龍のほこら 図書戦異聞 ―2話― 忍者ブログ

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図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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こちらはpixivにて公開していた『図書戦異聞』の一部再掲載になります。

お知らせの通り、原作に入って以降のお話については今後公開予定はありません。
ご愛読いただいた皆様、続きをお待ち頂いた皆様には大変申し訳ありません。

オリジナルの導入部分及び番外編については公開しても大丈夫かと思い、こちらにて再掲載いたします。
少しでも楽しんで頂けますと幸いです。
2話目です。

では、『本編はこちら』よりご覧くださいませ。

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東京の端に辿り着いて出会った人間たち。
運命は知らずまばゆい光に引き寄せられて1つ、また1つと近づいてくる。


茨城を発ってから数日、郁は毎日これでもかというほどの走りを見せて東京へと足を踏み入れていた。

『んーっと、ここが東京・・・で、あってるよね。でも、関東図書基地がどこにあるかはわかんないんだよね。』

何度も地図で場所を確認したが、紙面と実際は違うモノだなぁ・・・などと暢気に考えている郁はひとまず人里へ降りようかと山道から逸れて高速道路脇へと降りていた。

『ここからどうしよう。誰かに聞くなら人型にならないといけないけど、服は持ってきてないんだよねぇ・・・。』

後生大事に抱えてきたのはあの時助けてもらって手に入れた本のシリーズだけだ。背に背負ったソレを思い出し、フルリと尻尾が揺れるのを意識の外で感じながら考え込む。
犬の姿のまま人の言葉を話すのは自殺行為に他ならない。情報を手に入れるどころか追われる身になりかねない。うんうんと唸った挙句、ひとまずはここがどこかを確認しようと町というよりは村であるその場所の散策を始める。
観光化を目指しているのか、大きな駅まで出て行くと周辺マップという名称で村内の簡単な地図が描かれていた。

『えーっと・・・・関東図書基地は武蔵境って駅から近いんだったっけ?んーっと、ここは・・・。』

地図を確認すると、私鉄の駅名が2、3載っているだけで目印になるモノはない。左右を見やっても他に目ぼしい情報が得られそうなソースもない。再びどうしたものかと考えて座り込んだ郁に、背後から声が掛かった。

「なんだ、お前何見てんだ?」

野太く、大雑把そうな気配を含んだ声に驚いて飛び跳ねた郁が振り返ると、クマのように大きな男性が郁を見下ろして立っていた。

『え、えぇ?!も、もしかして私駄々漏れてた?!』

声を出していたつもりはない郁だったが、笠原の家では気を抜くと思ったことを口にしていたらしく駄々漏れだぞ~と兄達によく笑われていた。人の言葉を話すことを許容されて安心していたが故の癖ではあったが、ここでも出てしまったのだろうかと不安を隠せない郁に大きな男性は屈みこんで視線を合わせてくれた。

「お前、地図が見れんのか?どっか行きたそうに見えたんだが。・・・・つっても、人の言葉は話せんか。」

もういちど掻い摘んでなされた問いかけと最後に付け加えられた自嘲のような一言で、駄々漏れではなかったことを悟ってほっとした郁は言葉は喋れないが返事くらいは返そうとわんわんっと男性の問いかけを肯定するように鳴いて見せた。上手くすればもっと都会まで連れてってもらえるかもしれない、そんな思惑が手伝っての鳴き声である。

「ん?お前さん、俺の言ってる事は理解出来てんのか??ほー・・・・賢い犬も居たもんだ。首輪付けてるが、この村に飼い主が居るわけじゃないのか。」

鳴き声を正しく肯定と受け取った大きな男性は、楽しげに口元を歪ませて郁に手を伸ばす。真っ直ぐに頭に伸びた手に反射的に身体を縮めたが噛み付かずに居ればそれは物凄い勢いで郁の頭を振り回してから離れた。大きな男性にしてみればいい子だとなでた、というところだろう。

「行き先に迷ってんなら俺んとこ来るか?まぁ、独り身で寮暮らしだから職場で許可が出れば職場で、出なけりゃ貰い手探すことになるんだが。」

きっと大丈夫だろう、と何を根拠にか自信満々に言い切った大きな男性にひとまず都会に出られそうだと判断した郁は再び肯定の意を乗せて鳴き声を挙げる。大きな男性はそれも正しく受け取って、そうか、そうかと楽しげに言うと次の動作でひょいっと郁を抱え挙げた。

『うひゃっ?!え、何、私犬の中でも大型犬に入るはずなのに軽々と抱き上げられたっ?!』

突然の浮遊感に声なき悲鳴を上げて驚いた郁をどう思ったのか、大きな男ががはは、と笑いながら再び頭をかいぐってから運ばれる。行き先はどうやら車のようで、違う男性が車の傍らに待機していた。

「おい、緒形。こいつ持って帰るぞ。」

緒形、と呼ばれた車の傍らに待機していた男性に郁を抱えた大きな男性が声を掛けるとあきれ果てた、という表情で出迎えられた。

「持って帰るのは良いですけどね、飼えないものを持って帰って面倒押し付ける相手は堂上でしょう。」

緒形はこの大きな男に気に入られた部下を不憫に思いつつ、窘めてものっぴきならない理由以外ではどうにもならないということも理解していて車の後部座席のドアを開けた。大きな男は開けられたドアから座席の上へ郁を降ろしながら楽しげに笑って緒形を見やる。

「なあに、こいつは俺の言葉を理解した。つまり人間の言葉が理解出来るんだ、芸の一つも覚えさせりゃ良化委員たちとの攻防にも多少バラエティが増えるってもんだろ。
 それに、堂上は犬が好きなはずだからな、嫌がったりはしないだろうよ。」

緒形が開けたドアをバンッと勢い良く閉めながら楽しいことを思いついたといわんばかりの様子で大きな男性が返事を返すと緒形はゆるく首を振って運転席に乗り込んだ。大きな男性も助手席に乗り込むと会話に置いてけぼりを食らった郁を放って車は静かに動き出した。
郁は静かに座席に座りながら車の中をぐるりと見渡し、今度は後部座席のシートに手を掛けて後ろの窓から外を見てみる。車は一定の速度で山間部の細道を下っている。ふっと、荷台へと視線を落とすと箱が見えた。

『何、あの箱・・・何か大事なモノが入ってますって感じだけど・・・・えーっと、何が入ってるのかな?』

両の手に足りるほどの数のがっしりとした面持ちの箱を見て、首を傾げると何が入ってるか書いてないだろうかと見える範囲をあちらこちら見てみる。
見るために後部座席のシートの上を左右に動いては背もたれに手を掛けて覗き込むという動作を繰り返す。

「おーい、気をつけろよ。急ブレーキ踏んだら落っこちるぞ。」

うろうろと動く郁に、楽しげな笑いを含んだからかい口調の声が掛かるのに条件反射で尻尾を揺らして応えた郁は何も見えないかと諦めかけた時に知った文字を見つけた。

『えーっと・・・かん・・・とうと・・しょ・・・た?えっ?!関東図書隊っ??!』

郁は見えた文字をゆっくりと心の中で読み上げて漢字に変換すると、大慌てで荷台へと飛び込んだ。運転席と助手席でおいっ!という声が響いた気がするがそれどころではない。

『うわっ、うわぁあ~っ!!関東図書隊、間違いない・・・!!帰るって言ってたから、私関東図書隊の居る場所にいけるんだ!』

嬉しさの余り、自分がどういう状況だったのかを忘却の彼方へすっ飛ばした郁は興奮気味に鼻を鳴らして箱に書かれた文字に鼻先を摺り寄せる。が、それは直ぐに引き離された。
いつの間にか止まっていた車から降りた緒形ともう一人の大きな男性が後部座席から顔を覗かせて郁を抱え上げたのだ。

「ひゃんっ?!」

突然現実に引き戻された郁が悲鳴をあげると身体を抱え挙げていた大きな手が後部座席に郁を戻して頭を揺らしてくる。

「そいつは大事なもんだから触っちゃいかん。車が動いてる途中に後ろに飛び移るのも危険だろうから大人しくここに座っとけ。出来なきゃシートベルトしてやるぞ?」

若干の威圧感を込めて言われた大きな男性の言葉に状況を思い出してしゅんと項垂れると郁はこくりと頷く。

『やっちゃった・・・・文字が見間違いだったらと思ってうっかり。もう、着くまで我慢しよう。』

大人しくしているという意味を多分に含んで後部座席のシートの上に寝そべって上目遣いに大きな男性と緒形を見上げた郁に、2人が目配せして苦笑を浮かべるのが見て取れた。ひとまず、これでさっき飛び込んだ件は不問にしてくれるらしいと理解してゆっくりと尻尾を振ると目を閉じる。

『寝ちゃおう。今まで走ってた分疲れてるし、ここからどれくらいかかるのか判らないけど目指してた場所に辿り着ける最短コースみたいだし。』

郁が目を閉じてしまったのを見届けて、大きな男性はもう一度大きな手でがしがしっと郁の頭をなでてから後部座席のドアを閉めた。緒形も反対のドアを閉めて運転席に戻ると隣に乗り込んだ大きな男性へと話しかける。

「玄田隊長の言う通り、人の言葉を解するみたいですねこの犬は。でも、基地で飼うなんて無謀だと思いますが。」

どうするつもりなんですか?と問い掛けながら再びアクセルを踏んだ緒形に大きな男性、玄田はニヤリと楽しげな笑みを浮べて顎を片手で撫で摩る。さて、どうしようか・・・と考えている時の玄田のスタイルである。

「無謀じゃあないだろうな。まぁ、まずは稲峰司令に聞いてみないと判らんが育成中の情報部には人間の言葉を話す猫が居るって話しだしな。本当か嘘かは判らんが犬なら訓練をつければそれなりに使い道はあるだろう。」

その線で攻め落とすさ、と悪い笑みを浮べた玄田が言い切れば仕方のないと言いたげな苦笑を浮かべた緒形はそれ以上言わずに関東図書基地へと車を進めた。
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