龍のほこら はつこい 4話 忍者ブログ

龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

2017/12    11« 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31  »01
お待たせしております、はつこいの続きです。
筆が乗りまして、本日ツイッターの創作アカウントでは完結と相成りました。
纏めの方は徐々に公開していき、4月中に完結まで公開する予定です。

それに伴い、pixivの方へこちらの作品を前後篇として投稿します。
そして、この作品の投稿を最後にpixivからメインの活動場所をブログへ移す予定です。
図書戦の創作を始めた当初より、異色のパロディ、パラレルネタメインで思い浮かぶので
pixivで投稿するのは若干怖いなぁとも思っておりました。
あまり気にせず投稿していることもありましたが、これを機にブログへ移動して
周りの目を気にせずのびのびと創作していきたいなと思っております。

現在連載中の図書戦異聞に関しましては、後々考えていくつもりで現状ではこのまま
pixivでの更新続行を予定しております。
手前勝手なことを言ってご迷惑をお掛けする方も居るかもしれません。
深くお詫び申し上げます。

まだ今後もお付き合いくださる方は、のんびりとお付き合い頂けると幸いです。
よろしくお願いいたします。

それでは、長くなりましたがはつこい4話、本編スタートよりご覧くださいませ。




眼を腫らして学校を休んだ翌日から、今度は堂上が余所余所しくなった気がして郁はまた泣きそうになった。
しかし、自分の不注意やタイミングの悪さが堂上の機嫌を損ねることになったのだと思うと何も言えず、ただ1つだけ手塚や柴崎に学校に来ないで欲しいと頼むので精一杯でじくじくと痛む傷口を抱えて日々を過ごしていた。
そうして1週間も経った頃だろうか、裏庭にゴミを捨てに行った郁は蹲っている女子生徒を見つけて駆け寄った。

「どうしたの?大丈夫??」

蹲り、震えているその生徒に、気分が悪くなって歩けないのだろうかと声を掛ける。
郁は、振り返った生徒の顔を見て一瞬しまったという表情をした。なぜなら振り返った相手は堂上の彼女である河野で、その顔は泣きはらしたように眼を腫らせて嗚咽を堪えるように唇を噛んでいたから。
相手である生徒、河野の方もそれは同じだったようで郁の姿を見るや目を見開きお互いが固まってしまった。
しかし、そこで先に動いたのは郁だった。
ハンカチを取り出して改めて声を掛ける。

「大丈夫?」

心配そうに声を掛けられ、困惑の表情を見せたのは河野の方だった。
河野はハンカチと郁を交互に見ると噛み締めた唇を余計に噛み締めた。
郁はその様子に困ったような表情をすると差し出した手を戻してハンカチをしまった。

「気分悪いわけじゃないんだね?」

確認したいのはそこだと、三度問いかければ顔を顰めた河野は僅かながらに頷いた。
それにほっとして郁は立ち上がる。

「邪魔してごめん。これ捨てたら私居なくなるから。」

話を聞いてあげれれば楽になるのかもしれない。
郁はそう思ったが、河野の態度を見る限り自分では余計に色んなものを煽る気がして、郁は少し離れた場所に置いたゴミ箱の元に戻るとそれを持ち上げてそこに居ることを謝った。
河野はその言葉にまた顔を顰め、背けることで郁を視界から追い出そうとしている様だった。
郁はそれには何も言わずに少し先にあるゴミ捨て場にゴミを捨て、戻ってくる。
しかし、河野の様子が気になってしまうのは性分なのだろう。
郁はもう一度だけ立ち止まって河野を見た。

「あのっ、その・・・余計なお世話かもしれないけど。もし何かあったならあつ・・・堂上に相談した方が良いんじゃないかな?あいつだったらきっと相談に乗ってく・・・」
「なんでっ!!!」
「え?」

郁が河野を心配して最後にかけた言葉は、やはり河野の神経を逆なでしたようだった。
最後まで言い終わる前に河野が立ち上がって郁に向かってくる。
郁と河野の身長差は15㎝ほどで、郁が一番なりたい身長を、可愛らしい容姿を、河野は持っていた。
そんな河野の泣く姿にコンプレックスを刺激されていた郁はまさか河野が向かってくるとは思っておらず、とっさのことで避けることは出来なかった。
どんっと飛びついてきた河野に突き飛ばされて彼女諸共その場に尻もちを付く。

「なんでっ!なんで貴女なのっ!!貴女はもう彼氏見つけたんでしょっ?!なんでっ!?」

河野の悲痛な叫びが郁に向けられる。
しかし、郁は掛けられた言葉に首を傾げる。
なぜ?私は幼馴染だ、異性として見て貰えることすらないただの幼馴染。

「私は振られたの!もう堂上君に相談なんて出来ないんだからっ!なんで今更貴女がっ!!!」

悔しいっ!と声に込められた河野の心が悲鳴を上げているのを聞いて郁はただ受け止めることにした。
今、彼女はぶつける場所のない感情に苛まれているんだ・・・と。
なんでっ!どうしてっ!!と繰り返す河野を突き放すことが出来ず、郁は何も言わず受け止めた。
同じ思いを、もう何度もしているのだから見過ごせなかったのだ。
郁は河野がすべて吐き出すまでその叫びに付き合い背中を優しく撫で続けた。

「・・・・ごめんなさい。」

どれほどそうしていただろうか、郁も一緒に涙を流していたが漸く落ち着いた河野が顔を上げた。
泣きはらした顔は目が真っ赤になり、鼻水も流れたままで結構酷い顔だった。
郁の方がマシだと思える程度には河野の顔は酷く、郁は一度しまったハンカチを取り出すと河野に差し出す。
今度は河野も拒まずに受け取り、その場に座り込むと顔を俯かせた。

「ごめんなさい、貴女に八つ当たりしちゃって。」
「ううん、大丈夫だよ。」
「でも、貴女は・・・。」
「河野さんが何を心配してるか判るけど、私、とっくの昔にあいつから女認定外されちゃってるから。」
「・・・え?だって。」

郁の言葉に俯いていた顔を勢いよく上げた河野が見上げてくる。
郁はそんな姿まで可愛いなんて反則だ、と思いながら自重の笑みを浮かべる。
「私がね、お願いしたの。どうしても諦められなくて、少しでも傍に居たくて、あつ・・・堂上に彼女が出来るまでで良いからって思って。そしたらあいつが『郁とは兄妹みたいなもんなんだから今更態度変えるとか無理だろ。』って」

郁はその時の堂上の様子を思い出し、くすりと笑む。

「絶対それ、出来る訳ないじゃんって言ったんだけど聞かないからさ、じゃあ約束しようって言ったの。」

あの頃、異性としてではなくてもお互いが特別なことに変わりはなかった。
お互いが大切で、ずっと一緒に笑えると思ってた。
郁はその時を思い出しながら河野を見た。 
河野は郁の言葉に驚きと困惑を入り混じらせた表情で、言う言葉も思いつかないのかただ見つめ返すだけだった。
郁は僅かに目を伏せ、あの時自分が提案した内容を思い出してツキリと痛む胸を抑えながら口を開く。
2人だけの約束、守られるとは思っていなかった約束。 
あの約束をした時、郁は漸く自分の恋心を自覚した所だった。
昔から一緒に居た、居すぎて気付こうとしなかった。
気付いた時にはもう遅くて、堂上に女として見て貰えないことが苦しくて、だからいじわるのつもりだった。

「ちょっとした意地悪のつもりだったんだ。お互いに彼氏や彼女が出来たら報告する。でも関係は今のままで・・・。私は無理だけど篤はきっとモテるからさ。その時に困ったら良いって思って。」

しかし、堂上は律儀に約束を守って郁への態度も変わらなかった。
それは嬉しいのと同時に苦しくて、哀しかったと息を吐くように小さく呟き伏せた視線を上げると河野は悔しそうに顔を歪めハンカチを握りしめていた。

「やっぱり・・・最初から貴女には勝てないんだね。」

ぽつりと落とされた言葉は諦めを含んで郁の耳に届いた。
何のことか解らない郁は首を傾げて河野を見る。
互いの目はもう涙で視界が歪んでいるのが判り切っていたが指摘はしなかった。
河野はハンカチを手で弄びながら、深いため息を吐く。

「あーあ!結局頑張り損か!!最初に断られた時に諦めればよかった!!」

俯いた顔を上げた河野はまだ泣き顔だったがどこかすっきりとした表情をしていた。
そして郁を見ると、ハンカチを差し出した。
反射で受け取った郁を確認して立ち上がるとスカートの汚れを払って伸びをする。
まだ時折嗚咽が混じり、涙は頬を伝ったままだが河野は頓着せずに郁に背を向けた。

「悔しすぎるから、色々全部教えてあげない!!堂上君に聞いたら良いのよ。」

私は一抜けるわ、と言うと唐突に態度が豹変して訳が分からない郁を置いて河野は去って行った。
郁はただ茫然とその後ろ姿を見送ってから、少ししてはっと気づくと立ち上がってハンカチを仕舞うと汚れを払う。
ゴミ箱を手に教室に戻る。夕暮れの教室は誰も居らず、ゴミ箱を元に戻すと郁はほっと息を吐く。
窓から見下ろしたグラウンドは夕日に照らされる中仲間が走っている。
郁はそれを見下ろしながら少し前の河野の言葉を思い出す。

「最初に断られた・・・?」

どういうことだろう?と、思う。
付き合うと報告してきたのは堂上なのだから、河野から告白したとしても頷いたはずで・・・。

「なんで断ってるの?」

訳が分からない、と思った言葉はポロリと口の外へと零れ落ちて郁ははっと息を飲む。
誰か居たらと郁が教室を振り返るのと同時に、窓の外に人影が見えた。
教室の廊下側の窓はすりガラスになっていて中が見えない様になっている。
いつもは開いているそれも放課後ともなれば閉めてあり、人影の顔は解らないが1人ではないことは見てとれた。
そのことにあの呟きが聞かれていたかもしれないと焦るが、入ってきた人物を見て焦りよりも困惑が郁の脳内を締めた。
教室に入ってきた人物は男子生徒の3人組だった。
顔に見覚えはなく、視線を下に向けると上履きの色は郁より1学年上の物だった。

「君が笠原ちゃん?」

教室に入ってきた男子生徒の内、リーダー格らしき生徒が嫌らしい笑みを浮かべて近づきながらそう声を掛けてくる。
何の用かは判らないが決して良い用事ではないと、鈍い郁でも判るその様子に警戒心を全面に出しながら無言で睨み返す。
郁のその様子に男子生徒たちがまた楽しげないやらしい笑みを浮かべてひゅぅっと口笛を鳴らした。

「いいね、気が強い子を屈服させるのもまた楽しいんだ。」

くくっと喉を鳴らしながら言う生徒たちに、郁の表情は困惑から嫌悪に変わる。

「先輩たちが、誰もいない教室に何の御用ですか。」

郁は自分の鞄を抱え、じりじりと逃げ道を確保するように横に動きながら視線を逸らさず生徒たちに言う。
嫌悪を全面に押し出した郁に生徒たちの目は獲物を視界に収めた捕食者のように細まる。

「何の御用ですか~か。俺たちはあんたに御用があるんですよ、笠原ちゃん?」

肯定も否定もしなかった郁だが、3人の生徒たちは郁が本人であることを知っているようで逃げようと動いている郁を囲むように広がりながら近づいてくる。
郁はじりじりと教室のドアに向かっていたが行く手に一人が立ちふさがるのを視界の端で捉えて足を止める。
背中には教壇があり前と左右はいくつかの机を挟んでいるが3人の男子生徒がじりじりと間合いを詰めてきている。
隙を突いてすり抜けれないかと考えたが、3人の生徒たちは少なくとも郁より体格がよく背が高かった。
いつだったか堂上が言っていた男女の差を認めざる得ない程度にはその体格差があることを認め唇を噛みしめる。
それを言われた時も堂上と力比べをしてあっさりと負けているのだから、彼らを相手に一人ではどうやっても逃れられない。
そう判断して思わず後ずさった郁はトンっと背中を教壇にぶつけて足を止める。
じりじりと詰められる間合いに、呼吸を止めて視線を彷徨わせる。
今までなら、どんなピンチの時も一番に堂上が駆けつけてくれた。
しかし、門前で会って以来1週間は完全に避けられている状態の今それは期待したらいけないものだと郁は真っ先に思い浮かんだ姿に頭を振る。

「どうしたの?そんな泣きそうな顔しなくっても、別に変なことしようってわけじゃないからさぁ。」
「そうそう、俺たちとちょーっと遊びに付き合ってくれたらいいんだよ。」
「痛いことも怖いこともしないって。まぁ、気持ちよくなることはしてあげるかもしれないけどぉ。」

唇を噛みしめ、何かを耐えるように頭を左右に振った郁を見て3人の生徒たちはそれぞれ好き勝手に言い始める。
郁はそんな3人を睨みながら鞄を抱える腕に力を込めてその中身を思い出す。
今日の授業の用意、筆記具、それに体操服・・・。
重さ的にも投げつけることは可能だと思い郁は間合いを詰めながら下品な笑みを浮かべる3人をそれぞれ見る。
一番入口に近い男子生徒を見るが郁からみてほぼ扉の正面に立っているため鞄を投げても避けながら走るのに時間のロスがある。
次に現在正面に立っている男子生徒を見た。
まだ他の2人との距離はそこそこある。
隙を突いてそこを通り抜けられれば、運が良ければ後ろの扉から廊下に飛び出せる。
郁はこれ以上3人の男子生徒の輪が狭まる前に一か八かの賭けに出ることにした。
タイミングを計り、手に持った鞄をバスケットボールを投げる要領で目の前の男子生徒の顔面目がけて投げ出す。

「うわっ?!」
「あっ、こいつっ!!」
「待ちやがれっ!!」

郁が投げた鞄は見事正面に立っていた男子生徒の顔面に飛んだ。
男子生徒が両腕で顔を庇ったことで出来た隙を突いて郁は一気に駆け出す。
学校中でも1、2を争う郁の瞬発力は一瞬男子生徒を出し抜いた。
しかし、場所が教室で机という障害物があるため郁はいつものトップスピードには乗れず扉にたどり着く直前で追いかけてきた男子生徒の1人に襟首を掴まれてしまった。

「ごらっ、待てやっ!!」
「やっ?!」

鞄を投げつけたことで怒らせたのか、勢いよく襟首を引き倒されて郁は悲鳴を上げてバランスを崩した。
そこをすかさず違う男子生徒が腕を掴んで一番近い机の上に郁の上半身を引き倒した。
ドンッと勢いよく倒されて郁からくぐもった声が漏れる。

「ぅっ・・・ごほっ・・・やっ!!放してっ!!」

片腕を机の上に押し付けられて上から覗き込まれる様な体制に嫌悪からまだ掴まれていなかった手で郁は目の前にある男子生徒の体を払おうとする。
パンッと乾いた音が響き、郁の手が男子生徒の頬を打ったが当たりが軽かったのか男子生徒はそれでは怯まず逆に反対の手も押さえつけられて自由を奪われる。

「おいおい、笠原ちゃん。痛いことなんてしないって言ってるのになんでこういう事するのかなぁ?」
「鞄、すっげぇ痛かったんだけど?」
「言う事聞いてくれないんだったら、もう面倒だしここで気持ちいいことしてあげてもいいんだぜ?」

郁を抑え込んだことで気が大きくなったのか、余裕が出来たのか・・・。
下品な笑みを再び浮かべて3人が代わる代わる郁の顔を覗き込んでくる。

「いやっ!!誰があんたたちなんかにっ!!」

視線が合うのも気持ち悪く、郁は必死に顔を逸らしどうにか拘束から逃げようと身体を捩り足をばたつかせて叫ぶ。
しかし、男3人掛かりで抑え込まれれば逃れられるはずもなく、服が乱れるだけだった。

「おうおう、そんなに足ばたつかせてスカートめくってくれるなんてサービスいいねぇ。」
「やる気満々ってか?」

郁がもがくのを楽しそうに眺めていた男子生徒たちがスカートが乱れ郁の足が見えると口笛を吹きながら揶揄する。
郁はそんなことに構っていられなかったが足に手が伸びてくるとさらに大きくもがきだす。

「くっ、こいつ結構力あるなっ。」
「おいっ、こっちの方抑えるの手伝えよ!」

触ろうとして来る男子生徒に向かって足を蹴り出した郁に、間一髪で避けた生徒が片手を抑えていた生徒に声を掛ける。
呼ばれた生徒はもう片方を抑えていた生徒に抑えるのを頼むと移動して足側に回った。

「へぇ・・・こいつ胸ないしつまんない身体してると思ったけど足綺麗じゃん」
「いやっ!放してよっ!!」

近くに来る男子生徒を蹴ってやろうと足を動かした郁だったが、手を押さえつけられて思うように動けない状態では敵うはずもなく2人にそれぞれ足首を掴まれてぞっとする感覚にますます暴れようとする。

「ちっ、大人しくしろよっ!!」
「騒いだってどうせ誰も来ねーよっ!!」

いつまでも騒ぐのを止めない郁に、だんだんとイラついてきた男子生徒たちは黙らせるためにか郁のブレザーのブラウスに手を伸ばす。

「やっ!やだっ!!!放しっむぐっ、んーーっ!!」

腹から力いっぱい声を出した郁のその大きさに慌て、片手で両腕を纏めて持ち口を塞いできた。
鼻まで覆うほどの大きな手で強く押さえつけられて呼吸が苦しくなるが、郁は諦めずに声を出そうともがいている。

「こいつっ!!おい、さっさとやっちまおうぜ!!」
「殴ってやれば大人しくなるんじゃね?」
「目立つ怪我はさせるなって話だろ?」
「面倒くせぇなっ!!」
「おいっ!大人しくしねーと怪我するぞっ!!」

何を言ってもめげずに暴れ続ける郁に我慢も限界に来ている男子生徒たちが怒鳴りつけてくる。
郁はその度にびくりと肩を竦めるが諦めることはしなかった。
1人の男子生徒が足を持ったままブラウスの襟首に手を掛けて勢いよく引っ張った。
ビッという布の引き裂かれる音と共にブラウスが破れて胸元が肌蹴る。

「んんーーーっ!!っぅんーーっ!!」

肌に触れる冷たい空気に郁が渾身の力を振り絞って暴れるが、やはり男の力には敵わなかった。
もうダメだと思った郁の目に涙が滲む。

「へへっ、良い眺めだなさすがに。」
「だな。さて、誰が最初に遊ぶよ?」
「んー・・・やっぱ最初はよぉ・・・。」
「3人まとめてで良いから俺と遊んでくれよ。」

郁を押さえつけながら肌蹴た胸元に見え隠れする下着を見て再びテンションの上がった3人が順番を話始めた時、低く怒りを孕んだ声が静かに割り込んだ。

「あ゛ぁ?!」
「なっ、誰だよ、お前!!」
「邪魔だ!混じりたいなら後にしろよっ!!」

男子生徒が一斉に振り返ると、教室の扉が開いており戸口には走って来たのか息を乱しながらも怒りの形相で立つ誰かが居た。
3人は突然割り込んだ人物のその怒気に一瞬たじろいだが、邪魔をされては堪らないと口々に追い返すための言葉を吐き出す。
しかし、それはその人物の怒りを煽る材料にしかならず一歩ずつ確実に近づいてくることに男子生徒たちが怯え始める。
郁は口元を押さえつけている手が緩んだのに気付き、頭を振ってどうにかその手から逃れると男子生徒たちが見ている方へと懸命に顔を向けた。
そして、視界に入った人物に目を見開き声にならない声でなんで?と呟く。

「お前ら、郁に何してる・・・?」

すぐ傍までたどり着いた人物、堂上は郁の片足を持っていた人物の襟首を掴み引き寄せながら言う。
男子生徒たちは静かに、だがビリビリと空気を揺らしているようなその一言に震えるのを必死に堪えているようだ。
郁は掴まれた手足から伝わる震えを感じながら、なぜか本気で怒る堂上を見るのは久しぶりだなと全く別のことを思い浮かべた。

「とりあえず、その汚い手を郁からどけろ。今すぐに・・・だ。」

襟首を掴まれても郁から手を離さない生徒にも、それを見ても何も反応を示さない残りの2人にもそう告げると3秒やるとだけ告げて堂上は数え始める。
しかし、男子生徒たちはそれをハッタリとでも思ったのか震えているのに鼻で笑って見せるその様子に突然萱の外に放り出された気分の郁はただ茫然とその様子を見ている。
自分の格好も忘れ、部活の途中で抜け出してきたのだろう柔道着の堂上になんでとどうしてを頭の中で繰り返す。
私を嫌いになったんじゃないの?もう見放したんでしょ?なんで今更来るの?郁の中はそんな感情ばかりがぐるぐると渦巻いて、先ほどまでは必死に抗っていたのにそれすら忘れて成り行きを見守っている。

「3・・・」
「と、とにかく邪魔すんなよっ!!」
「2・・・」
「へっ!放さなかったら何するってんだよっ!!」
「1・・・」
「い、いいかげっ・・ぎゃっ!?いてててっ!!やめっ!放せっ!!痛ぇっ!!骨折れるっ!!」

ぼんやりと視点が合わない状態で思考の波に浚われていた郁は片方の足の圧迫感が消えたと同時に上がった誰かの悲鳴で意識を現実に戻した。
声の方へ視線を向ければつい先ほどまで郁の足を掴んでいた男子生徒が堂上に手首を掴まれている。
一見すると軽く握っているだけに見えるその状態だが、郁は急所を押えられてしかも加減なく握られているなと兄妹喧嘩の経験から反射的に悟る。

「おい・・・そっちの2人も早く放せ。」

涼しい顔で痛みにもがく仲間を抑え込んでいる堂上に声を掛けられて、郁を掴んでいた残り2人もヒッと悲鳴を上げて郁から手を離し飛び退るとカタカタと震えだす。

「いてぇ~、いてぇよぅ・・・頼む、もう放してくれっ!!」

堂上が手首を掴んでいた男子生徒は、既に痛みで泣き出していて情けない声で懇願していたが、それは無視された。
開放された郁は机の上から落ちかけて慌てて体制を整えると机の上に起き上がり、上から見た自分の格好に気付くと慌ててブラウスの前をかき集めた。

「あ・・・ごめ・・・。」

黙ったまま何も言わない堂上を見て、郁は自分も怒りの対象に含まれていると思い謝罪を口にしようとした。
しかし、堂上の姿を見た安堵から先ほどまで無視出来ていた恐怖心が戻ってきて身体も声も震えて上手く言葉が紡げなかった。
郁はそのことに自分を責めるように唇を噛み締めて俯いてしまう。
堂上はそんな郁の震えた声と様子にはっとすると握っていた男子生徒を投げ捨てるようにその手首を離し郁に近づいた。
堂上が郁に意識を向け自分たちから気が逸れたのをいいことに、3人の男子生徒たちは慌てて立ち上がると腰を抜かしたような必死の態で教室を逃げ出していく。
郁はパタパタと駆け足で出ていく足音を聞きながら、ぎゅっと目を瞑って震える身体を抑えようとする。
少しして、パサリという衣擦れの音と共に肩に温かい感触と嗅ぎ慣れた香りが鼻孔を擽ったことに郁は瞑った目をそっと開く。
目の前にはTシャツに柔道着のボトム姿の堂上が心配そうな表情で覗き込んでいて、驚いて目を見開くと反射的に後ずさる。

「・・・悪い、怖かったよな。」

郁が後ずさったことで堂上は何を誤解したのか、自嘲気味な笑みを浮かべて身体を引こうとした。
郁はそんな堂上を見て直感で今引き止めないと何かが壊れると感じて咄嗟に手を伸ばす。
郁の伸ばした手は離れる寸前の堂上の手を摑まえた。

「あ・・・違っ・・・あつ・・ごめ・・・い」

郁は咄嗟に捕まえた堂上の手のその暖かさに漸く心の緊張が解けて、ボロボロと涙が零れるのを止められないまま言葉を紡ごうとする。
迷惑をかけてごめんなさい、助けてくれてありがとう、そんな言葉を必死に言おうとする郁だったが、どれも嗚咽に邪魔されて言葉にならない。
ただ、必死に捕まえた堂上の手を握り締めて離れるのを嫌がるようにフルフルと首を横に振る。堂上は手を握って泣き出した郁を見てか、戸惑った様な表情を浮かべているのを滲む視界に収めて必死に目をこする。
何度こすっても止まらない涙にどうしたら良いのか判らなくなった郁は、堂上を困らせているだろうことが申し訳なくて、手を握って引き止めているのが申し訳なくてそろそろと手を離そうとした。
しかし、その手は離れることなく逆に握り返されて引っ張られた。
予想外の堂上の行動に郁の身体は軽々と引き寄せられてその腕に収まった。
そして堂上は幼いころからそうしていた様にぽんぽんと頭を撫でながら抱きしめてくれた。
郁はその腕の優しさに安堵すると本格的に泣き声を上げて泣き出してしまった。
背中に腕を回してしっかりと抱き付いても堂上は何も言わず、ただ頭や背中を宥めるように繰り返し撫でてくれていた。

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