龍のほこら 1500番キリリク 忍者ブログ

龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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おはようございます!
すみません、ちょっと失敗して前書きが全部消えていたので非表示にしてました^^;
ご迷惑をお掛けしてしまった方々には深くお詫び申し上げます。

さて、本日はキリバンリクエストの作品になります。

キリバン
1500

取得者様
hkneko様

リクエスト内容
堂郁で”リアルのだめ”/二人とも実はピアノが上手で、なにかの機会にみんなに披露!!
(郁ちゃんを良く思ってない業務部のお姉さん達を見返す)

実は私はのだめを読んだことがなく、友人に聞きまくったのでいろいろとご要望にお応え出来ていないかもしれません。
現状ではこれが精一杯でして、少しでも楽しんで頂けたら幸いと思います。

※ お持ち帰りについては、hkneko様のみ可能となります。
お持ち帰りは、本文をコピーをしてメモ帳に貼り付けて名前を付けて保存してくださいませ。
このページへのリンクだと、本文が突然消える可能性もありますので。
また別に公開される場合は私が書いたものであることを明記お願いいたします。

それでは、本編をご覧ください。

拍手[70回]





春麗な陽気の中、関東図書基地の業務部の事務所では柴崎麻子と業務部のお局様が激しいバトルを繰り広げていた。
その日の業務部は春のイベントに向けての内容を詰める会議を行っていた。
今回のテーマは春、新しいことに接する機会の多いこの時期に図書館にある紙媒体以外の資料などにも触れてもらおうと企画されたイベントで柴崎とそのお局様が意見を言い合っていた。
お局様の意見は、せっかくのイベントだからこそ良い物を提供すべきだという趣旨の元プロのピアニストを呼ぶというもの。
柴崎の意見は予算が少ない状況では呼べるピアニストなど知れているのだから馴染みのある図書隊員や後方支援部の腕よりを集めて耳馴染みのある曲をする方が良いというもの。
どちらにも理があり、一概にどちらが悪いとも言えない意見であるがお局様が意見を下げない理由は別にあった。
それは、柴崎が弾かせると主張している隊員が特殊部隊に所属している笠原郁だったからだ。
お局様としては、昇任試験からこっち業務部でも株が急上昇の郁にこれ以上出しゃばられてたまるか!という嫉妬全開の想いがあるのだろう。
柴崎もお局様の嫉妬心は承知の上で、しかし削れるところは削ってその分を宣伝に回したいという気持ちの方が強い。
いつまでも両者が引かない会議の場で、終止符を打ったのは業務部の上官だった。

「彼女がどれだけ弾けるのか見せてもらって、問題なければ彼女に頼めばいいだろう。幸い、時間は少しある。一週間後に聞かせてもらえるか柴崎士長が確認を取ってくれ。」
「わかりました。」

柴崎が頷いたことでお局様もそれ以上食い下がることはできず、議題は次へと流れて行った。
そして翌日、朝一番で特殊部隊の事務室を訪れた柴崎は最初に玄田の居るだろう隊長室へと入ると玄田に声をかける。
一週間後の郁の貸し出しを取り付けるためだ。
最初は多少渋っていた玄田だったが、柴崎があるネタを提供するとその表情は一変した。
それは柴崎のとっておきの情報で、玄田はそれを聞くと徐に内線の受話器を取った。

「緒形か?至急堂上班を隊長室に呼べ!」

玄田は繋がった先で出た緒形に一方的に言いつけるとがちゃんと言う音を立てて受話器を置いた。
柴崎はその行動だけで自分の要求が通った事を確信すると、堂上班の到着を待つ。
数分後、隊長室の扉がノックされ向こうから堂上の声で入室許可を伺う声が聞こえてきた。

「入れ!」

玄田が答えると堂上が扉を開け、順に堂上班が入室してくる。
最後に郁が入って扉を閉めると振り返った郁は柴崎が居る事に驚いて目を瞬かせた。

「何か御用ですか?書類なら肩代わりしませんよ!」

堂上が早速口を開くと玄田は煩そうに手を振ってから一度柴崎を見た。
それから楽しげな笑みを浮かべると堂上班を見てこう告げた。

「本日より堂上班は変則シフトとする。堂上と笠原は本日より一週間柴崎と共に音楽室でピアノ練習、一週間後業務部に披露とする。採用されればイベントでも弾くこと!小牧と手塚は二人が抜けた穴を埋めつつ他班に混じって業務を行え!」
「「なっ?!」」

絶句したのは2人、いや、3人。
声すら出なかったのは手塚で、驚きの声を上げたのは郁と堂上。
小牧は何がツボに入ったのか笑い崩れて床とお友達になっている。

「経費で自分の好きな高額のピアニストを呼ぼうとしている年増をぎゃふんと言わせたいんです。もちろん、ご協力頂けますよね?」

否やは許さない、そんな笑顔で念を押されて郁はすでに戦意喪失しており一人で抗議してもなら郁一人でと言われるのがオチだと悟ると堂上は諦めのため息を吐いて敬礼して返した。
郁たち他の堂上班も班長が了承するなら否やは言えず、それぞれが敬礼で持って了承の意を伝えた。
それからの一週間、郁はいろんな意味で驚きの連続だった。
堂上は器用だと思っていたが、なんとピアノまで出来たのか!と驚きは一入だ。
一方の堂上も郁の隠れた才能に驚いていた。

「お前、譜面一見でそこまで弾けるのか?」
「ふぇ?ええっと、どっか間違ってましたか?」

練習を開始して2日目、本番で弾いて欲しい曲だと渡された楽譜を譜面台に置いて弾き始めた郁に堂上が思わず驚きを口にした。
堂上自身は実家に居た頃に妹に付き合ってやった延長でその楽譜もやったことがあった。
しかし、郁は譜面を見るなりやったことないのにこんな難しいの!!と叫んだのだ。
それを一見しただけで所々適当なところはあるが、有る程度完成度の高い演奏で弾いている。
その様子は普段戦闘職種の大女だと自分を卑下する自信のなさとは裏腹にとても楽しそうで、気持ち良さそうで見惚れるほどに女を醸し出している。

「所々適当に誤魔化してるところはあるが、初見でそれだけ弾ければひとまず上等だろう。」

ピアノを弾く郁を思い出し少しぼうっとしていた堂上は不安そうに見てくる本人に気付いてハッとすると慌てて言い繕う。
郁はぼうっとしていたことにも気付いていなかったのか、そこ難しいしよくわからないんですよぅと情けない声をあげていた。
堂上は誤魔化せたことにホッとしながら郁の頭に手を乗せてぽんぽんと跳ねさせる。

「みっちり扱いてやるから安心しろ。」

ニヤリと笑った堂上に久方ぶりの鬼教官の影を見て、郁は色んな意味で青ざめる。

(いやぁ〜〜!!鬼教官再びぃ〜〜!!!)

辛うじて声に出さないものの顔を引きつらせる郁に、堂上はふっと表情を緩めて苦笑するともう一度ぽんぽんと頭で手を跳ねさせて手を下ろす。
そして郁の背後に立つともう一度弾いてみろと言って、楽譜の途中をトンっと指で叩いて見せる。
郁は背後に立たれて緊張やらなんだか近くない?とか色々雑念に囚われそうになったが、早くしろの言葉と共にぺしんと後頭部を叩かれてハッとすると言われた部分から弾き始める。
郁の腕前は、正直に言えばその辺のアマチュアなら裸足で逃げ出す程度には上手く、また音が感情を持っているかのように人を惹きつけるものだった。
堂上はそのピアノを聞きながら楽譜を追う。
郁が楽譜と違う音を弾いたところでストップをかけると該当する音の部分を指で示した。

「お前がわからないところはここか?」
「う…そうです。どうしても、この音に飛ぶと違和感があって。」
「まぁ、そうだがここから調が変わるだろ?」
「え?あ…ほんとだ!」
「気付いてなかったのか。」

堂上がストップをかけた場所は郁が勝手に音を変えて弾いている部分だった。
郁は堂上の指摘に詰まりつつ頷き変えた理由を伝えると堂上からは明確に変えてある理由が返ってきた。
そこで漸く楽譜を見直した郁が調の変化に気付き、堂上は目を見張った。
普通楽譜を見て弾いているはずなのだから気付くだろうと郁を見ると、視線に気付いた郁は気まずそうに視線をそらし言い訳らしきものを口にした。
曰く、普段は調など考えずに楽譜の音符だけを追い、感覚だけで弾いているのだと。
堂上はそれを聞いて郁の感覚派な面はこんなところまで発揮しているのかと感嘆するやら呆れるやらで、それを誤魔化すように小さく咳払いすると郁を囲うように両腕を前に伸ばし鍵盤の上に置いた。
郁は背中に感じる体温が近くなり、包まれるような体制になったことで一気に頭が真っ白になり硬直する。
しかし、教えることに集中している堂上はそんな事には気付かずそのままの状態で郁に声を掛けた。

「いいか、この部分だけ俺がやって見せるからちゃんと覚えろよ?」

耳元で響く耳障りの良い声にうっと喉を詰まらせながら、壊れたオモチャのようにコクコクと頷く郁。
不審に思って見下ろした堂上は、自分が取った体制に気づいて内心で焦るが動揺を見せれば郁はもっと萎縮すると思いぐっと堪えると弾き始める。
堂上も郁に負けず劣らずの腕前で、ゴツゴツとして骨ばって見える指が鍵盤を踊り出すとそれは綺麗な音が紡がれた。
郁は体制も忘れてその指と音を追いかけうっとりと目を細めた。

「ここまでだ。お前こことここは指運びが嫌いなのか改変してただろ。そこも直せ。」

いいな!という堂上の声とともに現実に引き戻された郁ははいぃ!と裏返った声で返事をし、もう一度弾いてみろと促されて弾き始める。
郁は体で覚えるタイプなので、一度で直すことは叶わず数度に一度はノートで頭を叩かれるまさに昇任試験の筆記の時の再現をする羽目になった。
しかし、覚えてしまえば郁の指運びは見惚れるほどで、ほっそりとした白い指先が鍵盤の上を走る様は誰にも見せたくないと堂上の独占欲をくすぐった。
そうしてスパルタで行われた特訓の成果を披露する日、何故か堂上も呼ばれてタキシードを渡された。

「これはどういうことだ?」
「ふふふ、堂上教官。しらを通そうたってそうはいきませんよ?この一週間、特訓の合間に二人で作曲連弾なんてやってましたよね?」

ネタは上がってるんですと笑顔で告げたのは呼び出した控え室で待ち構えていた柴崎だった。
柴崎の手にはレコーダーが握られており、仏頂面の下で動揺を隠そうと必死の堂上に練習風景だろう録音された音源を再生された。
そこから聞こえるのは確かに郁と二人で息抜きにやった即興の連弾で、堂上は思わず頭を抱えて唸ってしまった。

「今日のお披露目で笠原に変な虫がつくかもしれません。その害虫除けをお願いしたいんです。」

やってくれますよね?と笑顔の柴崎に、データと交換だと迫られれば逃げようもなく。
ましてや余分な害虫がつくかもと聞かされれば断ることもできない。
変な奴に引っかからないよう庇ってやるのも上官の務めだ。などと誰にともなく言い訳すると堂上は了承し、タキシードに着替えた。
本番開始の10分前、先に舞台袖に立っていた堂上は柴崎と郁の賑やかな声に気付いて顔を入り口へと向けた。
入り口の向こうでは、うっすらと見えてきたシルエットで郁が控え室に戻ろうとするのを必死に引っ張ってくる柴崎の構図が見えた。

「あいつは、ここまで来て何やってるんだ。」
「ちょ、柴崎!!ほんと無理!こんな格好似合わないから!!」
「この柴崎様の自信作にケチ付けようっての?!あんたはいつも通り弾くだけなんだから堂々としてなさい!」
「お前ら外に聞こえるぞ。何をそんなに…。」

言いかけた堂上は、暗がりを抜けて目に飛び込んできた郁の姿に言葉を失った。
郁はほっそりとしたその肢体によく馴染んだ漆黒のロングドレスを纏い、シースルーの肩掛けで剥き出しになった肩を隠していた。
顔も普段は本当につけているのかわからないほどの薄化粧なのにしっかりとアイラインまで施され幼さの残る中に大人の女性が見え隠れする化粧が施されていた。
腕は肘から手首にかけて漆黒のレースのカバーを着けられ露出は抑えられているものの見え隠れする白い肌が色気を孕んでいる。
堂上はその姿に見惚れ、二人が目の前にたどり着いても言葉の続きが紡げずにいた。
柴崎は堂上が何故黙り込んだか気付いていてニヤニヤと笑っていたが、自信のない郁にはその沈黙が否定されているようで痛くしばらくもじもじとしていたが徐々に不安そうな表情になるとやっぱり!と逃げ出そうとした。
堂上は郁が踵を返したことで漸く意識を取り戻すと間一髪郁の手首を捕まえて引き止めた。
柴崎はそれを確認するとあとよろしくお願いしますね、堂上教官。と笑顔で言い置いてその場を去って行く。

「す、すみません!!こんな似合わない格好して、教官の隣なんか立ったら教官が笑われちゃいますよね!!すぐに化粧落としていつものスーツに着替えてきますから!!」
「馬鹿、違う!!似合ってるから落ち着け!!」
「わかってます!にあわな…え?」

涙が滲みそうになるのを堪えて立て続けに叫ぶ郁を抑え叫んだ堂上の言葉に、やっぱり似合わないんだと言おうと思った郁は思わず言葉を止めて堂上を振り仰ぐ。
舞台裏は階段になっていて、数段降りてしまっている郁は丁度堂上の顎あたりに視線が来ており少し見上げなければその目を見ることは出来ない。
郁が上目遣いに見てきたのにドキリと心臓を跳ねさせた堂上は僅かに視線を逸らしながらもう一度言葉を紡ぐ。

「似合ってる。いつもの笠原じゃないようで言葉を失ったが、似合わないなんて思ってない。お前はもう少し自信を持て。あと、自覚しろ。」
「じ、自覚って!!戦闘職種の大女ですよ?!」
「そんなん、今の格好なら言われなきゃわからんだろうが。ともかく、もう時間もないから諦めろ。それと、お前が一曲弾き終わったらもう一曲、休憩の時にやってた連弾の演るぞ。」
「そ、それは柴崎マジックで…!!って、えぇ?!なんでそればれてるんですかっ?!」
「気付かんうちに練習覗きに来てたんだろ。演らなきゃ音源を流すって言われたからな。俺も一緒に出るから。」

郁の驚きは最もで、頭を抱えたいのは自分もだが今更逃げられるはずもないと、むすっとした表情で郁には事実だけを伝える。
柴崎ならやりかねないと思ってしまった郁もがっくりと肩を落とすと項垂れた。
堂上はその様子を見て郁がもう逃げないだろうと判断すると手を離し、ぽんっと頭に手を置いた。
セットされた髪が崩れないように気を付けながらぽんぽんと何時ものように撫でると、顔をあげた郁がへにょりと気の抜けた笑みを見せた。

「へへ、ばれたのは恥ずかしいけど教官が一緒なら心強いです。」
「そうか。」
「はい。」

気を許されていると実感できる笑みと無自覚なままに寄せられる全幅の信頼に、堂上の方が照れて撫でていたてを離して舞台を振り返ってしまう。
同時に柴崎の声で開演の合図が流れた。

「笠原、やれるな?」
「はい!」

堂上が舞台に出る前、前を向いたままかけた声に返った返事にいつか見た凛とした背中と今そばにいる部下の背中を思い浮かべ堂上は口角を上げると郁をエスコートして舞台へと上がった。
結果、どうなったかといえば言わずもがなで柴崎の目論見通り。
いや、それ以上に反響を呼んだ郁のソロと堂上との連弾は春のイベントで披露されることになり二人のファンをますます増やすことになった。
それと引き換えに堂上の番犬率が上がったのも致し方のないことである。
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職業:サボり癖のある事務員
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実写映画から図書戦に完全に嵌りました。暢気で妄想大好きな構ってちゃんですのでお暇な方はコメント等頂けると幸い。

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