龍のほこら 雷様の鳴る時に 忍者ブログ

龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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こんにちは、雷の音が怖くて一人だとgkbrする龍春です。
本日は郁ちゃんもそんなだったら良いなって感じに妄想を広げて見ました。
もちろん、郁ちゃんを見つけるのは堂上の役目!!

楽しんで頂けたら幸いです。

時期:上官部下期

拍手[85回]





その日は朝から雲行きが怪しく、郁は一人になるとそわそわと落ち着かない心地を味わっていた。
しかし、誰か1人でも人が傍に居るとその落ち着かない心地はどこかへ飛んでいき、
課業中はいつも通りに過ごすことが出来ていた。
そうして訪れた課業後、郁は図書館に立ち寄って以前から気になっていた本を手にすると寮へ戻った。
荷物を置いて、衣服を着替えてからふとお茶請けが欲しいなと思い立つ。
ご飯には少し早い時間に課業を上がれたのは佳境で、借りた本をゆっくり読みたいと思っていたのだが
お茶と共に何か口にしたいと思い立ったのが運のつきだった。

「うう・・・・なんでこんな時にこんなとこで・・・。」

食べたいケーキがあり、それが少し離れたコンビニにあるのを思い出して
郁は傘を手に足を延ばしていた。
まだ降り出してはいなかったが、たまたまつけたラジオが降水量80%を予報していて
これから降り出すことは確実と思って持ってきていたそれは役に立った。
役に立ったが、しかし・・・郁の予想外の物まで連れてきたその雨雲は現在頑固に空に留まっている。

「ど、どうしよう・・・・誰か、知ってる人が居れば・・・。」

郁の予想外の物、それは雷。
今もゴロゴロと予備動作をしているかのように唸っているそれが郁を追いつめる。
1つ目の雷が鳴り出した時、郁は丁度帰り道だった。
買ったケーキを大事そうに抱えて降り出した雨に持ってきた傘を差し、ルンルン気分で歩いていた。
雨自体は嫌いではないし、寮までもそこまでの距離はない。
多少足元が濡れるがこの後の予定を考えれば気にもならないと歩いていたのに。
寮までの道のりの丁度中間にある公園に差し掛かった時、それが鳴り出した。

ドンッ!ゴロゴロゴロゴロッ!!

突然鳴り響いた大きな音に、悲鳴を上げて飛び上がった郁は公園に駆け込んだ。
どこかに落ちたのか、雷が非常に近い場所だったのか判らないが郁にはそこは関係なく
あの音が生理的に受け付けないとは以前からの自分の考察だ。
但し、知っている人間が1人でも居る場所でなら何も問題はない。
全く気にならない程に自分を保てるのに、誰もいないと途端に震えあがって動けなくなる。
飛んだ弱点だと嘆いたのは高校の頃だっただろうか・・・と、郁は駆け込んだ公園の滑り台の下に入り
がたがたと震えて小さくなりながら膝を抱えて蹲る。
ゴロゴロとなり響く雷はいつまでも続くように郁の耳に響いて離れない。

「やだやだっ!怖い、怖い、怖いっ!!!」

耳を塞いでも腹の底から響かせるようになる雷鳴は郁を脅かす。
どれだけそうしていたのか、いまだに小さくゴロゴロ鳴る雷が怖くて滑り台から抜け出せない郁に
ふわりと温かい何かが触れたのに気付いて顔を上げる。

「あ・・・。」
「お前、何やってんだ。傘も荷物も放り出してこんなとこで。しかも冷えてる。」

滑り台の下に顔を覗かせたのは、自分が追いかけ追い越すと決めた上官で
眉間に皺を寄せたいつもの表情で目だけが心配そうに陰ったその顔を見てポロリと涙が零れる

「ふぇ・・・きょーかーん・・・。」
「なっ、なんだっ?!どうしたんだ、おい、笠原??」

見慣れた顔と見慣れた声、触れた手の温かさに先ほどまでの雷への恐怖心が振りきれて
情けない声で顔を出した上官を呼ぶと年甲斐もなく幼子の様に両手を伸ばしてしまった郁。
慌てながらも器用に傘を支えながら受け止めた堂上は、どうしたんだと呆れた声で背を叩いた。

「か・・・かみなりが・・・。」
「ん?お前、普段雷も平気そうに見てるだろうが。」
「うぅ・・・誰か知ってる人が傍に居ると平気なんですけど、一人だとダメなんですぅ~。」

この際、情けないと思われても構わないと正直に答えれば上官はなんだそれ、と苦笑しながら
ぽんぽんと背中を叩いてあやしてくれる。
いつもなら絶対ありえない構図、ありえない行動、それでも許容してくれる上官に
ぐずぐずと甘えてしまった郁は落ち着くまで背中を撫でられて漸く恥ずかしげに顔を上げた。

「すみません・・・なんか、子供みたいに・・・。」
「いや、意外な弱点だったがな。」
「うぅ・・・言われると思った。自分でも不思議なんですけど、ほんと一人の時に鳴られるのがダメで。」
「鳴り始めた時にここに差し掛かって思わずこの滑り台の下に逃げ込んだ・・・と。」
「・・・はい。」

しゅんとした仕草で上官、堂上の確認にコクリと頷いた郁に堂上はふわりと笑みを浮かべる。
俯いた郁には見えない笑みは柔らかく、小牧が見れば「可愛いって思ってるのもろばれだよね」
などとからかいがあるに違いないが今は丁度よく誰も居ないわけで遠慮なく頬を緩めている堂上。

「誰かいれば平気だし、交戦してる時は大丈夫なんだろう?」
「それはもちろん!」
「なら良いんじゃないか。お前だって女の子だろ?」
「うぇ・・・?」
「・・・・なんだ。」

反省しているらしい郁を浮上させようと声を掛けた堂上の、その内容に驚いて顔を上げた郁が
目をまんまるにして見てくるのを受けて堂上も恥ずかしくなり顔を背けると片手で口元を覆う。
その耳は真っ赤になっていて、郁もつられる様に真っ赤になる。

「お・・・女の子って・・・そんな、私、戦闘職種の大女で・・・」

紅い顔で俯いて、もごもごと何やら一生懸命否定している姿が可愛いやら何やらで
ちらりと横目で見ていた堂上はその様子に吹出すと、いつものように手を伸ばす。
ぽんぽんと二回、郁の頭で跳ねた手と共に堂上が立ち上がるとちょっと待ってろと言われて
大人しく待っていると戻ってきた堂上が郁の目の前に手を差し出す。

「ほら、買ったもんも台無しだしついてってやるからもっかい買ってこい。」
「え・・・でも・・・。」
「そこのコンビニの予定が少し遠くなるだけだ、問題ない。」
「・・・・ありがとうございます。」

郁を見つけた時に拾っていたらしいコンビニの袋で何を買ったか判ったらしい。
取り出してみれば案の定中身は台無しで思い切り振ってしまったのが丸わかりな状態。
郁は恥ずかしさに頬を染めつつも差し出された手を取って滑り台の下から抜け出ると
傘を差そうと手を伸ばす。

「いい、お前また放り出して逃げそうだしな。」
「なっ!教官が一緒ならそんなことになりませんよっ!!」
「傘、中までびしょ濡れで使いもんにならないぞ、今。」
「えぇ?!うぅ・・・・。」
「つべこべ言わずに入ってけ、置いてくぞ。」
「わっわっ、待ってくださいきょーかんっ!!」

さっさと手を離して歩き出そうとする堂上に、いまだ空でなる雷に怯えた郁が手を伸ばす。
足を止めて苦笑しながらほらと手を出してくれるそれに甘えて一緒に傘に収まった郁は
なんか今日は良い日だな、などと現金なことを思いつつコンビニを目指した。
買って帰って柴崎に追及されて堂上教官と相合傘だったのね、なんてからかわれるのはもう少し後の話。
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