龍のほこら I kiss an ear 忍者ブログ

龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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こんばんは!
本日は一日ぐーたら生活を送ってしまいました、ダメ人間の龍春です。
皆様は休日を如何お過ごしでしょうか?

本日は短編分類にて、キスシリーズの更新となります。
宜しければ「本編スタート」よりご覧くださいませ。

時期:上官部下期(原作:内乱の小牧救出後くらい)
CP:堂郁(一部小毬の描写あり)
格言:耳-誘惑






郁が毬江ちゃんに出会ったのは1月も3が日を過ぎた頃だった。
小牧の幼馴染として紹介された彼女は小柄で可愛らしく、清純そうな郁が理想だと思う女の子そのものだった。
数度しか見かけていなかったが彼女の視線が追う先はとても一途で郁は何故かその視線の先にある人物にすぐ気付いてしまった。
そして、その瞳に映る切なさにも気づいて心の中でエールを送っていたものだ。

「あ、毬江ちゃん・・・。」

出会って2週間も経たぬうちに、小牧が良化特務機関に連れさられてしまい郁は柴崎と共に毬江の家を訪ねた。
堂上の強硬な態度を跳ね除けるには奇襲しかなく、たとえ小牧の想いがどうであれ彼女の想いを無視することが最良とは思わなかったのだ。
結果は最良を引き当てて良化隊からは小牧を奪還することに成功し、毬江は無事に想いを添い遂げることが出来た。
それから数日経った図書館で、郁はふと視界に入った二人に一気に顔が紅潮して慌ててその場を離れた。
別に、なんというモノではない風景だった。
特に耳の悪い彼女とそれを気遣う小牧にはごくごくありふれた風景。
しかし、その時のそれは何故かそんなほのぼのとしたものには見えず郁は思わず図書館の外の隠れた場所にあるベンチにまで駆け足で逃げ出して崩れ落ちた。

「・・・・・・何あれ・・・いや、何でもないはずなんだけど、何あれ・・・。」

現在、昼休みに入ったところである。
昼食をコンビニのおにぎりなどにすればかなりの時間を自分のために使えるわけで、郁は柴崎と約束していなくて良かったと心から安堵しながらベンチの上で縮こまる。
木の陰になったそこはいわゆる死角になるベンチではあるのだが、実は庁舎からはしっかり見える位置でもある。
郁が誰にも見られないだろうと安心して真っ赤な顔でそこに座り込んで俯いていると、不意に周りが薄暗くなった。

「何やってる。」
「ふぇ?」

あれ?と思った郁が顔を上げるよりも早く、この1年で一番聞いていると断言出来る声が降ってきて郁は間抜けな声と共に顔を上げた。
視界の先には予想通りの仏頂面をした直属の上官が訝しげな表情をして郁を見下ろしている。
間の抜けた表情をした郁を見て、なにやらホッとしたような息を吐き出しながら同じ言葉をもう一度かけられた。
そこで漸く郁は自分が堂上に心配されているらしいことをうっすらと把握すると赤くなっているだろう顔を思い出して慌てて伏せた。
内心では、なんでこんなとこに教官が?!とか、私今すごい顔してるに違いないのに!!とか、いろんな思考が巡っておりそれはほとんどダダ漏れていたりするのだが本人は気づかない。

「何やってるんだ。体調が悪いなら・・・。」
「い、いえ!!体調は全然平気です!!ちょ、ちょっと見ちゃいけないものを見てしまったというかぁあ~っ!!!」

心配そうな声音が体調と告げた時、郁は反射的に顔を上げて堂上を見ると否定を口にしたが自分でも説明できないことまでうっかりと口を滑らしたことに途中で気づいて声を荒げると頭を抱えて再び俯いた。
その様子に、堂上がそれだけ騒げるなら体調は大丈夫なんだな。と憎まれ口のようなことを言うが郁はもうそこに反応している余裕などなかった。
うっかりと口を滑らせた内容について言及されないことをひたすら祈りながらフルフルと震えているだけだ。
そして、堂上が徐に動いたのに気付くとびくりと肩をすくませる。

「お前・・・・まあ、いい。飯は食ったのか?」
「ま・・・まだです・・・・。」
「もう時間も無くなってきてるのに、飯抜きで午後の業務に出るつもりか?」
「い、いえ!この後コンビニに走ろうかとおもっ・・・・。」

昼食抜きなど無理だと俯いたままフルフルと首を振って否定した郁は、時計を確認してコンビニに行かなくてはいけない時間だと気付くとそれを告げながらあわてて立ち上がろうとした。
しかし、堂上がカサリと音を立てて差し出してきたモノを目の前に言葉が止まると、今度はどうしたら良いのかとそれと堂上を交互に見やった。

「少し多めに買いすぎたんだ。お前も食うの手伝え。」
「え・・・・でも・・・・。」
「いいから。時間がもったいない。」
「う・・・はい。じゃあ、頂きます。」

夜食分じゃないのだろうか、と思って遠慮しようとした郁だったが堂上に強引に押されて受け取ると大人しく座り直して袋を開ける。
堂上にしては珍しい新作の文字が踊ったパッケージが何種類もあり、首を傾げたが隣を見れば不機嫌そうな表情をしている堂上にそれ以上余計なことは聞けずに1つ手に取って食べ始める。
それから2人、もくもくと食べてあらかた食べきったころに今度は飲み物を差し出されてこれも素直に受け取ると飲み始める。
その頃には郁もすっかりと落ち着いており、堂上からの問いかけにどうにか答えられる程度にはなっていた。
そこで改めて堂上から何をしていたのかと問われて郁は見たものを思い出すとうっすらと頬を染めてえー・・・やらうー・・・やら唸り始める。
ここに至ってもまだ言えない理由なのか?と堂上が首を傾げているのにも気づかずに、郁はなんと説明したものかと頭を悩ませている。

「た、大したことじゃないんですよ?ほんとに、いつもの風景っていうか・・・。」
「ならそんな挙動不審になる必要ないだろうが。」
「う・・・・だ、だって・・・。まともに見たの初めてっていうか、あんなの見たら・・・。」
「何を見たんだ。」

郁は何とか言わずに終わらせられないかと四苦八苦しながら言葉を紡ぐが、堂上に端から潰されていって徐々に涙目になっていく。
恥ずかしいものではないと思うが、それを見てなんとなく赤面してしまった郁にはそれを説明するだけの言葉を持ち合わせていないのだ。

「だからー!小牧教官と!毬江ちゃんが!!」
「あ?」
「・・・・・さっき、図書館を通りかかって小牧教官と毬江ちゃんが話してるの見かけて、こう・・・2人の習慣なんだと思うんですけど、だから別に何かあるわけじゃないんですけど・・・。」

どうにか説明しようと郁も言葉を探しているが、いまいち説明が要領を得ていないのだろう。
堂上は訝しげな表情をしたままで郁をじっと見ている。
いい加減、上手く説明出来ないことにも伝わらないことにも焦れていた郁はもう!!と悔しそうな声を上げると飲み物をベンチにトンッと勢いよく置いてから堂上に向き直った。
堂上はそんな郁の行動についていけずに様子を見つめている。

「だからー、小牧教官と毬江ちゃんが、こう・・・・。ここでこうやってお互いに話してたのがキスしてるように見えたんです。」

焦れた郁の行動は、堂上にとっては予想外で突拍子のないものだった。
ベンチから腰を上げて堂上の肩に手を置いた郁は、堂上の耳元に唇を寄せていつもの大声とは違い囁くような声でうまく説明出来ない状況そのものを再現しながらそれがどう見えたのかをこっそりと言う。
それ自体が恥ずかしかったのか何なのか、言うだけ言って身体を離すと郁は判りましたか?!と顔を真っ赤にしながら叫び、ごちそうさまでした!!と言い逃げ、いや、やり逃げしてその場から駆け足で去っていった。
残された堂上は、郁が囁いた方の耳を片手で抑えると真っ赤になり始めているだろう顔を反対の手で隠しながらがっくりとうなだれる。
郁に声を掛ける少し前、引き継ぎ後に書類の関係があり一度事務所に戻ってから昼食を取りにに食堂に行こうとした堂上は庁舎の窓からベンチに座り込んでいた郁を見つけた。
その様子がなんだかおかしく、俯いたまま動かなくなったのを見て何かやらかしたのか体調でも悪いのかと気になりコンビニへ郁の分も昼食を買いに行くとその足で郁に声を掛けたのだ。
まさか、そんな内容で撃沈しているとは思ってもいなかった上にそれをうまく説明出来ないからと再現されるとは本当に予想の域を大幅に超えすぎていた。
そして、先ほどの再現の時、一番の予想外の出来事が起こった。
それは近づきすぎた郁が話したことで耳に意図せざる口づけをされたこと。
必死過ぎた郁はたぶん当事者にも関わらず気付いていないとは思うが、された方はたまったものではない。
例え何も思っていない相手であっても、耳にあんな囁き声と共に唇で触れられれば色々と思ってしまうのは男としては仕方のない性である。

「勘弁しろ・・・・。」

何度目だ、これは・・・。と言いたいのだが言えるはずもなく、色々なモノが収まるのを待ってから堂上は立ちあがった。
昼休み終了まで残り15分、5分ほど前に走っていった迂闊な部下は既に事務所に戻っているだろうと思うが午後は内勤だ。
あの動揺を引きずっていれば今日はミスがあって残業は確定だなとため息を吐きながら、堂上は自分が持っていた分のゴミを手に庁舎へと歩き出した。
実はあの決定的瞬間を柴崎が目撃しており、後に写メを渡されて色々なモノを徴収されるのだが。
それはまだ堂上の知るところではなかった。

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