龍のほこら 図書戦異聞 ―番外編1 堂郁の日~2014~― 忍者ブログ

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図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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こちらはpixivにて公開していた『図書戦異聞』の一部再掲載になります。

お知らせの通り、原作に入って以降のお話については今後公開予定はありません。
ご愛読いただいた皆様、続きをお待ち頂いた皆様には大変申し訳ありません。

オリジナルの導入部分及び番外編については公開しても大丈夫かと思い、こちらにて再掲載いたします。
少しでも楽しんで頂けますと幸いです。
番外編1 堂郁の日~2014~です。

では、『本編はこちら』よりご覧くださいませ。



拍手[6回]


10月19日、それは唐突に訪れた。

「おい、堂上!お前、今から笠原連れてちょっと海に行って来い!!」
「はぁ?なんなんですか、一体!今は業務中でしょうがっ!」
「仕方ないだろうが!!どっかのお偉方が見に来るらしいが、極度の犬アレルギーで笠原を見せたらまずいって話だっ!」

バンッ!という大きな音と共に開け放たれたドアから聞こえた玄田の声に、堂上が異論を唱えるのと名前が挙がって後方支援が開発した郁専用の入力機械から郁が顔をあげるのは同時だった。
何事かと眺めている郁をよそに、堂上がいきなりの玄田の発言に異議を唱えているがさっぱりと相手にされていない。
最終的には、後から入って来た緒形が堂上にきちんとした説明をしたことでその指示に従うことが決まったらしい。

「はぁ……。おい、笠原、お前、今日はこれから夕方まで外だ、行くぞ」

隊長室まで追いかけていって抗議をした堂上だったが、疲れたようにため息を吐いて自席を片付けると郁に声を掛けた。
郁の方は処理途中の書類をどうしたら、とオロオロしてしまいそれどころではなかったが、それに気づいた堂上がさっさとそれを処理してしまったので今度はわたわたと準備をする。
一体どういうことかさっぱりとわからないまま連れ出され、寮の入り口で待つように言われて郁は大人しく待った。
十分もしないうちに戻って来た堂上の服装は戦闘服で制服でも、ましてやスーツでもなかった。

「あのぅ……一体、どういうことなんでしょう?」
「聞いてなかったのか、お前、耳良いだろう」
「いや、だって、書類に必死だったので名前呼ばれたけど指示とかじゃなかったし……」

行くぞ、と言われて堂上について歩く郁は鞄を咥えながら器用に話をしている。
これを見た当初は器用なことだと思ったんだよな……と、思いながらも堂上は口に出さずに郁の疑問に答えることにした。
向かう先は車両倉庫で、これから向かう先はたぶん郁が喜ぶだろう場所である。

「今日、違う地区のお偉方が見えて庁舎を回るんだと。その中に極度の犬嫌いが居て、お前がその姿だと困るらしい」
「あー……もう満月期過ぎちゃいましたもんね」

郁はワイルドハーフという種族である。
ワイルドハーフとは、人間に寄せる情、あるいは強い感情により人の姿へとなれる動物のこと全般を指すのだが郁は人間に寄せる情以外にも満月の影響で人型になることができる。
そして、まだ図書隊に来たばかりの郁には人型になれるほどに情を寄せる人間も居らず、人型になれるのは満月の前後1週間程度なのだ。
人型になれる時期であれば、一日人型で居る様に命じられたのかもしれないがそれが出来ないゆえに図書基地内から連れ出せ、というのが玄田からの命令ということらしい。
辿り着いた車両管理事務所で手続きを済ませた堂上に、わかったか?と問われて頷いた郁は車両倉庫に向かう堂上の後をさらについて歩く。
堂上が待てと言うので入口から少し離れたところで待っていれば堂上が倉庫からワンボックスカーを出して来た。

「窮屈かもしれんが、少し長距離を走るからケージに入っててくれ」
「はーい」

フォーラムを経て、郁は少しだけ堂上に信頼を寄せた。
だから、以前ならケージに入れと言われても口論をしていたところを返事一つで大人しく入るようになった。
その事に堂上も以前のように命令ではなく、依頼のカタチで自然とケージを促すようになったのは二人の無意識による歩み寄りだ。
そうして入ったケージの中、堂上が何やら荷物を持っていることに漸く気付いて首を傾げた郁は自分の荷物をケージの隅に置くと運転席に回る姿を追いかけながら問いかける。

「きょーかん、その荷物なんですか?」
「行ったら見せてやる」
「えー……今教えてくれないんですか?」
「今教えるとお前が煩くなる」

なんですかそれ?!さすがにあんまりだと抗議をする郁に、堂上はコマンドで黙れ、と告げて反射で口を閉ざしたのを確認してから車を動かした。
郁の方はそれが気に食わず、さらにはこれ以上は絶対に返事がもらえそうにないと悟るとふて寝を決め込むことにしてケージの中で丸くなった。
丸くなりながら、ケージにはきちんと毛布が敷かれ丸まった時に潜れるようにハーフブランケットまで置いてあることに気付いて複雑な心境になる。

(なんでこんなん準備してんのかな。ケージ、他の人が運転の時にはこんなのないのに)

堂上が運転するときだけ、正しくは堂上班が運転するときにだけ、こうしてケージに毛布が敷かれ、ブランケットが乗せてあるのだ。
以前小牧が運転する車に乗った時に小牧が用意してくれたのかと尋ねたことがあったが、小牧は笑って堂上が用意したのだと答えていたのを思い出し、すんっと鼻を鳴らすと毛布からもブランケットからも堂上の香りがした。
郁は無自覚にその香りに安堵するともそもそっとブランケットにもぐりこんで丸くなった。
そうして揺られること数時間、車が止まるブレーキの音で目を覚ました郁はのそりとブランケットから頭を出すと周囲を見渡す。
鼻先に香る潮の匂いに首を傾げるとぐっと伸びをしてからブランケットを剥いでケージの中に座り込んだ。
窓から見えた景色はいつの間にか海辺になっており、郁は目を丸くして口をあんぐりと開けて驚いていた。

「うわっ、え?何で?!」
「起きたのか……着いたぞ」
「教官!着いたって、ここ、海ですよ?!」

何があるんですかっ?!と目を真ん丸にしてケージの中から問いかけてくる郁に、堂上は苦笑しながら運転席を出ると背後の扉を開ける。
ケージの扉も開けると郁が飛び出してきて、足元をグルグルと回るのを少しは落ち着けと声を掛けながら扉を閉めると車の鍵をかけた。
郁のしっぽは全力で振られていて、その目がキラキラと輝いているのを見ればやはり犬だな、と堂上は苦笑を浮かべながら郁を座らせた。

「どっか図書基地とは関係ないとこ行けって言われたんでな、どうせなら思いっきり走れるところが良いだろ?」
「え?走って良いんですか?」
「濡れても、ここならまぁ、冷たいが海の家で水道も借りれるから洗えるしな。しばらく公園にも行ってなかったから走りたいんだろ?」
「やったー!!」

堂上が直属の上官となってからしばらく後、梅雨の辺りにか走れないことで鬱憤がたまって陰鬱としていた郁を見かねて晴れた日にドッグランへと連れて行ってから、堂上は定期的に郁を連れ出して走れる場所に連れて行ってくれていた。
なぜそうしてくれるのかはわからないが、もともと堂上は面倒見が良い性質らしいと小牧に聞いて納得だと頷いたものだ。
座った郁の首輪にリードをつけて立ち上がった堂上の誘導にしたがって郁は砂浜へと降りていく。
笠原家に居た頃は、夏になると必ず1度は兄たちが連れてってくれたものだった海も図書隊に来た今年は隊員になったりいろんなことが起こったために行きたいとも言えなかったのだが。
ふと堂上を見上げた郁に気付いた堂上が、なんだ?とでも言いたげに視線を返してくるのを見て郁はフルリと頭を振った。
どうして海に行きたいってわかったんだろうか、と内心の疑問は外には出さず堂上が立ち止まったところで郁も立ち止まると座れというコマンドにしたがってその場に座る。
リードを外されて堂上の荷物から次に出てきたのはフリスビーだった。

「うわぁ……!!教官!教官!!そんなの持ってたんですかっ?!」
「ああ、まあな。ほら、遊んでやるから」
「やったー!!!」

フリスビーを見て感極まった郁の尻尾の振られ加減に、まんざらでもない堂上は満足そうな表情で荷物を置くと郁から少し離れた場所に移動してからフリスビーを投げてやる。
郁はその方角に合わせてスタートダッシュを決めると綺麗にジャンプしたままフリスビーをキャッチして堂上に投げ返した。
そんなことを繰り返し、昼の時間には海の家で買ったご飯を食べて、郁は久しぶりに心行くまで走り回り、遊び倒した。
それに付き合う堂上も相当のものだが、帰りの運転で気持ちよさそうに寝息を立てる郁の姿をバックミラー越しで確認して優しい表情をしていたのは堂上だけの秘密である。

****

堂上たちがそうして1日の大半を海で過ごしている頃、自分の机で普段は堂上に押し付ける書類に目を通して苦った顔をする玄田と進藤が特殊部隊の事務室には居た。

「くそっ……やっぱりここに閉じ込めておけば良かったな。書類が終わらんじゃないか!」
「俺もですよ~、あ、これ隊長の決済が必要な書類です」

書類を口実に緒形と共にしっつれいしまーすと軽い口調で入って来た進藤が、やはりげんなりした表情をしながら愚痴をこぼす。
今日、お偉方が見えるのは本当の話ではあるが犬嫌いが居る、という話は嘘である。
昨夜カレンダーを見ていた進藤が唐突に思いついた語呂合わせ『堂郁の日』によって、フォーラムでも人型で準備や警備を頑張った郁にご褒美をあげよう!という話にまで発展した結果、堂上によって郁を思い切り走らせてやるという褒美を与えることが決定された。
緒形は書類をどうするのかと思ったが、珍しく自分でやることを了承した二人にそれ以上の苦言はせず快く了承したのだ。
堂上の方もなかなか大変だったことを慮って息抜きに良いだろう、とは緒形の中だけにとどめられた賛同理由である。

「あー……明日に残してぇ」
「ダメですよ、隊長。その書類はあと1時間後に業務部の方が取りに来ますから。それに、今日くらいちゃんと仕事してないとまたお偉方が煩いですが」
「……わかった」

横で書類を揃えて提出先別に分けていた緒形からの言葉に、ぐっと言葉を詰まらせた玄田がまた机に向かうのを皮切りに進藤も緒形によって追い立てられてその日一日分の仕事を自力でやることとなった。
そんな様子を見ていた小牧が上戸に入り、手塚が困惑しながらも指示された仕事をしていたのは平和な証拠である。
そんなある日の特殊部隊事務室だった。
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