龍のほこら 夢なら言えるのに(上官部下期ver) 忍者ブログ

龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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こんにちは!4月に入ったのに急に2月の気候に戻ったりと天気が落ち着かないですね。
その間に入学式などを迎え、新たな生活がスタートされている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

さて、本日は支部より大幅な加筆修正をしての転載となります。

実は3月の10日頃から31日に掛けてひっそりと支部投稿作品の転載を希望されるか、というアンケートを実施しておりました。
迷っていたこともあり、記事として皆様にご協力を仰ぐことはなかったのですが気付いて回答を頂きまして加筆修正して転載しようかな、という気になりました。
支部をご覧になっていない方は元々の作品が判らないかと思いますが、特に問題ないかと思いますのでお楽しみ頂けましたら幸いです。
本日投稿するこの作品は前半部分はほぼそのままですが、後半のオチ部分をがっつり書き直しておりますので既に読んだ方もお楽しみ頂けるのでは? と思います。
よろしければお付き合いくださいませ。

それでは、「本編スタート」よりご覧くださいませ。


拍手[50回]




当麻蔵人の護衛を図書隊がしていることが公になり、公休が取れるようになった頃。
それまでは静かにしていた特殊部隊の隊長である玄田が景気付けに行ってこい! と飲み会を企画し、いつもながら堂上にその仕切りを任せていた。
指示された堂上はと言えば、いつも通り噛み付いたもののまだ怪我人である玄田本人は出席しないとの確約を得て妥協すると飲み会の手配をした。

いつも通りと言うほどには参加できる人数は半数ほどになってはいるが、賑やかなのは変わらず堂上班が開始早々しばらくはあちらこちらに駆け回るのもいつも通り。
そして最終的に先輩に捕まって飲まされた郁が寝落ちするところまでもがいつも通りで。

「おーい、堂上。笠原が落ちたぞー」

漸くひと段落と思ったところでかかった声に、あいつはまたっ! と内心で舌打ちしながら呼ばれた場所へ行くと、壁に凭れてすよすよと寝息を立てている郁が居た。
そのままそこで寝かせても良かったが、先輩連中が動こうとしないのを見てため息を落とすと自分の上着をかけてから抱き上げる。
県展でジュエルボックスを壊されて開き直った堂上は周囲の視線を物ともせずに背中と膝裏を支えて持ち上げる、所謂お姫様抱っこで郁を自分の座っていた場所へと運んで行く。
周りではどよめきが起こるが堂上は知らぬ顔だ。酔っ払い相手に無駄だと悟っているのもあり、からかう隊員たちを完全に無視して席に辿り着くと座布団を枕に郁を寝かせて漸く自分の酒にありついた。

それから小一時間後、娘っ子が寝てると詰まらんな、とは誰が言ったのか自然と飲み会はお開きになり、二次会へと移動する隊員たちを見送って帰路に着いた。
堂上が背中の温もりを大切そうに背負いながらゆっくりと寮までの道を歩いていると、暫くしていつもの郁の寝言が始まる。
以前はその寝言を焦燥感に苛まれながら聞いていたが、開き直った今は逆にくすぐったいような嬉しい気持ちで聞く。

「どうじょうきょうかん……」

繰り返される自分の名前に、返事をすれば会話も成り立つ時があるけれど今日はなんとなく聞いていたいと黙って耳を傾けている。
時折ずり落ちそうな体を揺すりあげると、そのたびに名前を呼ばれるが答えないままもうすぐ基地の門前に辿り着くというところでいつもとは違う言葉が零れ落ちる。

「あつ……さ……」
「笠原?」

堂上は聞こえてきたいつもとは違う台詞に思わず足を止め、反射的に郁の名前を呼び返してしまう。
一方の郁はもう深い眠りに落ちる寸前で、声に反応して何かを言ったが堂上には正しく伝わらなかった。
堂上は、先ほど足を止めるほどの威力を持った言葉を思い返して「自分の名前を呼んでいなかったか?」と自問自答を繰り返す。
しかし、いくら考えても答えを知るだろう郁は夢の中である。
酔って寝ている状態でたたき起こして聞いてもまともな返答は来ないだろう。
更には、明日覚えているかも判らずましてや覚えていたとしても何と問い掛けたら良いのかも判らないのだから堂上には確認する手立てはない。
そこまで思い至って深い深いため息を一つ落とした堂上は、いつも通りに寮に送り届けると悶々とした夜を明かすこととなった。

――翌朝

「おっはようございまーす! あ、堂上教官昨日もまたお世話かけてすみませんでした!!」
「ん、おはよう。いい、気にするな、もう諦めた。が、毎度言うが寝落ちるほど飲むな、お前は」
「はい、すみません! 気をつけます!!」

いつもとは違い時間に余裕を持って事務所に顔を出した郁は元気に挨拶しながら自席に辿り着くと、一度荷物を置いて堂上の席に行く。
飲み会明けの定番になってしまっている謝罪を口にして深々と頭を下げると自席に戻っていく。
堂上は郁が近づいてきたのを感じて止めた手をそのままに、いつも通りの返答で応じると無意識に自席に戻るその後ろ姿をじっと追いかける。
小牧は横でその様子を観察していたが、堂上が自分の視線に気付かないのを見て取ると徐に郁に話掛ける。それに乗じてか、手塚も業務開始前の砕けた雰囲気でぼそりと悪態をつく。

「おはよう、笠原さん。今日も元気だね」
「お前、朝から煩い」
「小牧教官、おはようございます! 手塚は失礼! おはようって言ったのに返事もしないで! 良いじゃない、昨日とってもいい夢見て今朝のご飯が美味しかったんだから!」
「……おはよう。だが、それ理由になってないぞ。何の夢見たらそうなるんだ」

小牧の声掛けに笑顔で答えた郁は、手塚の悪態も耳にしていたらしい。食って掛かるとさすがに分が悪いと思ったのか顔をしかめて逸らすと、ぼそぼそと言葉を付け足す。ただし、やはり突っかかるのは忘れない。ある種手塚と郁の間ではこれがスキンシップなんだろうな……と最近では上官二人もヒートアップするまではのんびりと眺めているほどだ。

「昨日は『熱々の秋刀魚を七輪で焼いて、真っ白な新米の炊きたてご飯と一緒に食べる』ってすっごく幸せな夢を見たのよ! そしたら朝ごはんも秋刀魚だったから嬉しかったの!!」

郁は手塚の呆れたような呟きもしっかり拾っていたらしい。目をキラキラと輝かせて夢の内容を力説しながら、その反面頬が必要以上に紅くなるのを必死に抑えていた。
何かを誤魔化すようなその表情に、いつもなら小牧が真っ先に気付くのだが今日は上戸の世界の方が先にやって来たらしい……。

「……なんだそれ」
「ぶっ……か、かさは……さ……あははははははははは!!!」

郁の力一杯の説明に、当然ながら呆れて声を漏らしたのは手塚で上戸の世界に堕ちた小牧はお腹を抱えてデスクに突っ伏し盛大に笑っていた。
聞くから答えたのに! と咆えたのは郁で、きゃんきゃんと言い合う元気な末っ子二人を周りに居た他の隊員たちは今日も元気だな、と微笑ましげに眺めている。

「……アホか貴様ぁ!!」

いい加減止めた方がよさそうじゃないか? と他の隊員が思い始めた頃、郁の話を聞いて震えていた堂上が腹の底から声を出してしかりつけるのと同時に郁の頭に思い切りよく拳骨を落とした。
それはかなりの痛みを伴った様で、頭を抱えて声もなくうずくまった郁を目の前に自分も拳骨が飛んでくるかと一瞬身構えた手塚が居たほどだ。
しかし、堂上は郁にだけ拳骨をするに留まってふんっと鼻を鳴らすと自席に戻る。
堂上が書類を整理している間に郁も復活したのか涙目で堂上に抗議の声を上げ始める。

「ぃったーーーーいっ!! 教官酷い! 私まだ何もやってないのにっ!!」
「煩いっ! さっさと準備して業務開始しろっ!!」
「あっはっはっはっ……し、しぬぅ~……」
「小牧もだっ! さっさと戻ってこいっ!!」

いつも注意される時よりも上乗せされている不機嫌さに、何もやっていないとは言ったものの手塚と言い合っていたことまで含めればそれ以上文句も言えず郁は黙り込むと準備を始める。
しかし、チラリと見た堂上の背中に拒絶すら見えそうでしょんぼりすると業務に向かった。今日は手塚とバディで館内警備だ。
午前中、無事に館内警備を終わらせて昼休みに入った郁は誘われた食堂を断るとコンビニで適当にご飯を買って基地内でお気に入りにしている一角に来ていた。
ぽかぽかとした陽気にうっとりしながらも郁は朝の堂上の不機嫌さを思い出して小さくため息を吐いた。

「まさか、夢の中で教官のこと篤さんって呼んでたなんてあの場じゃ言えないし、言ったら余計に怒られるよねぇ……」
「……あの場で言ったら確実にからかわれたが、別に怒りはしないぞ?」
「ふぇっ?! きょ、教官?!」

ぽつりと漏れた言葉に返る声があり、それが良く知った、今では一番大好きな声だと瞬時に悟って慌てて顔を上げた郁は相変わらず不機嫌そうな堂上の顔を見て驚きに見開いた瞳からポロリと涙をこぼす。
怒りはしないなんて嘘だ! と内心で叫び、慌ててその場を逃げようと荷物に手を伸ばした所で一歩早く追いついた堂上に捕まってしまう。

「は、放してくださいっ! ふ、不愉快だっただろうことは謝りますからっ!」
「だから、別に怒らないし不愉快じゃない」
「でもっ! 教官、不機嫌じゃないですかぁ……」

捕まってもまだ逃げようともがく郁を捕まえて、憮然とした表情のままに否定の言葉を告げる堂上に涙目を通り越して一粒、また一粒と涙をこぼす郁は情けない声でその不機嫌を指摘する。
指摘された堂上は困ったように眉を寄せ、視線を彷徨わせると怒っているわけじゃない、ともう一度繰り返してとりあえず落ち着けと郁を捉えていない方の手でいつものようにぽんぽんと撫でる。
郁は既に泣き始めているのを必死に堪えているのか、喉を詰まらせながら固く目を閉じていて、堂上が実は照れているのだという事実に気付かない。
フルフルと小動物の様に震え、怯える郁になんと言うか迷った堂上は決して開くことのなさそうな瞼を見つめて漸く仏頂面だったその表情を苦笑に変えた。
今朝、不機嫌になったのは自分の勘違いが恥ずかしかったせいでもあり、郁の回答にがっかりしたせいでもあり、要は八つ当たりである。
それを謝罪するのも解っていない郁相手には出来ず、悶々としてしまったために不機嫌だったのだ。
ちなみに、先ほどの仏頂面は単純な照れ隠しだが郁は気付いていない。

「本当に、怒ってない。良いから目、開けろ」

じゃないと何するか判らんぞ? とからかい混じりの声で告げられて郁はそっと目を開けると困ったように、けれど優しく笑っている堂上が居た。
郁は今度は違う意味で堂上を見ていられなくて、首筋まで桜色に肌を染め上げながら再びきゅっと目を閉じる。
そんな郁に、可愛い顔するな! と怒鳴りたくなるのをぐっと堪えた堂上は仕方ない奴だな、と笑いながらぽんぽんと郁を撫でると腕時計を確認する。
時間は昼休みが終わる十分ほど前を指している。

「ほら、事務所戻るぞ。今朝は悪かった、半分くらい八つ当たりが入ってた」
「え……?」
「もう怒ってないから、ついてこないなら今度こそ怒るぞ?」
「わっ、そ、それはっ!」
「なら行くぞ」

真っ赤にして俯き加減になった郁の可愛らしさに心が緩み、自然な流れで朝の八つ当たりの謝罪をした堂上は驚いている郁を促して歩き出す。
数歩歩いてもついてこない気配に振り返り、冗談交じりに声を掛けて手を差し出すと条件反射か郁が戸惑いもなく手を乗せてくる。その自分よりも綺麗で華奢なソレをそっと握ると人通りが多い所に出るまで、と自分に言い訳して堂上は郁の手を引いて歩き出した。
手を繋いでいることに郁が気付く頃にはするりと放されていて、郁はパニックになりながらもドキドキと高鳴る胸に四苦八苦しながら午後の業務に就いたのだった。
終業後、残業を返上して郁を食事に誘った堂上に空気を読めない郁が柴崎に声を掛け、堂上班と柴崎で夕飯を食べることになり帰寮後に小牧の詰問に合う堂上が見られたのは別のお話。
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