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龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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おはようございます!
いよいよ8月になりましたね、夏休みがこれからの方や半分近く終わったよと思う方、夏休みなんてない!と叫ぶ方など色々かと思います。
私は夏休みはなく、辛うじてお盆休みを頂ける予定ですが秋のイベントに向けての準備に費やす予定です。
その前に、ずーーーーーっと言ってるのに、捨てれないために終わらない部屋の掃除に費やしそうかなと遠い目をしております。

さて、本日の更新は今月も提出させて頂きました『one titles』様へのお題の没作品です。
8月のお題は『せいか』、漢字はどれを当て嵌めても良いということで私は『声価』を当て嵌めております。
お題に提出したものとは全く違う物になっておりますので、これはこれとして楽しんで頂けたらと思います。

時期:恋人期初期(堂上の入院中)
CP:堂上×郁
傾向:甘い

それでは、「本編スタート」よりご覧くださいませ。

拍手[103回]





山猿、そう言われていた彼女の評価が変わり始めたのはいつ頃だっただろうか。
少なくとも、自分にとって彼女は最初から可愛い女性であったのだからその評価は今更だという想いがある。

「・・・郁」

病室のベッドの上、長い待ち時間の1週間を経て恋人となった可愛い彼女の名前を呼び手招きする。
彼女は物慣れない様子で病室のドアから顔をひょこっと出して俺を見ると、顔を薄紅に染めながらも嬉しそうにはにかんで近寄ってくる。
しっかりと扉を閉めるのも忘れない。
つい先日閉め忘れて小牧たちに醜態をさらしたばかりだ、醜態というより失敗か、郁の可愛い所を見せることになってしまったのは痛い失敗だと思っている。
とてとてと身体を縮めて照れながら近づいてくる郁は本当に可愛い。
小牧が最近来るたびに脂下がってると言うが、こんな可愛い姿を見てまで仏頂面を保てるほどに俺の理性は強固ではない。

「あ、あの・・・!!予定より早く来ちゃったんですけど、大丈夫でした?」
「ああ、大丈夫だ。リハビリは午前中に終わったしな。今日は何してたんだ?」

ちょこんという形容がふさわしい仕草でベッド横の椅子に腰を下ろした郁に躊躇なく手を伸ばしてぽんぽんと頭を撫でると、緊張していたらしく肩に入っていた力が抜けて気を許した笑みが浮かぶ。
それを愛でながら郁の午前中の用事の話やら昨夜の柴崎との会話を聞いていれば、ふっと中途半端に言葉が途切れて郁の視線が床に落ちた。
何を考えているのか常ならば覗き込める顔も今はベッドの上に居る俺の方が高く座った郁との距離に阻まれて見ることが出来ない。
ただ、昨夜寝る間際に入った柴崎からのメールにあった内容が関係しているのだろうとは予想が出来た。

「郁?」
「あ・・・え、えっと!わ、私ちょっとお手洗いにっ!!」
「行くな。」
「えぇっ?!いや、で、でもっ!!」

そっと名前を呼ぶとはっとしたように顔を上げた郁がこちらを見て、慌てて視線を逸らすと席を立とうとする。
咄嗟に手を摑まえて行くなと告げれば僅かに目を見開いてからわたわたと離してもらうための言い訳を考えて視線が彷徨っているのが容易に見て取れた。
立ち上がったまま座ることもしない郁の捕まえた手を軽く引っ張ると、郁は抵抗もなく腕の中に落ちてきた。
腰と後頭部に腕を回してそのまま腕の中に抱き込むとほんのわずかな抵抗の後、きゅっと俺のパジャマを握って大人しくなった。
後頭部に添えていた手でゆっくりと髪を梳きながら、どう言葉を掛けようか思考を巡らせるが元々口下手なのも手伝って良い言葉は浮かばない。

「何、言われた?」
「え・・・・?」
「なんか言われたから、落ち込んでるんだろう?」
「どう、して・・・。」

柴崎のメールがなくても、郁が落ち込んでいることくらいには気付く。
一人で頑張ろうとする郁に今すぐ全部預けろなどと言うのは横暴なのだろうと解っているが、少しは頼ってくれないものかと思わず苦笑が浮かぶ。
驚きに目を見開いて俺をじっと見てくる郁に落ち着けと言う代わりにいつも通りに頭に手を置いて跳ねさせると郁の表情が少しだけ落ち着いたものになる。

「廊下から顔出した時、不安そうな顔してたしな。柴崎からも心配してメールが入ってた。」
「・・・・柴崎の奴。」
「お前が、一人で頑張ろうとする気持ちも解るんだがな。俺は、出来れば頼ってほしいんだが?」

柴崎の名前を出せば、悔しそうに唇を噛む郁にもう一度苦笑すると傷が付かないうちに唇を親指で辿ってやると赤い顔で睨んでくる。
その様子が可愛いなと内心で思うが口にはしない。
そうしてただ黙って郁から話してくれるのを待っていれば、ポツリ、ポツリとだが話し始めてくれた。

「本当は、告げ口みたいで言いたくないんです。」
「うん。」
「私が、戦闘職種の大女で、可愛げもなくて、がさつで、女らしくもないし、そういうことが出来ないことも解ってて・・・だから、本当は教官の彼女になれたのだって夢みたいで・・・。」
「夢じゃないのはもう何度も確かめてるだろう?」

顔を隠す様に首筋に擦り寄ってくる郁の頬に手を当てて顔をあげさせれば、自分の言葉で不安になったのだろう頼りない表情とかち合う。
その儚い表情に惹かれるように額に軽く唇を寄せると瞬時に淡く染まる肌に目を細めてからもう一度引き寄せて肩に埋めさせると、きゅっとTシャツを握りこむ指の力がまた強くなった。
頭に頬を寄せながら、郁が安心できるように背中を撫でてやると徐々に力が抜けてきて体重を預けてくるのが愛しい。
郁の心の中では、今どういう葛藤があるのか読み取ることは出来ない。

「お前が入隊した頃は、ほとんどの奴らはお前の突飛さに目がいっててお前が可愛いことも女らしいとこがあることも気づかなかったがな。お前はあの頃から十分可愛いし女らしい。」
「嘘・・・。」
「嘘じゃない。素直で真っ直ぐな所も、感情豊かなとこも可愛いし、季節に合わせて特殊部隊の事務室に花飾ってるだろ?クリスマスやひな祭り、五月の節句にも最近じゃイベントで子供と作ったからと言って堂々と置いてるが最初から飾ってた。珈琲だって、お前が淹れてくれる奴はあの時のクワガタコーヒー以外は疲労に合わせて砂糖入れたり入れなかったりしてる。」
「そんなの・・・。」

誰にでも出来るのに・・・呟く声は小さいが、言ってることは間違っている。
誰にでも出来ると言うが、その場に居る全員の様子にきちんと心を砕いて気を配って、それを無意識にやっているのが郁でそれを自慢するでもなく当たり前のことだと言ってしまうのが郁の可愛い所だろう。
他の女性全員がそうとは言わないが、大抵は男に見られる所でしかそういうことをしない女性が多く、そういう気遣いに気付かれず不満を覚える女性も多い気がする。

「お前、あの囮捜査から男子寮での評判が上がってるんだぞ?」
「・・・・まさか!だって、未だに山猿って言う奴も多いのに・・・・。」
「そんなもん、お前に声を掛けるための口実だろう。ここでもお前が俺の彼女だって浸透するまで声を掛けようと狙ってる男が多かったしな。」
「・・・・でも。」

そんなことない、と腕の中で首を横に振る郁にコンプレックスの根深さを痛感させられるが今はそこじゃない。
自信を持たせるのに時間がかかるのは承知の上だが、それでも自覚を促す機会は少しでも多い方が良い。

「でも、じゃない。いい加減自覚しろ。お前は可愛いし、仕事面だって俺の自慢の部下だと言っただろう?俺にとっては、他のどんな女より可愛い。俺の言葉は信用できないか?」
「そんなこと!!で、でもっ・・・!!」
「煩い。俺の言葉を信用するなら、俺の為にも隠しごとすんな。気になるだろう?」
「うぅ・・・。」

意識しなくても、プライベートで郁と対峙する時は怖い顔なんぞ出来ないがそれをさらに意識して優しい表情を作って甘えるように言う。
こう言えば郁が反論し辛いのは承知の上で、むしろそれを狙って郁から是の返事をもぎ取ろうとする。
卑怯だと、過保護だと、判ってはいるが近くに居られない以上隠されれば噂も様子も小牧や先輩隊員が知る内容しか伝わってこない。
顔を覗き込み、もう一度言ってくれるか?と問いかければ僅かに拗ねた表情で頬を紅色に染めた郁が小さく頷いてくれてほっとする。

「でも、大丈夫ですよ?」
「郁が大丈夫でも、だ。」
「はーい。」

過保護なほどに心配してしまうのはどうしようもない、末っ子のくせに甘えべたな郁が悪い。
そう責任転嫁して腕の中でいつも通りの嬉しそうな笑みを浮かべてくれる郁に顔を寄せると漸く慣れてきた様子でそっと目を閉じてくれる。
軽く触れるだけの口づけを唇に落とし、そのまま頬や瞼にも口付けると擽ったそうに首を竦めながら背に手を回してシャツを握る仕草が可愛い。
たったそれだけの動作でドクリと心臓が跳ね上がるのを自覚して骨抜きどころじゃないな、と自分に笑うがそれも悪くない。
そう思って、腕の中の宝石を愛でるために意識をそちらへと向ける。
柴崎からのメールには郁をやっかむ女たちの所業だけでなく、今更郁の可愛さに気付いたらしい男どもの浮足立った様子なども記載されていて正直腹立たしいことこの上ない。
この苛立ちは出来る限り見舞いに通ってくれる郁を腕に閉じ込めることで癒してもらうとして、退院後の男たちへの牽制をどうするか考えないといけないと頭の片隅にメモを取って郁に溺れていった。
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