龍のほこら 手料理 忍者ブログ

龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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こんにちは!!
本日はひっそりと書きあげていたものを公開しようと思います。
ネタは私の通っていた学校からです。
私が通っていた学校では調理実習が男女関係なくあったのです。
そして、郁の母親ならば小学生の高学年くらいには夕飯の時に手伝いをさせたのではないか?と。
基本家族を大事にするんじゃないかと思う郁ちゃん、お手伝いはさすがに逃げ切れなかったのでは?
ということで、そんなこじつけからもし郁ちゃんもそうだったらちょっとしたものなら作れるのではないかという妄想をしてみました。
あくまでも妄想です。『郁ちゃんは料理が出来ない』が定説なのは承知での作品ですのでその点、ご了承ください。

時期:夫婦期(新婚)
CP:堂上×郁
傾向:甘め、ほのぼの

それでは、「本編スタート」よりご覧くださいませ。

拍手[81回]





新婚である堂上は、その日も山積みになったデスクにより残業を余儀なくされていた。
結婚式からこっち漸く官舎に移って落ち着いた日でもある。
それまでは新婚旅行や堂上の実家に呼ばれたりと自炊するタイミングがなかったのだが、今日の夜からは完全に自炊だ。
堂上はいつもの倍ほどのスピードで書類を片付けると急いで自宅である官舎へと帰る。
堂上の脳裏には郁と付き合い始めた当初の入院中に起こった出来事が浮かんで、それと重なるようにキッチンが大参事になる風景があった。

「ご飯出来てなくて良いから、怪我だけはするなよっ!!」

自宅への道のりをダッシュで帰宅した堂上は息を切らしながら自宅のドア前に立った。
深呼吸を2度ほどして乱れた息を整えると鍵を差し込んで回し、ゆっくりとドアを開けた。

―キィ、パタン

古い官舎のドアはゆっくりと静かに開けても軋んだ音を立てて堂上の帰宅を室内へと知らせた。
堂上が靴を脱いでいるとパタパタとスリッパの音がして郁が玄関に顔を出した。

「おかえりなさい、篤さん。」
「ああ、ただいま。」
「あのね、ご飯もう少し時間かかるんだけど良い?」
「・・・・・作ってたのか?」
「うん。」

 靴を脱ぎ終えて郁を振り返った堂上に笑顔で声を掛けてくる郁の様子は動揺した面持ちも見当たらずいたっていつも通りで、とりあえず何もやらかしてないんだなとほっとしながら頷く。
郁はその頷きにほっとした表情で笑うと、着替えて来て!と堂上の背中を押して寝室へと押しやった。
堂上が手伝おうかと声を掛けるとせっかくだから初めて自炊する夜くらい作らせてと頬を染めた可愛い表情で言われて、いっそ風呂より飯より郁を・・・と思ったのは当然の帰結だがギリギリで我慢した。
そうして待つこと30分ほど、着替えを済ませた堂上はキッチンに入ることもキッチンの方を見ることも禁止されて仕方なく興味もない音楽番組へと視線を向けていた。
 なんとなく、本を読む気になれなくて持ってきたもののローテーブルの上に転がっている。

「ごめんなさい、お待たせしました。」
「ん、出来たのか。」
「はい。」
「怪我してないか?」

エプロンを外しながら近づいてきた郁の声に顔を上げた堂上は返事を返しながら立ち上がるとはにかんで笑っている郁に思わず尋ねる。
途端にむぅっと口が尖る郁を見て自分の要らんこと言いに気づいた堂上だが出てしまったものは取り消すことも出来ずフォローの言葉を探す。

「あー・・・・いや、入院してた時のリンゴをな、つい思い出して・・・だな。」

あー、くそっと内心で唸りつつ宥めるために郁の頭を撫で始めた手とは逆の手で自分の頭をがしがしと掻き毟る。
しどろもどろな堂上の言葉に、拗ねた顔から少ししてぷっと吹出す郁を見てなんだ?と堂上は首を傾げる。
郁はしばらくクスクスと笑ってしまって今度は少しだけ堂上が拗ねてしまったが、笑いが治まると今度は苦笑しながら堂上を見た。

「あれから1年ですよ?私だって練習くらいします。それに、その・・・・きっと信じられないと思うんですけど、ほんとに皮むきくらいはあの時から出来るんです。」
「・・・・・出来るならあんな怪我しないだろうが。」
「それが、その・・・・初めて彼氏にリンゴ剥くっていうのに必要以上に緊張しちゃったのと柴崎たちがニヤニヤ見てるのが恥ずかしくて・・・。」

力が入り過ぎたんです、と消えそうな声で言う郁は顔を真っ赤にして堂上からその表情を隠す様に俯いて言う。
その様子の可愛さに一瞬持って行かれそうになった堂上だったが再びギリギリで踏みとどまるとそうかと頷く。
郁はちらりと器用な上目遣いで堂上を見るとまた視線を下に落としてぽつぽつと話を続ける。

「小学生に上がる頃からご飯の準備を手伝うのは強制だったんです。さすがに、料理は私だけでしたけどお兄たちもお皿を並べたり台を拭いたりはさせられてたから私も逃げれなくて。中学1年の最初の頃はまだ部活もやり始めで夕飯準備の頃に帰れたから包丁持たされて・・・。」

だから、ほんの少しだけ作れるんです、という郁は苦い笑みを浮かべて堂上を見た。
堂上はその表情に心配になって顔を覗き込むと腕が伸びて来て抱き着かれた。
肩に額を摺り寄せる郁を受け止めていつも通りにぽんぽんと頭を撫でてやるときゅっと抱き着く腕の力が強まる。
それに何も言わず繰り返し頭を撫でていると小さな声が落ちてくる。

「学校でも家庭科の授業で調理実習ってあって、男とか女とか関係なく全員で料理作ってみたりするのもあったから本当に少しなんだけどね?」

レシピは図書館で本借りてきたの、と照れくさそうに顔を上げた郁が言うと堂上は漸く納得したのかそうかと微笑む。
それを見て郁もほっとした表情を見せると少し身体を離して食べよう?と声を掛ける。
堂上はそれに応じて郁から手を離すと2人揃って席に着いて「いただきます」と手を合わす。
目の前に並んだ料理は確かにいびつで作り慣れないのがよくわかる見た目をしているが、お菓子以外にも料理部に入っている郁を可愛がっている女性隊員などが折を見て練習に付き合ってくれたらしい。
郁が作ってくれたご飯はおかずにしても何にしても美味しいと感じるとは思っていた。
しかし、見た目も予想以上に良くバランスも、味もそれほど好みから外れていないその出来にはさすがに目を瞠って郁を拗ねさせてしまった。

「どんなの作ると思ってたんですか?」
「いや、作る途中で手を切ったり火傷したりで帰ったら大参事になってるんじゃないかと気が気じゃなかった。」
「なっ?!さすがにそれは酷いですよっ!!」

美味しいご飯に楽しい会話、目の前には郁が居る半年前には思い描き、あの1か月の冷戦では渇望したのが今目の前にあることが幸せすぎて夢の様だと思う。
食後のお茶を飲みながらの郁の問いかけに思わずつるっと本音が出てしまったのはその幸せ故だ、と言いたいが目の前で拗ねて膨れる郁には本音だと言ってはダメだろうと我慢するとすまんと謝る。
堂上はぷいっと顔を背けながらも隣から移動しない郁を抱き寄せて腕の中に囲うと大人しく肩に乗った頭に頬を寄せる。

「悪かった。リンゴの時が衝撃的だったんだ、許せ。」
「もうっ!!だからそれは忘れてくださいって言ってるじゃないですかっ!!」
「くくっ、そうは言ってもな、あれは忘れられん。だから、そのうち上書きしてくれ。」
「上書き?」

ぽんぽんと膝に乗せられた手を抱きよせた手とは反対の手で撫で叩きながら言えば、勢いよく上がる頭をぶつかる前に避けて視線を絡める。
真っ赤になった郁の顔に頬を緩めて喉の奥で笑いながら堂上が提案すれば、郁はきょとんとした表情で堂上を見つめてきた。
 視線をそのままに顔を寄せれば途端に淡く染まる頬に目を細めながら額を合わせる。

「そう、上書き。そのうちリンゴの季節が来たら剥いてくれ。その頃には俺が見てるのにも慣れるだろう?」
「・・・・・慣れるかな?」
「慣れるだろ、別に今年のその季節じゃなくても良いしな。」
「わかった。」

 結婚したてで、婚約者になった頃から名前呼びと敬語を直す様に告げたがまだまだ所々で顔を出すそれらも大分砕けてはきている。
今は春、もうすぐ桜が咲く季節だからリンゴの季節までには2人で過ごすことにも慣れるだろう。
そう思うとそれも楽しみで、腕の中で大人しくなった郁に口付けを一つ送って寝るまでのわずかな時間、堂上は幸せを堪能した。
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