龍のほこら ハロウィン 忍者ブログ

龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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こんばんは!本日はハロウィンですね!!
本日地元でオフ会があったので、その関係で書けたので(←)こちらでも御披露目です\(^o^)/

時期:上官部下期(査問後)

本編スタートよりご覧くださいませ。


拍手[40回]


――十月三十一日、ハロウィン

郁はかねてより約束してあった集まりに行くため、査問時よりは幾分和らいだがまだまだ居心地の良いとは言い切れない寮の共用ロビーから外へ飛び出す。
図書館の職員側の門を抜けると、その先に追いかけたい背中を見つけて郁はただでさえ浮き足立っていた心を更に弾ませて軽快に近づいた。

「堂上教官!」
「笠原か。お前も出掛けるのか」
「はい! 高校時代からの友人に頼まれてオフ会に」
「……オフ会?」

郁が声をかけると先を歩いていた背中が立ち止まり、振り返る。
その顔は、郁が予想していた通り上官である堂上でどこか遠出でもするのか、カジュアルだが落ち着いた雰囲気の私服姿だ。
自分を見て表情を和らげてくれた気がして、郁は自然と笑顔になる。隣に辿り着くと並んで歩き出した堂上が、何気ない仕草で車道と郁の間に入りこんだことに気付いて熱くなる顔に俯いた。
そんな郁に気付いているのかいないのか、堂上は郁の返した返事の方が気になったらしい。オフ会とは何か、と聞かれて友人に聞かされた説明をおうむ返しするように口にする。

「ええっと、友人の話だと女性ばかりが集まったサークルみたいなもので、普段はインターネットとかラインとか、そういうので繋がってるんですけど定期的に集まってお話するんだそうですよ?」
「ふうん、それで、なんでお前が呼ばれたんだ?」
「なんか、行く予定だった方が急用で来れなくなったらしくてサークルメンバーじゃなくてもいいから誰かいないかって打診されたとか言ってましたけど……」
「それ、怪しくないか?」
「大丈夫だと思いますけど……。ハロウィンのイベントで、予約した場所が人数の増減不可だって言ってましたから」

説明の何が引っかかっているのか……。
堂上がしつこく食い下がってくることにだんだんとどうしたら良いのか判らなくなってきた郁は、駅に着くころには情けない表情で堂上を見ることになった。
入隊当初はそれこそ反発もし尽したといえるほど反発していたが、共にする時間が長くなればなるほど不器用な優しさに気付き自然と追いかけたい背中になった。
査問が終わったころ、強制的に知らされた事実も漸く何とか受け止めて今、追いかけたい背中は少しだけ、気になる異性になっている。
そんな相手からああでもない、こうでもない、と指摘され続ければ行くのはまずいのかと不安になる。班長である堂上には従うように訓練されている郁には、なおの事、だ。

「……すまん、余計なこと言ったな」
「いえ……」
「夜は遅いのか?」
「え? えっと……終電までには帰るつもりですけど、結構遅くなるって言ってました」
「そうか」

駅の構内も、歩いている間に説明したイベント内容で目的地自体が同じであることが判っていたので改札を抜けるのも先に入った堂上が待っていてくれて自然と並んで歩く。
あちらこちらから視線が投げられているが、本人たちには全く自覚はないようで気付いてもいない。
ホームで電車を待ちながら、何か考える様子の堂上に郁が不安げに視線を投げればそれにはすぐ気付いた堂上が手を上げて、いつも通りのぽんぽんをやってくれて郁はほっとする。
怒っていない、そう感じただけで肩に入ってしまった力が抜けていく。
駅に電車が到着して、電車に乗り込むとやはり堂上はさり気なく、本当にさり気なく郁を庇って立ってくれた。
郁が気にしないように、でもしっかりと守れる位置に立つ堂上に、今度こそ頬が紅くなっていることを自覚せざるを得ない状態で郁は俯いて小さくなる。
クスリ、と笑う声が聞こえた気がしたが、気が気ではない。
目的の駅に着いて降りると、それぞれ目的地が違う方向になるため郁は別れようと堂上を見た。

「どうした? 行くんだろ?」
「えっと……はい、でも教官は?」
「俺は急ぎでもないから、ついでだし送ってってやる」
「えぇ?! そ、そんなっ! そこまではっ!!」
「いいから、ほら、行くぞ」

なんでこんなことになってるのっ?! そんな想いと、素直に嬉しいと思う心の狭間で戸惑いながらも先に歩き出してしまった堂上を追いかける。
郁の目的地はすぐそこで、送ってもらうほどの距離でもなかった。すぐに郁の友人も見つかって、堂上は立ち止まると郁を引き止めてきた。

「教官?」
「お前、終わる頃になったら連絡寄越せ」
「え?」
「いいな、絶対だ。上官命令だぞ?」
「な、なんですか、それっ! そんな命令っ!」
「いいからっ! 代わりに、迎えに来てやる」
「そっ、なっ、まっ!」
「守れよ」
「教官っ?!」

振り返った郁に、堂上が投げつけたのは横暴にも思える上官命令。でも、実際はただ心配してくれてるだけのそれだと、郁でも分かってどう反論して良いのか一瞬でパニックになる。
文句を言おうにも言葉が探せず口をぱくつかせる郁に、堂上は念を押すように言いつけるとさっと引き留めるために伸ばしていた手を離してさっそうと去っていってしまった。
郁は、その背中を見送るとどうしようもなく守るしかなくなった上官命令に情けない表情でがっくりと肩を落とした。
それでも、友人を待たせるのは、とどうにか立ち直り当初の予定通りサークルのイベントだというオフ会に参加した。
会場はやはり女性ばかりで、少し違ったのは入場の時にくじを引いて指定された衣装に着替えなければいけないこと。
郁が引いたのは小悪魔という文字が書かれたくじだった。女性ばかりだから気にならないものの、着替えさせられたそれらは慣れなくて恥ずかしい。
もじもじとする郁は周囲のメンバーに大層可愛がられ、ノンアルコールのイベントだったにも関わらず酔っ払いの様な女性たちに名で繰り回されていた。
そうして過ぎた時間はどれほどか、そろそろお開きだと教えられて郁は恐る恐る堂上へと連絡を入れた。
電話では憚られ、メールをすると数分も待たずに返事が返ってきてドキリとする。入口近くで待っている、という返事にこの衣装の自分を見られるかもしれないという不安に駆られたが後の祭りだった。

「笠原……?」
「うっ……教官、なんでもう居るんですか……」

イベントが無事に終わり、着替えるためには一度入口を出なければならず友人と歩いていると外から声が掛かった。
聞きなれたその声は、驚きを含んでいて郁は肩を竦めるとそっと振り返って姿を確認したとたんがっくりと肩を落とした。
郁は、小悪魔をイメージした短いスカートにキャミソール、その上にケープを羽織り背中からは悪魔らしく蝙蝠の羽がついた衣装で化粧も直されてパッと見た印象はかなり違う。
もしかしたらばれないかも、と期待したが全くの無駄に終わって何を言われるのかと戦々恐々としていると、何も言わない堂上に気付いた。
肩と一緒に落ちていた視線を戻すと、口元に手を当てて視線を逸らした堂上が僅かに頬を赤らめて立っていた。
郁にはどうしてそうしているのかわからず、自分が見るに堪えないのかという考えに至ると慌てて踵を返したが一歩進む前に堂上二捕まった。

「おい、こら! 違うからな!」
「な、何がですか! 似合わないのは分かってますから、そんな慰めるみたいなっ!」
「だから違うって言ってるだろうが! アホウ、似合ってるかいないかの二択なら似合っとるわっ!」
「なっ、きょっ、えぇっ?!」
「ったく、落ち着け」

捕まったのと同時に掛けられた声に、聞きたくないと首を振りながら自分を貶す郁に堂上は勢いのまま言葉にしたのか、自棄のように叫ぶ。
無理なくても、と思った郁だったが振り返ってみた堂上の顔が真っ赤なのを見て、パニックになって言葉が一向に出てこない。
郁のそんな様子に堂上も落ち着いたのか、苦笑を浮かべると手を伸ばして頭を撫でてくれる。
何事もなかったかのような表情に戻っている堂上に、目をぱちくりと瞬かせていると改めて問いかけられて郁も漸く我に返った。

「着替えは?」
「あ、今から……です。一度出ないと更衣室入れなくて」
「そうか。なら、あそこで待ってるから行って来い」
「はい! あの……」
「ん?」
「ほんとに、その……変じゃない、ですか?」
「ああ。似合ってる。だが、これ以上そんな恰好じゃ風邪引くからさっさと着替えてこい」
「はい!」

恐る恐る聞いてくる郁に、ふっと顔を緩めた堂上が頷くと顔を赤くしながらも嬉しそうに笑った郁は更衣室に駈け込んだ。
先に入っていた友人からは質問攻めに合いそうになったが、待たせているから、と逃げおおせて外に出ると堂上は言った場所で壁にもたれて待っていた。
慌てて駆け寄っていくと、そこまで急がんでもいいぞと言われたけれど郁は少しでも早く戻りたかったので急いでません! と返して並んで歩きだす。
帰り道、今日のイベントについて話すと、堂上はその中でもゲームの内容を熱心に聞いていた。
おはなし会でも使えるかなどを話しながらの帰り道は凄く有意義で、既に深夜も近い時間に、堂上がなぜ呼ばれてすぐ行けるような場所に居たのかなど考えもしなかった。
郁が、その堂上の行動の理由を知るのはもっと先、大事件の果てであることを、まだこの時には知る由もない。
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