龍のほこら 四季彩 忍者ブログ

龍のほこら

図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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こんにちは!
キスシリーズが纏まらないので、先月にお題企画『one titles』様にて投稿したお題を公開です。
企画サイト様自体は10月までとのことですので、随時回収品として1か月遅れで公開していこうかなと思います。

と、いう訳で本日公開するお題は下記の通りです。

お題テーマ:『色』
時期:恋人期(ムツゴロウ後)
傾向:甘い

以上です。
よろしければ「本編スタート」よりご覧くださいませ。






郁が母親の呪縛からどうにか逃れて堂上と外泊デートが出来るようになって2ヶ月。
季節は春も終わりに差し掛かった4月も末のこと。

「郁、今度の土日連休もぎ取ったから奈良に行こう。」

夜に共用ロビーに呼び出された郁は手を引かれて訪れたいつもの場所で、唇が触れそうなほど近くで顔を覗き込まれて告げられた言葉に郁は目を見開く。
と、いうのも郁の記憶にある限り堂上のデスクの上にはこれ以上積み様がないほどの書類の山が出来上がっており、 崩せども崩せども翌日には倍になってるんじゃないかと心配になるほどまた山積みにされていたはずだ。
郁はそんなデスクの上を思い出して眉を顰めると不安げに堂上を見つめ返す。

「でも、今日だって書類が山積みでこの二ヶ月ほどは公休も返上してたし、その…夜のデ、デートもままならなかったのに…。」

デートと言う所で軽く頬を朱に染めた郁が可愛いが、返された内容は全くの予想通りで堂上は思わずがくりと項垂れる。
上官部下だけの関係だった時から数年、堂上とて郁の性格は重々承知であるし郁からの肯定の返事を期待していたわけではない。
さらに言うなら、堂上のスケジュールや体調を心配しているからこその言葉であるのも重々承知している。
しかし、郁は公私混同を嫌う堂上の性分を理解していて普段は小さなものをたまにするだけで決して公の部分で甘えてはこない。
だから私の部分くらいと思うのになまじ実情を目の当たりにしているだけに、夜のデートも隊員食堂での食事ですら堂上の仕事が多そうだと思うと行きたいと思っても飲み込んでしまう。
堂上としては、ようやっと全てを手に入れた可愛い恋人の小さな我儘くらい聞かせて欲しいし叶えてやりたいというのが本音だ。
なのに、面白がった先輩隊員たちが外泊デートが片手で足りるうちからわんさと書類を寄越してくる様になって夜デートも公休も全てを潰されていた。
さらにはデートが潰されるだけで留まらずその弊害で郁がどんどん我儘を言い辛い状況にされて、いい加減むかっ腹が立った堂上は先日緒形に許可を取り小牧と柴崎に手を回して漸く報復と連休をもぎ取ったのだ。
なのに、肝心の郁の反応がこれでは、と堂上はふつふつと込み上げる怒りのやり場を見失う。

「いい加減肩代わりするのも限界だ。お前は一緒に居たくないのか?」

我儘一つ言えない郁にその言葉が八つ当たりだとは思っても連休を喜ぶ前に仕事の心配をされては流石に嫌味も言いたくなると、ついいらん事言いを発揮した堂上は視線を上げて直ぐに後悔することになった。
腕を腰に回して囲っているから逃げられなかったが、見上げた先の郁の瞳はすでに決壊しそうなほどに水分を貯めてしかしそれをこぼすまいと見開いていた。

「そ…っな、いっしょ……きまって…うぅっ」

郁が堂上の言葉にどうにか返事をしようとすると、涙が堪えきれず溢れ嗚咽が漏れ始める。
更には囲う堂上の腕から逃れようともがき始めた郁に堂上は慌てて強く抱きしめると郁の頭を肩に引き寄せてごめんと謝った。

「ごめん、俺が悪かった。我慢させてたのは俺なのに八つ当たりして、すまん。」

腕を突っ張って逃げようとする身体を抑え込み背中を落ち着くように撫でると、少しして郁からの抵抗が止んだ。
もう一度ごめんと堂上が謝れば肩辺りで突っ張っていた腕がスルリと堂上の背中に回ってしがみつくように抱きつかれた。
堂上はその様子に自分の吐いた言葉を悔やみながら、郁以上の力で抱きしめ返してただただ郁の反応を待つ。
少しして、すりっと額を摺り寄せた郁がポツリと言葉を漏らした。

「教官仕事だから、私手伝えないし、我儘を言わないようにする事くらいしか出来なくて…でも、一緒に居たくないなんて…っ!!」

再び込み上げる嗚咽を噛み殺すように口を閉ざした郁の喉からグゥっとくぐもった音が聞こえて堂上はもう一度悪かったと囁いて耳元に口付けると顔をあげさせて涙が溢れる目尻にも流れた水跡を残す頬にも口付けてその瞳を覗き込む。

「わかってる。ただ、俺としては叶えてやれなくてもお前に我儘言って欲しかったんだ。お前は俺と居なくても平気なのかと思ってしまうから。でも、お前は何も言わないし連休の話も嬉しがる前に仕事の心配するから…。」

堂上が合わせた視線を微妙にそらしながら正直に拗ねた己の心情を吐露すれば郁は驚いたように瞳を瞬かせ、それからまだ涙の残る顔でふわりと柔らかな笑みをこぼした。

「きょーかん。」

泣いて少し引きつった掠れた声で呼ばれて視線を戻せば、柔らかな笑みを浮かべた郁からお疲れ様でしたの言葉とともに滅多にくれない口付けを頬に贈られて今度は堂上が目を瞬かせた。
直ぐに離れた唇は、キュッと閉じられ恥じらいを含んだ視線で伺うように見つめられて堂上は理性を手放す前に郁から肯定の返事を貰うのが精一杯で詳細を話すより前にその甘いと知っている唇を堪能するために口付けた。
そんな酸っぱくも甘い夜から数日後の土曜日、郁は堂上に連れられて奈良の長谷寺を訪れていた。

「ふわぁ?…すごい!どこを見ても牡丹が植わってる!!」

郁は入山すると直ぐに見えてくる牡丹たちに歓声を上げると堂上を振り返って早く!と急かす。
堂上はそんな郁とすぐ真横に立ち並ぶ牡丹を同時に視界に納め満足げに微笑みながら呼ばれるままに横へ立った。
無防備に下げられた手を掬い上げて指を絡めるとほんのりと頬を桜色に染めてはにかむ郁がいる。

「綺麗だな。」

堂上は敢えて何がとは言わない。
しかし、素直な郁は堂上の言葉に花が綺麗だと理解して綺麗だし可愛いですよね!と元気に頷く。
長谷寺は重要文化財であるのと同時に4月下旬から5月上旬にかけては牡丹の花で有名な花の御寺である。
牡丹だけではなく大手毬なども咲いているが、時期はぼたんまつり真っ只中で日取りが良かったらしくどの花木も大輪の花を咲かせて己を誇っている。
その衣装も真紅から始まり、紅色、白、薄紅色に黄色、ワインレッドのような深紅もあれば白と薄紅が混じったマーブルのようなものまでその色彩は色鮮やかで訪れる人の目を楽しませてくれるものばかりだ。
そして、堂上にとって至高の華がその花木に寄り添って微笑み蕾を綻ばせる。
目の保養とばかりに堂上はその様子を間近に眺め甘い笑みを浮かべている。

「あ、教官!あっちのはなんですかね?」

郁が大きな通路から少し外れたところにも何かを見つけたようで、繋いだ手を引きながらそちらに歩いていく。
堂上はその後をついていくように歩きながら郁とのデートを振り返る。
郁とのデートは意外にも一般的なデートよりも近所や遠めの公園で自然に咲き誇る花たちへ視線を向けることが多かった。
それは郁がもともと自然が好きなこともあったが、自身では自覚なく酷く愛らしい女性の感性を持ち合わせているからでもあった。
自覚しないその感性で素直にそれを受け止めたものを堂上にも見せてくれる郁は堂上にとって四季の彩を写した極彩色の絵のようで堂上は急に触れたくなってつないだ手をくいっと引っ張り自分の腕の中へ引き寄せる。
通路を外れ少し脇道に入ったその場所はその一瞬、誰も居らず大きな紅色の牡丹が向こうの人混みから二人を隠した。

「きょぅ…んっ」

突然人の気配がすぐそばにある場所で抱き締められて何事かと問いかけようとした郁に、堂上はちゅっとリップ音を立てて口付けるとすぐに手放す。
郁はその一連の動きについていけず、口をぱくぱくと開閉させながら徐々に首、頬、顔中と白い肌を薄紅に染め上げていく。

「お前を色に例えるなら極彩色か…。」

堂上は羞恥に肌を染め、こんなところで何をするのかと怒る郁にも微笑んで可愛いお前が悪いと開き直る。
それを聞いて余計に怒る郁を受け止めながらふと先ほど考えていたことをぽろりと溢すと郁の動きが止まった。
そのまま何か考える素振りを見せた郁が急に顔を歪めたのを見て、堂上は落とした言葉が悪い意味に取られたことを悟る。

「待て、郁!お前が思った意味は多分辞書で引けば正しいんだろうが、俺の言いたい意味とは違う!!」
「…でも、極彩色ってけばけばしい色とか、そういう意味じゃ…。」
「そうだが、俺が言いたいのはそこじゃない。そこじゃなくて、色んな鮮やかな色を使っていて極彩色に例えられる絵画とかには荘厳なのとかいろいろあるだろ。」

堂上は郁に説明をしながらも、どうして仕事以外だとこうも口下手なのかと、咄嗟に郁を捕まえた手の片方を外してガシガシと頭を掻きながら視線を彷徨わせ言いあぐねる。
郁はそれを見て、それが堂上が照れている時の癖だと気付くと僅かばかり大人しくなって堂上の言葉を待った。
何度かチラチラとこちらを見てから、堂上はふぅっと息を吐くと「とりあえずこっちに来い」と人のいない方へと移動する。

「俺が言いたかったのは、お前と付き合い始めてから色んな色を花や空、それ以外でもたくさん教えてもらった。俺がその色に気付く時には必ず郁が横にいて、その時の記憶も他の何より鮮明に思い出せる。」

誰もいないことを確かめて立ち止まったのは目立つ花のない静かなところだが、そこも初夏を間近に控えた新緑で溢れている。
堂上はそれらに視線を向けて、照れる己を叱咤激励しながら郁の誤解を解くために言葉を探し探し紡いでいく。

「どんな色や景色、季節も全部お前と結びついてるから、お前を例えるなら鮮やかな色で彩られた極彩色の…。」

極上の華だと思ったんだ…。と、最後だけはどうしてもはっきりと伝えることができず堂上は郁の頭に手を伸ばして引き寄せると耳元で囁くように告げた。
そして、堂上は郁が驚きに頭をはね上げようとしたのを押さえつけ、郁が悲鳴を上げる程にわしわしと髪を撫でつけると逃げるように元の道に戻り始める。
郁は逃げるように戻りながらも決して放されなかった手を見ながら解放された反対の手でぼさぼさになった頭を撫でて直す。
そして視線を斜め前の堂上に向けると髪の隙間から覗く耳が真っ赤になっているのに気が付いて郁はくすくすと笑みが零れるのを止められないまま堂上の横に駆け足で並んで握った手を離さないまま反対の腕もからめ抱き付いた。

「教官!ずっと二人でいろんな季節の綺麗な景色も色も堪能しましょうね。」

滅多にくれない堂上がくれたそれこそ極彩色にも見える言葉たち。
けれど郁にとってはそれは宝物にしかならなくて、二人ならそんな派手な景色もいいかなぁなどと思いつつ残りの道筋を楽しんだ。

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