を突っ張って追突は免れたものの至近距離で甘い部下の顔を拝むことになり、堂上は理性がぐらぐらと揺れるのを感じる。

「きょーかん、きょう、きもちいいですよ?いっしょにねましょ?」

にこにこと機嫌よく笑っている部下は、あろうことか覆いかぶさっている堂上の首に腕を回し昼寝に誘ってくる。
堂上にはそれが襲ってくれと言われているような気がしてならず、必死に壊れかけの理性を繋ぎとめてバカ言うな!と叫んだ。
しかし、部下にその抗議が届くことはなく引き寄せられると胸元に顔を埋められた。

「ゆめだから、こんなことしてもおこられないですかね?こうやってぽんぽんされるのすごくあんしんしたんれす・・・」

ぽつりと落とされた弱い呟きは胸元を通して堂上の心に響いた。
こうやってこの部下を抱いて頭を撫でたのは手塚慧に呼び出されたのを聞いて迎えに行った時だ。
泣いても良いと、せめて自分の前でくらいは強がらずに泣いてくれと抱え込んだのは普段戦闘職種の大女だと卑下している癖に華奢で弱弱しい少女のようなこの部下だったと思い出す。
あれで安心出来たのかという安堵と、夢でだけでも求められる喜びと、色んなものが複雑に心を満たし堂上は諦めのため息を1つ吐いた。

「笠原、とりあえず一度離せ。この体制じゃ俺は寝れない。」

すりすりと犬のように頬を摺り寄せる様子に、苦笑しながらぽんぽんと頭を撫でて言えば部下は素直に腕を離して堂上に抱き着いて少しばかり浮かんでいた背を地面に落とした。
堂上は本を適当な場所に置くと部下の横に寝そべり、今だけ、この甘え下手な部下が珍しく甘えているんだからと言い訳にもならないことを思考に登らせて無理やり納得させると小さな頭の下に腕をすべり込ませて抱き込んだ。

「お前が寝るまでこうしててやるから、寝ろ。寒くなる前には起こしてやる。」

ぽんぽんとあやす様に背中を撫で叩き、腕枕した手で髪をゆるゆると梳いてやれば胸元の服をきゅっと握った部下はすりっと額を摺り寄せて僅かな時間で再び深い眠りへと落ちていった。

「ったく、誰かに見られたらどうするつもりなんだろうな、お前は・・・。寝ぼけたにしても無防備すぎるだろう。」

抱きかかえた身体は自分より僅かばかり高いはずなのに細く、壊れてしまいそうなほどに繊細に思えて守るように胸に囲い込むとその生命を伝えるようにぽかぽかと温かい。
そのぬくもりに誘われるようにうとうとと堂上も眠りの淵を彷徨い始める。

「少しくらいはいいか・・・。」

この場所は自分でも来ようとは思わないような場所で穴場と呼ばれる場所に違いなく、魔女から貸し出し許可も出ていることだし今は少しだけこの温もりに誘われて昼寝するのも悪くない。と、堂上はゆっくりと意識を手放した。
そして、堂上が意識を手放してから30分ほど経った頃の庁舎屋上で、射撃用の望遠スコープを試すために緒形と共に訪れていた進藤が木々の隙間からちらりと覗いた何かに気付いた。
照準を合わせてまじまじと確認した進藤は、そこに見出したものに口角を上げるとスコープを覗いたまま隣に立っている緒形を呼ぶ。

「おい・・・・見ろよ、緒形。あんなところで大型犬と飼い主が昼寝してるぞ。」

進藤が見た方向には郁と堂上が昼寝をしている場所で郁が穴場として選んでいるだけあって上からの目撃にも備えた場所であったのだが、そこは特殊部隊きってのスナイパーである。
進藤の目まではすり抜けることが出来ず、木々の葉の隙間から見え隠れする姿を発見して緒形を呼んだのだ。

「外でなら飼い犬を連れていても良いんだから居てもおかしくないだろう。」

楽しいことを発見した時の某猫のような笑い方で自分を呼ぶ進藤にいぶかしげな様子で近づいた緒形はスコープを渡されて言われた方向を見て見れば木々の葉の隙間からちらちらと見える姿は確かに抱き合い寄り添って眠る特殊部隊の娘っ子とその王子の姿で僅かに目を見開く。

「なんだ、堂上は漸く素直になったのか?」

確認するようにもう一度見直してから、スコープを進藤に返した緒形がそんな感想を零せば進藤はさぁなぁなどと呑気な声で再び堂上たちが居る方を見て笑っている。

「認めたかどうかはわかんねぇけど、今回の査問で何も出来なかったのは大分痛かったんじゃないか?娘っ子も一人で抱えて頑張っちまう性分だしなぁ・・・。」

もうちっと甘えてくれると良いんだが、そこが可愛いとこでもあるよなぁ・・・などと娘か歳の離れた妹を見守るような目をしてそんなことを言う進藤に緒形がそうだなと頷く。
郁は末っ子の割に甘え下手で自分に対して評価が低すぎなところがある。
それは多分、ちらりと聞いた母親との確執などが大きく関わっていて周りからそれとなく甘やかしてみても甘えていることに気付いてしまえば壁を作られ距離を保たれてしまう。
特殊部隊の男たちは娘っ子が可愛くて仕方がなく、構いたいし甘やかしたいしで仕方がないのだが娘っ子が殻にこもることは望んでいないため控えめで酒の席でだけその控えを多少外してかいぐったりしている。
しかし、堂上はまた直属の上官として入隊当初からずっと見ているせいもあり今回の査問でもまだ大丈夫、まだ笑えると言い聞かせて頼らない郁に一番やきもきしていたのだ。

「何がどうなってああなったのか判らんが、笠原が安心して寝てるなら放っておくのが良いだろう。」
「まぁ、番犬があんな抱え込んでりゃ他の奴には手出しできねぇし、何より娘っ子は無意識でも意識的にでも堂上にしか甘えてないみてぇだしな。」

無意識でバカップルしてねぇで、早くひっついちまえば良いのになぁ・・・などと感想を告げつつ穴場でひっそりと束の間の休息を得ている2人を見守ることにした進藤は、今日のは貸しとして言わないでおいてやるよ。
などと届かない堂上に言いながら楽しげにスコープの試験を終えて緒形と共に事務所へと戻って行った。
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