龍のほこら CCS10 個人本『26歳』 詳細情報 忍者ブログ

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図書館戦争の二次創作を置いている場所になります。 二次創作、同人などの言葉に嫌悪を覚える方はご遠慮ください。

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こんにちは! いよいよイベントが1週間ちょっと先に差し迫ってきて、準備にわたわたとしております。
そして、漸く色々と入稿関係が終わりましたので個人本の頒布内容について詳細のお知らせです。

1本、1記事にて、「サンプルを読む」以降はサンプル用に冒頭部分をつらっと載せますのでご購入頂く参考にどうぞ。


こちらの記事は『26歳』の詳細情報となります。

タイトル:26歳
本サイズ:A5
ページ数:44ページ(表紙含む)
価格:300円
表紙イメージ

(表紙イラスト:くろでめ様)

ペーパーは無しの予定。
購入特典については、初稿から大幅に書き直しをしたこともあり時間に余裕があれば限定数ですが初稿の一部を薄い冊子にしてお配りしようかなと考えておりますが、確定ではありませんのでご容赦頂けますと幸いです。

初稿サンプルはこちら

この後大分書き直してます。視点を篤に統一していますので、色々と変わってきています。
サンプルは冒頭なので、あんまり違いがないかもですが宜しければ参考にしてください。



拍手[19回]


「あ、あのっ!」
「はい?」
「あっ、わ、私……すっ……」
「……?」

仕事が漸く終わって帰ろうとしていた堂上は、暗がりから 出てきた女性に声を掛けられ、何かあっただろうかと足を止めて振り返った。
視界に入ったのは同じ社内で時々顔を見かける女性で、名前は何だったかと思い巡らせるが、思い出せず、眉間に皺が寄る。

「すっ……」
「す?」

「す」を繰り返したまま先が続かない女性は、オウム返しに問いかけた堂上の声にびくりと反応して真っ赤な顔を上げると、堂上をまっすぐに見た。
思いの外強い視線に、ドキリと心臓が跳ねるのを感じながら、堂上は更に戸惑い眉間の皺を深くする。

「好きですっ!!」
「は……?」

二、三分は待っただろうか、叫ぶように告げられた言葉に軽く目を見開く。
先ほども思い出そうとしたが、社内で何日かに一度すれ違うだけの女性である。告白をされても、戸惑うばかりだ。
堂上は自身への評価をとっつきにくい硬い人間と思っている。
女性にどう思われているかは知らないが、少なくともとっつきやすい風貌も性格もしていない自覚はある。
別に女性嫌いでもなければ変なことをしない限り怒鳴ることもないのだが、怖がられることが多いと認識している。
ましてや告白など、社会人になってからは皆無に近い。

「俺が、か?」
「は、はい……」
「俺は君をよく知らないんだが……」
「うっ……え、えっと……あっ!! こ、これっ!!」

緊張しているのか、どもりながら答える女性の一生懸命さがなんとなく可愛らしく、小動物のような動きをまじまじと見てしまってから気づく。
己よりも少し高めの身長。しかし、それを思わせない華奢な体格。なんとなく容姿も気になってワタワタと鞄を開いて何かを探している女性を、不躾にならないように上から下へと見る。

(背は高いがすらりとしていて華奢だな。あの腰とか抱きしめたら折れるんじゃないか?)

一目惚れ、というものを生れてからしたことのない堂上は、 今この瞬間、戸惑いつつも自分が恋に堕ちたことに気付かない。
無意識にセクハラまがいのことまで考えてしまったことに、慌てて頭を振ってその思考を追い出す。

「お待たせしてすみません! あの、これ、お借りしてて……」

堂上が我に返ったタイミングで、女性がそう言って差し出してきたのは、見覚えはあるが少し前から見つからなくなっていた自分のハンカチ。
それを見て漸く思い出したのはひと月ほど前のこと。
階段から落ちかけた女性を助けた際に、膝を擦りむいて血が出ていたのでハンカチを巻いて応急措置をした。ハンカチは その時に使った物だ。

「ああ、あの時の……。あれ以外の怪我はなかったのか?」
「はい!」
「それは良かった。しかし、それだけで?」
「あ、いえ、それだけじゃなくて……えっと。いつも、その、声、かけてくれるから」

声? と首を傾げる。
堂上は営業職であり、顔を覚えることは職業柄得意な方だ。彼女も見覚えはあった。どこで見たのか、少し考えて思い出した。一人だけ、自分が通る時にいつも俯いていて正面から顔を見たことがない女性がいた。
改めて目の前の女性に視線を移すと、確かに体格や横顔は 記憶のその女性そのままで、それが彼女だと確信できる。
その女性は今、羞恥からか緊張からかゆるりと琥珀色の瞳を潤ませて、真っ赤になりながらもまっすぐに見つめてきていた。
僅かに開いた唇が震えながら何かを紡ごうとしているのが、非常に艶っぽく男の欲を煽ってくる。

「あの! 私、笠原郁です。良かったら名前教えてください!」
「ああ、堂上篤だ」
「ありがとうございます! えと、堂上さん、先輩が言ってたんですけど二十六歳、なんですよね?」
「そうだが……年齢が関係あるのか?」
「い、いえ! その、同じ年だったからいつも通り過ぎる時、自信を持ってる感じで凄いなって思ってて……。見てたら気付いた時には好きになってて……」

 堂上がその瞳に気を取られている間に、郁が遠慮がちに名乗りながら名前を聞いてきた。堂上は一方的に知られているのを示されるよりも名前を聞かれたことに好感を持ち名乗り返しはしたが、続いた言葉には僅かに不快さを感じる。年嵩に見えるのかと、問い返した声は不機嫌さを含み低くなった。
その声の低さに郁が怖がるかと思ったが、堂上の様子には 気付いていないらしい。もじもじと手を組んで遊ばせながら、年齢を確認した経緯を恥ずかしげに話している。
年齢を出した経緯についても、悪い意味ではないということが分かり不快感は知らず消えていた。
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