2015/03/07 (Sat) 悪魔と天使のおまけ

こんばんは！親友と旅行中にちまちま書いとります。
昨夜アップした48322番キリリクのお話でちょっと思い付いたので会話だけの小話とか小ネタを少々書いちゃいました！

自己満足のもの凄い短い物ですがよろしければ「小ネタを見る」よりご覧くださいませ。

★その１

「ねぇ、なんで笠原さんが危ないってわかったの？」
「別に……」
「あの時、堂上は笠原さんが呼んでるって叫んでたよね？」
「…………」
「ね？」
「……名前を交換してたんだ」
「え？」
「だからっ！ あいつのうっかりで名前を交換したんだよっ！ 付き合う前からっ！」
「えぇっ？！」
「仕方ないだろう……あいつの性質じゃ俺だけ真名を知ってるのは釣り合いがとれなかったんだ」
「ああ……今どき珍しいくらいな真っ白さだもんね。いくら源が一緒だとはいえちょっと辛いか……」
「そういうことだ……」
「でもさ、他にも方法あったのにやらなかったんだ？」
「咄嗟ですぐに思い出せなかったんだよ、驚きすぎて……」
「ふーん？ まぁ、そういうことにしといてあげるよ」



★その１の真相

郁のピンチに通りかかって三度目のこと
「あっ……ま、待って下さい！！」
「なんだ……」
「うっ……あ、あの！ わ、私笠原郁と言います！な、名前を……！」
「お前っ……馬鹿かっ！ 容易に真名を教えるとか何考えてんだ！！」
「えっ？ あっ、ああーっ！！ つ、ついっ！！」
「つい、じゃないだろうがっ！」
「ごめんなさいぃっ！」
「ああっ、たくっ！ お前、他のやつにも簡単に教えてるんじゃないだろうな？」
「お、教えてないです！ いつもは名前聞こうとも思わないし、同期は呼称は知ってるし……」
「ほんとだな？」
「ほんとですっ！ あなただけなんだからっ！」
「はぁ……ならいい。俺は堂上篤だ……いいか、他の誰にも言うなよ？」
「は、はいっ！ はいっ！ 堂上さんっ！」



★その２

首に巻き付いた腕に引き寄せられて潰さないように身体を支えながらリネンに沈んだ堂上は、数度唇を触れ合わせると最後に触れ合った時の違和感に顔を上げる。

「郁？」
「ん……」

目を閉じて口付けを待っているような体勢なのに、唇が触れあってもまるで反応がない様子に名前を呼ぶ。
郁からは色っぽい声が漏れてきたが表情は変わらず、むしろ健やかな寝息を立ててるようにしか見えない。

「マジかよ……」

堂上が思わず呻いたのは、信じたくない男の性ゆえだと許してほしい。
肩を揺らしてみるが不服そうに眉を寄せてぐずる郁は全く目を覚ましそうにない。
堂上は深く息を吐き出すと寝たことで緩んだ郁の腕から逃れ横に倒れ込む。

「馬鹿郁……今度覚えとけよ……」
「ん……ど……ょさん……すき……」

横にずれた堂上の気配を追いかけるように横を向き、すり寄ってきた郁の寝言に毒気を抜かれ、堂上は郁の首の下に片腕を差し込むと横を向きそのまま抱き寄せる。

「俺も――だ……。おやすみ、郁」

ふっと笑って寝言での告白に返事を返して額に口付けると堂上も目を閉じた。