龍のほこら I kiss lips 忍者ブログ

龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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こんばんは!!
最近キスシリーズしか更新してませんね、龍春です!!
思いつくうちに書こう!ということでこのシリーズ書いております。
本日は堂郁以外のカップリングにて公開です。
このシリーズは戦争直後から内乱、危機、革命、別冊という流れで原作の隙間を縫って書いております。
それ故に、格言の内容により他カップリングがお目見えしますがよろしくお付き合いくださいませ。

時期:内乱(1月末~2月初め頃)
CP:小毬
傾向:しっとり
格言:唇(愛情)

よろしければ「本編スタート」よりご覧くださいませ。

拍手[32回]





小牧が良化特務機関の査問に連れ去られ、戻ってきてからはや数週間が過ぎていた。
あの後、改めて小牧の方から毬江に告白をしたことで2人は正式にお付き合いと呼ばれるものを始めた。
それは小牧のけじめでもあったし、はっきりとした意思表示でもあった。
それから片手に足りるほどのデートにも出かけていた。
毬江はまだ高校生で未成年でもある、土日に休みが重なり難い小牧とはどうしても1日デートというのが行き辛い。
それでも小牧は実家に帰って毬江との数時間の逢瀬を楽しんでいた。
この日も小牧は平日公休日に辺り毬江の高校近くで待ち合わせをしてのデートをしていた。
大きな公園を散策しながら、冬から春になる直前の冷たい空気の中会話を楽しんでいるところだった。
不意に毬江が真剣な表情で小牧を見つめて普段は閉ざしていることの多い口をそっと開いた。

「小牧さん・・・・あのね?」
「ん?」

外で、周囲には人が見当たらないこの場所では声を出すことへの戸惑いなどは少ないのだろう。
毬江が声で伝えてくることを嬉しく感じながら、小牧は微笑んだまま問うように毬江を見つめる。
毬江はそんな小牧に何と言おうか迷っている風にためらいがちに言葉を選ぶ様に続ける。

「あの・・・私、本当はあの時、あの場所に行ったらいけなかった?」
「え・・・?」
「小牧さんが危ないって聞いて、それが私とのことを誤解されたからだって聞いて頭が真っ白になったの。でも、私が勇気を出したら小牧さんを助けられるって知って居ても立っても居られなかった。」

あの時・・・毬江が口にしたそれは小牧が良化特務機関の査問とは名ばかりの拷問を受けている時のことを指しているのだろう。
郁たちが何と説明したのか、きっと彼女たちの事だから毬江に責任があると思わせるような言い方はしなかったに違いない。
けれど、聞いた毬江がどう思うかはまた別の話で僅かにだがその可能性もあることに小牧は臍を噛む。
しかし口をはさむことはせずに毬江が続ける言葉を聞くことに専念する。
彼女が何を言いたいのか、小牧は正しく理解しなければいけないと直感で思ったのだ。

「だけど・・・後から聞いたの。本当は、小牧さんが実家には知らせないでって言ってたって・・・。それは、私が知ったらいけなかったってことでしょ?」
「それは・・・。」
「私は、笠原さんたちに感謝してる。けど、行ったことで小牧さんが気遣ってこうしてくれてるならちゃんと振ってほしいの。」

言葉を選ぶ様に話していた毬江が真っ直ぐに小牧に視線を向けて、強い意志を秘めた瞳で見つめて言い放った言葉は小牧の心臓をえぐる様に突き刺した。
ずっと悩んでいたのだろう毬江のその悲壮を秘めた瞳は、しっかりと自分の意志を宿して小牧に問い掛けてくる。
この想いは本当に恋であり愛なのか・・・と。
同情で、償いで、自分を偽って隣に居てくれるなら要らない・・・と。
小牧から改めて告白したはずなのに、その中に僅かに含まれてしまったかもしれない戸惑いに彼女は気付いたのかもしれない。
10も年上の自分が未だ制服を脱ぐことすら出来ていない彼女の隣に居ることでその明るい将来を消してしまうのじゃないかという不安。
それでも、認めてしまった心を否定することも消すことも出来ずに彼女を求めた小牧は自分の情けなさに内心で苦る。
毬江が何でそんな風に感じたのか、思ったのか、理由は1つだけ思い当る。

「毬江ちゃん。俺は、あの時君が来てくれたことを感謝してる。俺の我儘を無視して君を連れてきた笠原さんや柴崎さんにも。俺は、君を守りたいと思った。でも、君は守られるだけでは嫌だと意思表示してくれた。それを否定することは俺にだって出来ない。」
「小牧さん・・・。」
「あの時、君が震えながらも声を出して俺を弁明してくれて抱きしめてくれた時、もうダメだって思ったんだ。ずっと気付かないふりをしてた、10歳も年上の俺が君の未来をつぶすかもしれないと思って触れないようにしてたんだ。」

真摯な想いに偽りやごまかしでは納得できないだろう。
もしそれを使えば、いつか彼女が離れていくのは目に見えている。
小牧はもう、それを許容できる寛容さを持ち合わせていなかった。
だから正直な想いを口にして、彼女の心にある不安を、戸惑いを、出来る限り消せるように言葉を紡ぐ。

「でも、あの時の君がそんなごまかしを吹き飛ばしたんだ。だから、俺は毬江ちゃんへの想いを認めた。」
「本当に?なら・・・。」

君が好きだよ、そう言えば瞳は不安に揺れて確認する言葉が返る。
小牧は続く言葉をそっと人差し指を毬江の唇に置くことで止めると、1つ深呼吸をしてからゆっくりと口を開く。
今から告げるのは情けない年上男の実情だ。
出来るならば告げることなく誤魔化したいけれど、これほどまでに不安に揺れる瞳にそれは無理だと小牧は早々に白旗を上げた。
ただ、出来るならこの実情を告げて引かれることだけは勘弁願いたいと心で願いながら覚悟を決めて告げる。

「俺はね、出来るなら今すぐにでも毬江ちゃんの全部が欲しい。それくらい、毬江ちゃんを好きなんだ。だからこそ、大事にしたい。」

言ってる意味解る?と小牧が問えば、瞳を潤ませた毬江が小さくこくんと頷く。
それだけで伝わったことを安堵しながら、でもやっぱり不安になるのも解るかな?と小牧は思ってそっと毬江に手を伸ばす。
誰も居ないその場所で、さらに周囲の気配を探って完全に居ないと解るとそっと毬江の頬に手を当てた。

「本当はね、それもやせ我慢なんだ。一度触れたら止まれる自信がなくてね・・・。でも、不安にさせちゃったみたいだから。」
「小牧さん・・・。」

頬を優しく撫でれば、毬江が気持ちよさそうに目を細めて名前を呼んでくれる。
それが嬉しくて小牧は毬江の背中に腕を回してそっと抱き寄せると優しく口づけた。
触れるだけの口づけは、けれど甘い痺れを伴って小牧の心も満たしていく。

「今はこれだけ・・・ね。少しずつ教えてあげるから。」
「うん・・・小牧さん、大好き。」

1度、2度、繰り返した口付けに酔ったようにうっとりとした表情を浮かべる毬江に、もっと先に進みたい欲求が頭を擡げるがそれをそっと押し隠して小牧は優しく毬江を撫でた。
もう一度だけと口づけて身体を離せば、毬江の瞳にはもう不安の色は浮かんでいなかった。

「さて、もう暗くなったし帰ろうか。」
「うん。」
「次の休みはどこに行こうか。」
「うーん・・・・。」

小牧は自分の欲求を誤魔化す様に毬江に問い掛け、手を繋いで歩き出しながら2人で次のデートの行先を考えつつ帰路に着いた。
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職業:サボり癖のある事務員
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